新型コロナウイルス感染症における河野太郎防衛大臣のTwitter活用に見る危機時の情報発信

河野太郎防衛大臣(写真:ロイター/アフロ)

 新型コロナウイルス感染症では、中国で死者が600名を超え、日本においても2020年2月6日の時点で25名が陽性と診断されているほか、横浜港に寄港したクルーズ船『ダイヤモンド・プリンセス号』で273名中61名が陽性であるとされ、東京・埼玉・千葉・神奈川・静岡の医療施設に搬送された。

 

 今回の感染症に関しては、中国・武漢の模様から各国での発症例、日本における予防対策まで、さまざまなニュースが流れている。中には「中国人入店禁止」の張り紙を出した店舗を報道(朝日新聞・参照)し、賛否両論が渦巻いている一方で、日本政府のチャーター機にマスクや防護服を積み込んだニュースに対する中国人の感謝の反応をまとめた記事(訪日ラボ・参照)などが、ネット上では情緒的に流れていて、現状がどのような状況なのかわかりにくい印象を受ける。

 実際、AbemaTVの『けやきヒルズ』では、政治学者の佐藤信氏が「新型インフルの想定のなかでは広報担当者を決めて情報を一元化することが予定されていた。ところが、今のところ政府の国民に説明する担当者は一元化されていない。今の時点で大きな齟齬は生じていないが、厚労省や内閣が情報を一元化して国民にわかりやすく伝える努力をすれば、世論の理解につながりやすい」と述べている。

 

 新型コロナ“水際対策”の有効性は 新型インフル時の教訓「国は情報の一元化を」(AbemaTIMES)

 

 ただ、「情報の一元化」という観点でいえば、厚生労働省が出している報道発表で、最新のコロナウイルスの状況は網羅されている。毎日情報が更新されている発表では、中国をはじめとする各国・地域の感染者数と死者数、日本における事例(確定日・年代・性別・居住地・病状・周囲の患者の発生・濃厚接触者の状況)、これまでの対応、今後の動向が明らかにされており、インフルエンザと同様にマスク着用、手洗いやうがい、アルコール消毒の徹底などを呼びかけている。

 

 新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和2年2月6日版)

 

 Twitterでは、厚生労働省アカウントが上記の発表のリンクをツイートし、消費者庁の発表などを合わせて首相官邸災害・危機管理情報アカウントがRTとするという発信をしている。ただ、リンク先にアクセスしないと詳しい内容が理解できないツイートが多く、情報の周知という点で十分に機能するかどうかは微妙なところではある。

 

 そんな中、政府内においてネット上における存在感を発揮しているのは河野太郎防衛大臣だろう。彼は約126万フォロワーを数えるTwitterで、毎回厚労省の発表をもとに、2020年1月30日より国内感染者の状況を「新型コロナウイルス感染症対策本部のメンバー」としてツイートしている。

 

 

 

 このツイートに関しては、厚労省の発表から国内感染者の状況に絞って発信しているという点に注目すべきだろう。ここでは感染者の人数と、「全快」「軽快」「症状安定」「治療中」「症状なしで入院中」が何人なのか、どのメディアよりもわかりやすくまとめて伝えており、いわば一次情報(ソース)として機能しているといえるだろう。

 

 外相時代から、自身も関わったサッカーJ1湘南ベルマーレに関するツイートや悩み相談まで軽快な情報発信をTwitterでしていた河野氏だが、2000年代よりいち早くメールマガジンやブログを活用し、ネットにおける発信を重視していた。2009年の自民党総裁選でも、ブログに政策を発表(参照)。議員票が35票に留まったが、地方票が109票集まったのは、ネットの活用も多少なりとも寄与したのではないか。

 この時に河野氏の推薦人に名を連ねた世耕弘成前経済産業大臣は、2005年にブロガー・メールマガジン運営者を対象とした懇談会の仕掛け人のひとり(参照)で、経産相在職時は韓国の徴用工問題やホワイト国除外に関してTwitterで積極的に日本側の立場を発信していたことが記憶に新しい。そういう意味では、ネットにおける発信について造詣の深い政治家が複数いるという時点で、政府・自民党はアドバンテージがあると言っても過言ではないだろう。

 

 新型コロナウイルスの広がりについて、予断の許さない状況であることには変わりない。メディアが危機感をもって報じることも悪いことではない。ただ、陽性反応や死者が増えたというニュースや、政府レベルから個々で出来る対策までを散り散りに出しているメディアも散見され、情報過多が混乱を招く可能性もある。だからこそ、公式の発表は重視すべきだし、それをわかりやすく伝えている河野氏のツイートについては、他の政治家に限らず学ぶべきことが多々あるように思える。

追記 2020/2/9

 ご指摘を受けてタイトルを変更しました。