「Slack病み」「LINEハラスメント」を防ぐためには? 自衛策を考えてみる

(写真:アフロ)

 『Slack』『Chatwork』『Discord』など、コミュニケーションツールの普及率が高まるにつれ、さまざまな軋轢も生まれつつある。真偽の程は不明ながら、あるTwitterユーザーが同僚営業の話として、業務改善セミナーでマナー講師が『Slack』で「偉い人に@でメンションしてはいけない」「重要なことは別途メールで送るべき」といったルールがあるとツイートしてちょっとした話題となっていた。それについては『ITmediaニュース』の記事が詳しい。

 

 ネットで叩かれている「Slackマナー」は本当にアホらしいのか? 良しあしを真剣に考えてみた (ITmedia NEWS)

 

 コミュニケーションの円滑化を図るためのサービスに、電子メールのようなルールを持ち込むこと自体、本末転倒だと感じるが、日本ビジネスメール協会の『ビジネスメール実態調査 2019』によると、仕事で使っているコミュニケーション手段としてメールが97.46%なのに対して、チャットが23.92%、ソーシャルメディアが15.78%、グループウェアが13.18%となっており、まだまだメールが強い。また、受け取ったメールで見つけた失敗の第一位が「誤字脱字」(48.35%)、二位が「添付のファイルの付け忘れ」(40.88%)。『Slack』などならササッと流されるか、すぐに添付忘れに気づくか指摘されて送られてくるか、いずれにしてもそれほど問題視されないだろう。となると、『Slack』にメールと同じようなルールを持ち込もうとする勢力の存在は、世代間対立と見るべきだと感じる。

 

 一方で、深夜や休日にも『Slack』をチェックしなければならず、心身を病み退職者が相次ぐケースもあるという。

 

 「Slack病み」する人が増加。休み中でも24時間対応を迫られる…(週刊SPA!)

 

 ここで個人的な話をすると、仕事柄外部との作業をする事が多いため、一時はメールのほかに『Chatwork』『Discord』『Slack』『Skype』『Facebook Messenger』『Twitter』のDM、そして『LINE』を同時に立ち上げて、ひっきりなしに通知が来てやり取りを強いられていたことがあった。確かにコミュニケーションの速さは向上するが、同時にアウトプットも進めなければならず、マルチタスクが求められることになる。その上、仕事とプライベートの時間の境界が曖昧になり、どんどんワーカホリックになっていくのを実感したものだった。だから、ビジネスチャットの導入がストレスを招くというのはさもありなんと思わざるをえない。

 プロジェクト管理ツール『Backlog』を運営しているヌーラボの調査によると、仕事で用いるコミュニケーションツールで「通知に関するストレスを感じたことがある」が74.5%で、「プライベートな時間に通知が来て、仕事モードになった」という回答が56.6%で一位となっている。逆に「相手が通知をストレスに思わないか、通知を送る前にためらった」という答えも41.9%となっているあたり、まだ手探りで使っている人が多いことを示している。とりわけ、「案件に絡む人を全てメンションに入れる人がいてツラい」「関係者じゃないのにメンションが飛んでくる」といった送信側の問題を挙げる人が目立っていることに注目すべきだろう。

 

 これがまだ、仕事のことだけに特化したアプリ/サービスならばまだしも、プライベートも絡むSNSが仕事で使われる場合、さらに問題が増える。『流通ニュース』の記事によると、ファミリーマートの澤田貴司社長はインタビューで「LINEで300人くらいの加盟店さんとつながっている」「もちろん、社員ともLINEを使ってコミュニケーションする時もありますよ。思い立ったらすぐに発信、それが基本です」と述べている。

 

 ファミリーマート/澤田社長「情報は自分で取りに行く」SNS活用経営の現場報告(流通ニュース)

 

 実際、コンビニだけでなく飲食店などや小売業でアルバイトのシフトをLINEグループで共有するというケースは珍しくなくなっているが、上場企業のトップがLINEを積極的に活用するメリットを語るというのは、情報共有の円滑化というメリットを強調している一方で、上下関係(本部と加盟店/経営者と労働者)がある中で新たなストレスの原因になり得るように感じてしまう。

 とりわけLINEはプライベートでも多く活用されるだけに、公私の切り分けが難しいツールとなる可能性が高い。前述のヌーラボは「メンションハラスメント」という言葉を使っていたが、LINEを仕事で使うとその存在自体がハラスメントになり得る。直接的なパワハラが飛び交う事態になりかねないし、シフトの空きが出た時といったボトムレベルでのやり取りがTwitterなどで晒されるケースもある。だから、昨今の流行りでもある「働き方改革」に逆行するような作用が働く危険性に対して敏感になるべきだろう。

 こういったコミュニケーションツールやメッセンジャーアプリに「疲れる」「病む」ことを防ぐためには、利用者が自衛策を講じる必要がある。

 例えば、『Slack』は仕事で使うPCのみで使いスマートフォンにはインストールしないようにする、といった仕事とプライベートでデバイスを可能な限り分けるといったことが考えられる。LINEならばグループの通知のON/OFFをこまめに活用するのも有効だろう。いずれにしても、道具に使われるのではなく、使うようにするためにはリテラシーが不可欠だ。

 といっても、複数のサービスやアプリを同時に使うだけでもストレスは徐々に溜まる。特に古いスマホの機種を使用しているとメモリが食われてどんどん重くなるというケースも考えられる(個人的にはこれが気になって仕方がなかった)。やはり、仕事用とプライベート用でデバイスを完全に分ける。同じサービス・アプリを仕事とプライベートで共用しない。そして、睡眠時には面倒でも電源をOFFにする。こういったことを徹底して、自分の時間を守る。最終的には、それが仕事の能率を上げることにも繋がるのではないだろうか。