【広報対応問題】ヤフーの中の人には期待せず期待しますよ

ヤフーの皆様、この件みんな見てますよ!(写真:ロイター/アフロ)

『ガ島通信』の藤代裕之先生がヤフーの宮坂学社長にインタビューを申し込み断られたにもかかわらず、朝日新聞の取材は受けている事に激おこだと聞いて、筆者も『Yahoo!ニュース個人』で書かせて頂いている身でもあり、かつヤフーという会社が取材先でもある身なので、日々感じていることを記していこうと思う。

取材に対してウソをつく組織「Yahoo! JAPAN」が信頼と品質など担保できるわけがない(藤代裕之)

筆者は一流大学出身でもなく、地方紙どころか有名メディアでの勤務経験もないブロガー&ライターなので、取材を「お断り」される事は日常茶飯事にある。それでも、「担当責任者から語らせたいという社長本人の意向」といって別の媒体社の取材を受けられた、というケースに出くわしたことはない。

ぶっちゃけ、筆者はヤフーを含めたIT企業の広報担当者が(もちろん個人による差はあるにせよ)「二流以下」だと思って取材の臨むことにしている。IT関係の広報は取材者によって差をつけること、とりわけ特定の関係の深い取材者と対応が違うことはザラにあるし、まともな広報としてのガバナンスがないところも多い。ヤフーに限って言っても、ベタなサービスの紹介記事が公開されてから編集権に突っ込むような要求を平気で出されて閉口したことがある(これも担当者によって差があることですけれど)。

例えば車メーカーや食品メーカーなど数十年の歴史を持つような会社だと、電話にしてもメールにしても、あるいは直接発表会などで取材をする場合でも、紙媒体やテレビ、より有名なメディアや取材者と筆者の間に、そのような差をつけられたと感じることはほとんどなく、平等に「いちメディア」「いち取材者」として扱われる。当たり前のことに聞こえるようにしれないが、IT関係の取材がメインだった筆者からしてみれば、その徹底ぶりに当初は驚いたものだった。また、こちらの要望のできる事とできない事をレスポンス早く知らせてくれるし(IT企業やPR会社だと返答がないこともある)、メディアとの適度の距離感を持って接してくれるから信用できる。IT関連企業の広報は、ほぼ例外なくそれを望めない。すぐ転職する担当多いし。

そんなわけで、藤代氏の一件はヤフー広報だけの問題ではなく、IT業界の広報のレベルの低さが露呈したように筆者には感じられる。もし筆者の感覚に反論のあるWeb系の広報の皆様がいらっしゃるのであれば、ぜひ取材したいと思うので、ご連絡お願いします。

「コンテンツ提供者と協力」は平等になされるのか

藤代氏が「信頼と品質など担保できるわけがない」と断じている『Yahoo! JAPAN メディアステートメント』。それまで「いちプラットフォーム」という立場を堅守していたヤフーにとっては、「メディアサービス」であると認めたということで大きな転換点となる宣言であり、日本のWebの歴史に残る変化であることは間違いないだろう。

とはいえ、「信頼性と品質」「多様性の尊重」「豊かな情報流通」をどうバランスよくメディアとして担保していくのか、まだまだ不透明であると言わざるを得ない。

いちオーサーとしては、特に「コンテンツ提供者と協力」が平等になされるのか、という点に関心がある。2015年12月の『オーサーカンファレンス』を受けて、治部れんげ氏が以下のように記している。

「Yahoo!ニュース個人」は既存のメディアから筆者と読者を奪うか(治部れんげ)

江川さんのお話で、事実確認や、細かい部分のチェックは、社員編集者に期待したい…というニュアンスがあり、同感でした。編集者は外部寄稿者の原稿を読み、名前や数字、事実関係などを調べます。読みにくい文章を直したり、筆者に書き直しを依頼することもあります。メディア企業で訓練を受けた人にとっては、当たり前のことですが、Yahoo!ニュース個人を始め、書き手が自分で投稿権限を持つブログ形式の「メディア」は、編集や校正が入りません。

普通の記事で編集や校正がなくても、起こるリスクは「間違い」であり、メディア側は「訂正」を出せばすむでしょう。でも、権力を敵に回すような本当の大きな問題だったら、どうでしょう。そういう取材執筆では、やはり組織に守られた編集者が事実確認やリーガルチェックで筆者を支援し、フリーの筆者が訴訟という形で嫌がらせをされた際、バックアップする必要があります。

こういった訴訟に発展するような事態になった時、果たしてヤフーはメディアとしてすべてのオーサーを平等に守ってくれるのか。正直に言うならば、今回のようなダブルスタンダードを見せられると「どうなのかな」と心配になる。内田良先生や江川紹子氏ならば全力でサポートするかもしれないけれど、木っ端ブロガー風情の筆者だとトカゲのしっぽ切りに遭うのではないか。実際にこれまでも、フリーの書き手として他のメディアでそのような場面に直面することもあったし、ヤフーの「適切な情報提供が行えるよう努力します」というのを額面どおりに受け取っていいものなのか、まだ懐疑的だ。

とはいえ、ヤフーは従業員数が5500人を超える会社で、中の人にはさまざまな方がいるだろうし、セクションによって方針が異なることもあるだろう。個人的に知っている『Yahoo!ニュース』編集チームの人たちについてはお世話にもなっているし信頼感もある。だから、この「ステートメント」がさらに仔細な「メディアポリシー」にまで昇華して、筆者の不安を払拭するような運営がなされることを、過度の期待は持たずに期待したいと思っている。

翻って、広報対応については……。正直、ヤフーに限った話ではないので、先述したような不信感が簡単に拭われるのは個人的には難しいのだけれど……。仮に藤代氏の取材に今からでも応じるということになれば、また話は変わってくるかもしれないし、今回の一件がヤフーという企業の広報対応を見直すきっかけとなれば奇貨となるだろう。こちらも、あまり期待はしていないけれど期待したいところだ。