“パクツイ”アカウントインタビュー掲載『青春基地』 今すぐ閉鎖すべき理由(追記あり)

『青春基地』より

「想定外の未来をつくる!10代のメディア」として2015年11月よりスタートしたウェブメディア『青春基地』が、有名人の名言だけでなく、『Twitter』や『Tumblr』などからテキストや画像の無断引用がかねてより問題視されているアカウント「@Copy__writing」の中の人のインタビューを掲載し問題視されている。

@Copy_writing中の人インタビュー!「インターネットは、すべての話を良い方向に持って行こうとする傾向があるけど、暗いことは暗いことでいいじゃない、と言いたい」

個人的には、「言葉は好きですか」という質問に対して、以下のように返答していることがすべてを物語っているように感じた。

F:大好きだよ。普段はプロデューサーとして広告を作る仕事をしていて、コピーライターや、アートディレクションもやってる。仕事道具であるし、一方で絶対に自分のものでなくて他人のものであるという考えもある。視覚的な表現と同じくらい、言葉の表現もメディアとして強い力があると思う。

つまり、「言葉」は「他人のもの」という考えを、「他人」にまで押し付ける傲岸さが、ここに見え隠れしているように思えてならなかった(そういう意味では、高校生だという聞き手は、相手を引き出す“仕事”が出来たと評価することが可能かもしれない)。

インタビュー掲載後、すぐに“パクツイ”の被害者などから批判が殺到。一時サーバーがダウンし閲覧できない状態になっていた。そのことは『ねとらぼ』でも報じられている。

パクツイで人気を得た「Copy writing」がインタビューを受け炎上 フォロワー数が激減する事態に

現在、該当アカウントは『Twitter』の規約の報告が殺到したためか、当人による自主的な削除か、閲覧できなくなっている。新たなアカウントと見られるものも登場しているが、それが本人のものかなりすましなのか、確認できていない。

もともと、該当のアカウントは冒頭で示したような“パクツイ”が悪質だとする『togetter』や『NEVERまとめ』がいくつも存在していた。これらのリサーチを行わずに、インタビューを実施したのだとすれば、よりメディアとしての稚拙さが浮き彫りになったといえるだろう。

その後、『青春基地』は本件に関する見解を1月30日に代表の石黒和己氏の名義で掲載している。

TwitterアカウントCopy Writing、Fallさんの記事に関する騒動につきまして

弊メディア『青春基地』は、「10代のためのメディア」をコンセプトとしています。それは、10代の中学生や高校生が、学校生活などの日常において、「自分の思ったこと、感じたこと」を伝えたり、発信したりする機会が少ないのではないかとの思いからです。そこで、メディアをつくる経験を通して、様々な人との出会いから「一次情報」をつかみとり、自分自身で「社会」を学んでいくことを経験してほしいと考えました。

そうした思いから、『青春基地』は、あくまで中学生や高校生が自分たちの「リアル」を発信できる場でありつづけたいと考えています。そのため、今回もまずは当該記事を執筆した高校生の意見をできるかぎり尊重したいとの思いから、何度も本人と話し合いを重ねたところ、編集部に以下の考えを伝えてくれました。

「このたびは多くの方にご迷惑をおかけして申し訳ありません。私自身、反省すべき点は多々ありますが、インタビューで主にお伺いしていたのは無断転載が指摘されている『@Copy__writing』についてではなく、ご自身の言葉で発信している『@No_001_Bitch』についてであり、そのインタビュー内容に私自身が感銘を受けたことには変わりありません。」

編集部としては、熟考を重ねた末、本人の意向を尊重し、当該記事は取り下げず、引き続き掲載させていただきたく思っております。

これを一読し、筆者としては『青春基地』は一刻も早く閉鎖をするべきだという考えを抱かざるを得なかった。

まず、同メディアが10代の中学生・高校生に直接「一次情報」=「人に会う」ということをさせる際に、法律違反を行うような相手にもインタビューを実施する、という前例を作ってしまった。このことはかなりの危険性があり、熟達したメディア関係者でも相当の覚悟で臨まなければならない“仕事”になる。発表された見解からは、インタビューアの高校生を危険に晒したという反省が感じられない。実際に、該当インタビューの聞き手の高校生は、『Twitter』アカウントを鍵付きにするなど、その反響に対処できていない。未熟な聞き手が危ない目に遭うことも「社会」を学んでいく経験といえるのだろうか。

さらに、「意見をできるだけ尊重したい」という名目で、判断をその高校生に丸投げしている。その上で、編集部に伝えた考えを掲載しているが、「反省すべき点が多々あります」とありながら何を反省しているのか明らかではなく、「インタビュー内容に感銘を受けた」という個人の思いは掲載の是非には関係がない。そもそも、タイトルに「@Copy__writing」を出しておいて、主に聞いていたのは「@No_001_Bitch」の方というのは言い訳として稚拙だと断じざるを得ない。

それをそのまま地の文で掲載するというのは、編集が機能していないことを示している。ここで、インタビューをした高校生当人と、編集部の双方が、この一件によって何を「経験」して、何を「反省」して、どう今後の再発防止に務めるのか、まったく書かれていない。これでは、前述したような危険な取材を再び10代に強いる可能性が高い。ライター・聞き手を守らないというのは編集部として機能不全を起こしているので存在価値がない。繰り返しになるが、明日にでも閉鎖すべきだ。

もし仮に、メディアでの経験のある大人がいれば、このような事態は避けられたのかもしれない。……と、普通は思うところなのだが。

『青春基地』にはアドバイザーとして文部科学大臣補佐官の鈴木寛氏、メディアイノベーション代表の戸塚隆氏、『8bitNews』代表の堀潤氏の3人が名を連ねている(参照)。彼らが今回の件で助言もしくは介入した形跡はないように思えるが、こういった危機管理の際こそ、“大人”としての見識を示すべきではなかったのではないか。この3人も今回の事態について、何らかのコメントをすべきではないかと思うのだが、いかがだろう?

もともと、中高生を使ってメディアを作るとか、社会を「経験」してほしいとか、全体的に上から目線なのが気に食わないが、危険な取材をさせたという自覚がなく、釈明にも聞き手の高校生を前面に立たせたというのは許しがたい。代表の石黒氏も大学生というが、フラットなウェブ空間に置いてメディアを運営した以上は「まだ若いから」というのは通用しない。サイトを閉じることが、唯一の責任の処し方だと考える。

追記:2016年1月31日10時30分

堀潤氏より、以下のようなご指摘を『Twitter』で頂きました。

@fujisiro @parsleymood 記事書く前に一本メールでもいれて取材してくれれば直接確認できるのに「アドバイスした形跡はない」と断言してこうしてニュース記事にしてしまうのは危うくないですか?因みに騒動直後、彼らにどんなアドバイスをしたのかもツイートしてますよ。

出典:堀潤氏のツイート

こちらの確認不足があったことは否めないので、当該箇所は訂正させて頂きます。

堀氏は、本件に関して以下のようなツイートをされています。

@suigyu703 僕も興味があるので、100万を超えるフォロアーを持つ匿名アカ主に、どんな狙いでツイートしているのか、なぜ時々広告ツイートが入るのか、パクツイとの批判についてはどうなのか?など取材者として色々聞いて記事にしたらいいと思うとアドバイスしておきました。

出典:堀潤氏のツイート

なお、筆者は1月27日23時の時点で、『青春基地』に対して取材の申し込みメールを送っております。1月31日10時現在まで返答はありませんので、引き続きお願いしていきたいと考えております。また、堀氏に対しても本件に関して取材をお願いしていくつもりです。

(追記終わり)