iPhone Xを買ってよかったたった一つの理由と、そこから感じるWebの未来

iPhone Xのレビューを見ていると、やれノッチが邪魔だの、写真がきれいだの、ボタンがなくなって画面が大きくなっただのの主にハードウエアとしてのレビューが多い。

個人的には、これまで使っていたiPhone7 plusでも写真は十分満足していたし、animojiは残念ながら、人とのコミュニケーションには使ってないSMSだけの機能だったし、液晶の色は黄色くて別にきれいという印象はあまりない。Apple PAYが顔認証になるとローソンでsuicaを使う時に辛いんじゃないかと思って戦々恐々としてる。

(日吉の慶應義塾大学の協生館のローソンのsuicaの位置が高くて顔認証できるイメージがない)

なのでiPhone Xの購入はしていたのだが、さほどワクワクすることなく、高いお金を使ったなぁと憂鬱なまま商品の到着を迎えた。

ところが実際に触ってみて、その印象は完全に変わった。

控えめに言って買ってよかった。

個人的に思う一番大きな変化は、スワイプを前提としたナビゲーションへの変化、大げさに表現するとタップレスナビゲーションへの変化だった。

アプリの切り替えなどは画面をスワイプすることで行う。

それにあわせて、さまざまなアプリケーションの「戻る」「キャンセル」のナビゲーションは、スワイプで行うことが増えた。TwitterやFacebookなどのアプリはもちろん、多くのアプリにおいてスワイプによる戻るのナビゲーションが実装されていたが、これまでマニア向けのフィーチャーだったのではないかと思う。

基本的には「閉じるボタンの押下」などによるタップナビゲーションが主流だったと思う。センターボタンもTaptic Engineによる押下型のタップインターフェースであったが、今回、センターボタンがなくなったことにあわせて、全体のナビゲーションからもタップの回数が減った。これによる快適性の向上は、かなりモダンな印象を受ける。

更に、顔認証による情報表示のコントロールは秀逸である。

最近、Slackの通知をチャンネル毎に制御して、必要なチャンネルについて通知の量を増やしていたのだが、iPhone Xに通知が来ると通知情報が貯まってくれるがその段階では通知の内容は秘匿されている。「メッセージがN件届いています」のような表示だけがされている。

そこで顔を向けると顔認証されて、ちょっとしたタイムラインのように通知情報が展開されて並ぶようになる。あとはスワイプして状況把握することで、仕事場で起きていることが把握できるようになった。

これにより、わざわざiPhone Xのロックを解除して、アプリを開く必要がなくなった。

ここまで1タップもしていない。

さらに通知領域でslackに対して一言コメントを返すことができる。

iPhone Xをスタンドに立てておいて通知に対して顔を向けるだけで中身を把握することができるのはとても便利。

あぁ、今後は画面に触ることなくFace IDを発展させた画像による行動解析によるナビゲーションやコマンドの入力も行われるのだろうか、とワクワクさせてくれる。

■今後広がるタップレスナビゲーション

最近、Google HomeやLINEのClova Wave、Amazon Echoなどの音声インターフェースが話題になっているが、インターネットサービスの今後は、PCブラウザによる「マウスとキーボードの押下」を前提としたクリック&タップを前提としたナビゲーションは、どんどん後ろ側に追いやられていくだろう。

当然、無くなりはしないがメジャーサービスで高いアクティブ率を誇るサービスの強みとなるインターフェース部分は、よりシンプルな方向に行くハズだ。

更にスマホを含めたIoTデバイスが、シンプルなインターフェースを提供することで、インターネット活用のアクティブ率が向上する。

例えばVODの動画配信サイトをスワイプするだけでプレビューが再生されるようになれば、何を見ようかとタップして選ばせることなく、テレビのように利用者を没入させていくことができる。テレビはスイッチを入れた段階からどこかしらの放送局がデフォルトで流れてくる。そのまま主体的に選ぶという行為をしなければ、視聴者を確保することができる。

インターネットは選択式ナビゲーションがまだまだ主流なので、ユーザーが主体的に情報を選ぶことが前提になっていた。それは利用のハードルを高くする。画面切り替えも煩雑なので、実質的に到達可能な情報には限りがある。

何故、動画配信サイトでタップやクリックさせる必要があったかというと帯域が狭いとか配信コストが無駄であったり、ユーザー側のパケットを考慮してのことであろう。

しかし、最近の動画配信はスクロールすると自動で配信が開始するSNSも少なくない。

徐々に世界はリッチになっていくことで、「わざわざタップする」という行為は減っていくだろう。それにあわせて行動するしないの境界が曖昧になって、選択はスワイプなどを活用してシームレスになっていく。

情報選択の敷居を下げることでユーザのアクティブ率を向上させる競争が始まるだろう。

そうなった時にPCブラウザの選択型ナビゲーションは古いものになる。もっとIoTネイティブなシンプルなインターフェースのための、リッチなデータストリームを活用した情報ナビゲーションが流行るだろう。主となるナビゲーションは文字ではないのかもしれない。動画や音声という可能性が十分高い。

最近、出てきたいろんなものを触っていて、そんなことを考えるようになった。PCのフルキーボードの世界からすると、リモコンにせよスマートフォンにせよウエアラブルデバイスなど制約の大きい操作系による、より特化したナビゲーションを前提としたサービスが増えてくる。特化してあれこれできないからこそ深く没入できる世界を作らねばならない。その時に、どういうサービスを提供しているのか、どういうコードを書いているのかは、まだまだ見えていないし楽しみである。

iPhone Xもそのような道筋を辿ってるように思える。それがFace IDという顔認識、画像解析によるフィーチャーで行われるのは非常に興味深い。まさか顔認識でタッチパネルという「触らないと操作できない」という制約を超えてくるとは思いもしなかった。

これこそが今後の10年を占う入り口なのだろうかと思わざるをえない。