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衆院選直前、11個の質問でみる各党の科学技術政策

榎木英介病理専門医&科学・医療ジャーナリスト
(提供:アフロ)

今年も科学技術政策アンケートやりました

 いよいよ明日(この記事を書いている2021年10月30日からみて)は第49回衆議院議員総選挙の投票日。

 私は仲間と共に、国政選挙が行われるときは、科学技術政策のアンケートを各党に送るなどして政策の比較をしてきた。

 今年もアンケートを行った。

 上記記事にもあるとおり、今回は「日本版AAAS設立準備委員会」と共同で質問を作成した。

 投票日直前になったが、れいわ新選組(れいわ)、立憲民主党(立民)、日本共産党(共産)、自由民主党(自民)、公明党からご回答をいただくことができた。

 より多くの皆さんに、結果をしってもらいたいと思い、アンケート結果をこの記事でも紹介する。既に期日前投票または不在者投票を済ませている方もいらっしゃると思うが、まだの方は投票の参考にしていただけたらと思う。

 なお、アンケートは一般の方々(属性はとくに制限なし)にも御投票いただき、その結果も掲載している(10月30日現在)。政党名は回答が早かった順に並べた。

質問1 科学技術予算は?

 岸田首相の所信表明演説では、科学技術立国の実現が成長戦略の第一の柱とされています。政府支出の研究開発費を今後どうすべきとお考えでしょうか。貴党の政策に最も近いものを1 つお選びください。

A. 大幅に増やす(一般84.7%) れいわ 立民 共産 自民 公明

B. やや増やす(一般13.6%)

C. 現状維持(一般1.7%)

D. やや減らす(一般 0%)

E. 大幅に減らす(一般0%)

上記回答の理由があれば、教えてください。

れいわ新選組: 財務省が行ってきた緊縮財政は、科学技術政策の面では「選択と集中」という形で発現している。国が財務省の緊縮財政を転換しなければ、科学技術立国など夢のまた夢である。

立憲民主党: 資源の乏しい日本においては、研究開発費の増大や研究に関わる方たちへの支援は不可欠だと考えています。

日本共産党: 国の科学技術関係予算の配分を全面的に見直し、人文・社会科学の役割を重視するとともに、基礎研究への支援を抜本的に強めるべきです。また、防衛省の軍事研究費、高速炉開発など原発推進予算、大企業への技術開発補助金、戦略的イノベーション創造プログラムなどの露骨に大企業を支援する産学連携支援策など、不要・不急の予算を削減する必要があります。

 研究者が自由に使える研究費(大学・研究機関が研究者に支給する経常的な研究費)を十分に保障するとともに、任期制の導入を抑え、安定した雇用を保障する制度を確立するなど、研究者の地位を向上させ、権利を保障する必要があります。欧米に比べても極端に少ない研究支援者を増員するとともに、その劣悪な待遇を改善するべきです。そのためにも国立大学法人・独法研究機関の人件費を増額する必要があります。

自由民主党: 「科学技術力は国力に直結する」との考えのもと、「第6期科学技術・イノベーション基本計画に基づき、society5.0の実現に向けた科学技術イノベーションの創出・活性化と力強い成長を官民挙げて推進するとともに、5年間総額30兆円の政府研究開発投資を目指します。

公明党: 科学技術立国の実現に向けて、

  ・世界と伍する研究大学を形成するための「大学ファンド」の10兆円規模への拡充

  ・博士課程学生支援の強化

  ・国産ワクチン開発のための世界トップレベルの研究開発拠点の形成

  ・宇宙やカーボンニュートラル、海洋・極域分野も含めた先端的な重要技術の研究開発の強化

  などの施策を行うために、研究開発費の増額が必要であると考えています。

質問2 科学技術予算の選択と集中は?

科学研究も慢性的な財政難から無縁でなく、研究を成果の上がりそうなものに集中することで効率良い研究開発を行うことを求める声があります。一方で、科学研究というのは何が成功するか事前に予測することは極めて困難であり、長期的にみると、研究者の自由な発想や好奇心に基づいた研究こそが社会に莫大なインパクトを与えるイノベーションを生み出す可能性が高く、そのため、幅広く研究基盤を強化すべきであるという意見もあります(安定した基盤的な科学研究費を拡充・増額する、研究・教育をサポートする各種人材ポストの整備を進める、共同利用・共同研究の仕組みを充実させるなど)。以下の選択肢の中から、貴党の政策に最も近いものを1 つお選びください。

A. 現在よりも「選択と集中」を強化して成果に直結する研究を優先する(一般 6.8%)

B. 現状を維持する(一般 1.7%)

C. 「選択と集中」のあり方を緩和し、研究基盤を幅広く強化する方向にも力を入れる(一般89.8%) れいわ 立民 共産

D. その他(一般1.7%) 自民 公明

その他の回答

自由民主党: 学術研究・基礎研究を一層強力に推進し、その成果を科学技術イノベーションにつなげていくための戦略的基礎研究を強化していきます。

公明党: 科学技術・イノベーションの推進に当たっては、重点分野の研究に投資を行うことおよび幅広く研究基盤を強化することはいずれも重要と考えており、両者の支援のため予算の拡充に取り組みます。

2-2)

上記回答の理由があれば、教えてください。

れいわ新選組: 優れたイノベーションは様々な基礎研究の積み重ねと組み合わせの結果生まれる。財務省の神田真人主計局次長(当時)と京都大学の山極寿一・国立大学協会長が財務省内において、国立大学運営費交付金の配分方法について、怒鳴り合いの論争をしたことが以前に報じられた(2018年12月14日、朝日新聞)が、この論争は山極氏が完全に正しく、財務省の財政再建至上主義に基づく成果主義ありきの弊害を顕にした。れいわ新選組は、教育・科学技術研究予算においても、国債発行(財政出動)による積極財政への転換を主張しています。

立憲民主党: 特に基礎研究については、何に応用できるかわかるまでの時間がかかるため予算が削減されがちですが、短期的な成果の見込めるものなどに限らず、広く継続的に実施できるよう、予算の充実化を推進するべきだと考えています。

 イノベーション(技術革新)を促す基礎研究への投資拡大と、長期的な研究環境を整えるとともに、成果の実用化環境を整備します。オープンイノベーション促進の一環として、産学連携をさらに強力に推進します。

日本共産党: 科学、技術は、国がその多面的な発展をうながす見地にたって、研究の自由を保障し、長期的視野からのつりあいのとれた振興をはかってこそ、社会の進歩にひろく貢献することができます。とりわけ、基礎研究は、目先の経済的利益につながらなくとも、科学、技術の全体が発展する根幹であり、ここにこそ国の十分な支援が必要です。基礎研究が枯れてしまえば、政府がいうイノベーション(新しい社会的価値や技術の創造)も望むことができません。

 ところが、自民党政府は基礎研究を軽視し、目先の経済的利益につながる研究に集中投資するための「選択と集中」を推進してきました。科学技術基本法が制定された1995年以降、科学技術関係予算は、1.5倍になりましたが、増えたのは国が審査し、配分先を決める競争的資金です。予算に占める割合は6%から15%に2.5倍になりました。一方、公的研究機関の研究開発費は6%増にとどまり(2019年度)、国立大学の運営費交付金は04年の法人化後、約1,470億円を超えて削減されました。その結果、自然科学系の学術論文のうち注目度が高い上位10%の論文数の日本の順位は、20年前の4位から10位に後退し、研究力の低下に歯止めがかかりません。

 自民・公明政権のこうした失政を改める必要があります。

公明党: 科学技術・イノベーションの推進に当たっては、幅広く研究基盤を強化すべく、多様な分野で研究者が腰を据えて研究を実施できる環境を構築するとともに、世界において鎬を削っている重要分野において、スピード感を持って投資を行うことが不可欠だと考えます。

 こうしたことから、これまで、運営費交付金などの基盤的経費や科研費により、卓越した研究を裾野広く支えつつ、トップダウン型の競争的研究費を通じて、国として研究の加速が必要な分野への重点投資を行ってきていると認識しています。このような公的研究費の投資によって、メリハリのある支援を行うことは、予算を効果的に配分するに当たって必要なことと考えております。

質問3 国立大学運営費交付金は?

国立大学の予算として、各大学が自己裁量で使える運営費交付金はこの20 年、毎年削減されてきました。この(大学の規模に応じて自動的に配分される)運営費交付金についてお尋ねします。貴党の政策に最も近いものを 1 つお選びください。

A. 増額する(一般93.2%)れいわ 立民 共産 自民

B. 減額する(一般1.7%)

C. 現状配分されている金額程度を維持する(一般5.1%)

D. その他(一般0%)公明

その他の回答

公明党: 必要な予算額を確保します。

3-2)

上記回答の理由があれば、教えてください。

立憲民主党: 大学運営費交付金については、維持・増額を図り、大学財政を健全化していくべきです。

日本共産党: 2004年の国立大学法人化後、国立大学運営費交付金は約1470億円を超えて削減されました。

 交付金削減で、日本の知的基盤を壊すさまざまな問題が噴き出しています。

 教職員の雇用の安定化は急務です。とくに、40歳未満の任期付き教員の割合は39%(07年)から64%(17年)に急増しています。不安定な研究職は不人気となり、博士課程に進学する学生は17%(00年)から9%(18年)に激減しています。放置するならば学術の後継者が不足し、日本の社会発展の基盤を失いかねません。政府も博士課程進学者を増やすために大学院生の経済的支援を強化していますが、修了後の安定雇用を増やさないと新たな「高学歴難民」をうむだけです。安定した研究職を増やすには、交付金を増額するしかありません。

 論文数の減少など研究力低下に歯止めをかけ、回復するためにも交付金の増額は必要です。

 研究力低下の原因は、交付金を削減して競争的研究資金に移す「選択と集中」により、地方大学など中小の大学の資金が枯渇し、研究が中断していることにあります。文部科学省の科学技術・学術政策研究所も、研究力向上のためには、「上位層に続く層の厚みを形成するといった施策が必要」(「研究論文に着目した日英独の大学ベンチマーキング2019」2020年3月)と指摘しています。

 学費値上げに歯止めをかけ、学生の経済的支援を強化することも待ったなしです。

 コロナ禍のもとで、バイト収入が減り、食費にも事欠く学生が多数います。異常に高い学費や貧弱な奨学金が、学生の学ぶ権利を奪っています。経済的に困難な学生の授業料免除の拡充や国立大の授業料の引き下げのためにも交付金の増額が必要です。私学助成の抜本的拡充と一体で行い、国立大学が全大学の学費引き下げを先導すべきです。

自由民主党: わが国の人材育成及び学術研究の中心的役割を担う国公私立大学の抜本的改革を確実に進めるとともに、運営費交付金や施設整備費補助金、私学助成などの基盤的経費を確実に措置します。特に国立大学については、客観的な成果指標に基づく資源配分の仕組みを通じた資源配分の仕組みや財務基盤の強化などの大学改革を断行するとともに、「指定国立大学法人制度」により世界最高水準の卓越した教育研究活動を行う大学を支援します。

公明党: 国立大学は、我が国の人材育成・学術研究の中心であり、その活動基盤を形成する国立大学法人運営費交付金の確保は重要であると認識しています。令和4年度から始まる第4期中期目標期間において、国立大学は社会変革や地域の課題解決を主導することが期待されており、今後も引き続き、国立大学が継続的・安定的に教育研究活動を実施出来るよう、運営費交付金について、必要な予算額の確保にしっかりと努めてまいりたいと考えております。

質問4 予算の配分方法について

国立大学の機関評価に基づく運営費交付金の傾斜配分や機関向けの競争的資金は、評価の負担に対して実効性が小さく、既存の格差を拡大するだけで公平性にも欠けるという意見があります。機関向け評価への対策、機関間の競争的資金の獲得やその獲得後の運用などで教員が疲弊し、肝心の研究・教育に集中できなくなっているという状況も発生しています。10 兆円ファンド構想も機関向け競争的資金として配分されることになると、そのような状況を悪化させるのではないか、という懸念もあります。機関間の健全な競争を促進するための方法として、貴党が最も重視する政策を 1 つお選びください。

A. 政府が大学やプロジェクトを評価し、機関間での競争を促した上で、傾斜をつけた運営費交付金の配分や、機関向けの競争的資金の重点配分を進める。(一般13.6%)自民

B. 「機関評価に基づく傾斜配分枠の運営費交付金」の割合と「機関向けの競争的資金」の双方を削減し、機関の自主性にまかせた自然な競争を促進する(例えば、企業との共同研究費を企業と国で負担するマッチングファンド、大学への寄付のふるさと納税のような税控除の拡大、研究費の間接経費割合の増額などによる競争など)。(一般35.6%)

C. 大学間に競争関係をつくるような資金の付け方は好ましくない。(一般50.8%)れいわ 立民 共産

4-2)

上記回答の理由があれば、教えてください。

立憲民主党: 「10兆円規模の大学ファンド」については、助成を受けられる対象大学が一部に偏ることなく、幅広く地方大学まで対象とすべきです。

日本共産党: 国立大学運営費交付金は、大学の原案をもとに文科相が定めた6年間の中期目標・計画を遂行するために国が措置するものです。大学の裁量を拡大するために「渡し切り」とされました。

 ところが、文科省が定める寄付金実績や若手研究者比率などの評価指標による傾斜配分が導入され、大学に交付金の獲得競争を強いています。

 国立大学協会は、傾斜配分は「大学の教育・研究活動の基盤を不安定化させ、その水準向上等をかえって阻害する」として廃止を求めています。国立大学法人制度の根幹を壊す傾斜配分の廃止は当然です。

 「スーパーグローバル大学」支援や「指定国立大学」制度など、一部の大学・大学院に対して多額の資金を投入し、文科省の関与も強めるような予算配分のあり方は見直す必要があります。大学に対する競争的な資金については、今年1月に創設を決めた大学ファンドも含めて、政府の裁量で配分する仕組みではなく、大学関係者、学術関係者を中心にした独立した機関を確立し、審査内容の公開をはかるとともに、公正な評価にもとづいて配分するようにするべきと考えます。

公明党: 「その他」を選択します。我が国では、これまで運営費交付金などの基盤的経費やトップダウン型の競争的研究費によるデュアルサポートシステムを通じて、国として研究の加速が必要な分野への重点投資を行っています。運営費交付金においては、国立大学における教育研究の継続性や安定性のバランスに留意しつつ、教育研究活動の実績、成果等を客観的に評価し、その結果に基づく配分を実施しております。これに加え、世界と伍する研究大学の実現に向けた10兆円規模の大学ファンドの創設や、博士後期課程学生等への支援の抜本強化を行いたいと考えています。こうした施策全体を通じて、我が国の研究力向上をめざし、全力で推進してまいります。

質問5 安全保障に関する研究について

各省庁が独自の目的を持って大学と共同研究を行ったり、研究助成を行ったりすることがありますが、近年特に防衛省の「安全保障技術研究推進制度」や、軍民共用技術(デュアル・ユース)について大学研究者が防衛省から資金を得て研究することに関しては、研究コミュニティの中も含め社会で様々な意見があり、議論が行われております。以下の選択肢の中から、貴党の政策に最も近いものを1 つお選びください。

A. 政府はこれらの研究を拡充すべきだが、実施については個々の研究者が判断すべき。(一般35.6%)自民

B. 政府はこれらの研究を拡充すべきだが、実施については研究機関や学会などが国民の意見も十分聴取した上でガイドラインを策定すべき。(一般40.7%)

C. 政府はこれらの研究を縮小すべきだが、実施については個々の研究者が判断すべき。(一般6.8%)

D. 政府はこれらの研究を縮小すべきだが、実施については研究機関や学会などが国民の意見も十分聴取した上でガイドラインを策定すべき。(一般16.9%)れいわ 立民 共産

上記回答の理由があれば、教えてください。

れいわ新選組::デュアルユースの名目をつけないと研究資金が十分に得られない現状に問題がある。どこまでが許容される範囲なのかどうかは、ご指摘のように「研究機関や学会などが国民の意見を聴取した上でガイドライン」を策定し、スピンオン(民→軍)についても、いわゆる「軍産複合体」の誕生を招かぬようにしっかり議論すべきです。

立憲民主党: 大学等の各研究機関で軍事的安全保障研究と見なされる可能性のある研究について、基本原則や基本方針の導入、適切性を審査する制度などを検討するべきだと考えています。

日本共産党: 自民・公明政権は、大学・公的研究機関を軍事研究の下請け機関へ変質させる防衛省の「安全保障技術研究推進制度」を2015年に創設するなど、「海外で戦争する国づくり」の一環として、「軍学共同」の動きを急速に強めています。防衛省の「安全保障技術研究推進制度」は廃止するべきだと考えます。

 日本学術会議が2017年に「軍事研究を行わない」とした1950年と67年の声明を「継承する」とした新しい声明を決定しました。声明は、防衛省の「安全保障技術研究推進制度」について、「将来の装備開発につなげるという明確な目的に沿って」いるとし、「政府による研究への介入が著しく、問題が多い」と断じたことは重要です。声明は、「研究成果は、時に科学者の意図を離れて軍事目的に転用」される危険があるため、「研究資金の出所」について「慎重な判断が求められる」とし、大学などの研究機関に対して、軍事研究とみなされる研究について審査する制度の設置を求めました。

 少なくない大学が、研究推進制度には応募すべきではないとの指針を定めています。学術界全体が、学術会議の声明を生かし、軍事研究拒否の明確な指針をもつことが期待されています。

公明党: 「その他」を選択します。科学技術の多義性を踏まえ、大学の研究成果が社会に還元され、様々な形で活用されることが重要です。その際、個々の研究への対応については、個々に判断されるものと考えます。

 一方、近年、安全保障環境の変化は、格段に速いスピードで厳しさと不確実性を増しています。そのような中で、国民の生命・財産を守るために、安全保障に関わる技術の維持、向上などは重要です。そうしたことを踏まえて、政府において、大学、民間等の活用のあり方などについても積極的に検討していると承知しています。

質問6 研究者のキャリアについて

アカデミックな研究者のキャリアは、かつて多くの大学では一度教員職として就職してしまうとほとんど解雇されず同一のポストに留まるため、研究活動が停滞し、さらに人事も権威主義的で閉塞したものになるという批判がありました。現在ではキャリア初期の雇用は「ポスドク」(任期付きで数年を限度とする雇用契約であり、広義には任期付助教・講師も含まれる)になることが一般的になりました。例えば、日本最大の研究機関である理化学研究所の所員の7割は、任期付きだと言われています。しかし、1980年代に6千人台だった博士号取得者数は2010年台には1万6千人に達するなど倍以上に増加した一方で、終身雇用の枠は大きく増加することはなく、また日本社会固有の問題として30歳を超えると他のキャリアに転身することも難しいため、研究者のキャリアパスは極めて厳しいものになっています。このことが、研究適性の高い若手が研究者になることを躊躇う理由にもなっていると考えられています。この点について、今後どのような方向性が最も好ましいとお考えでしょうか。貴党の政策に最も近いものを1 つお選びください。

A. これまで通り流動性と競争性を高めるためポスドクや任期付き教員の雇用を維持もしくは拡大すると共に、企業での博士雇用を促進するなど、雇用の流動化を高める。(一般10.2%)自民

B. 方針を転換ないし緩和し、安定した研究環境を整えるため、かつてと同様の無期雇用の比率を高める。(一般22.0%)れいわ 共産

C. 安定した雇用を提供しつつ、流動性・競争性も担保するための新しい人事システムを創出する。例えば、研究費助成機関(JSPS、JST、AMED など)または大学コンソーシアムが無期雇用ポストで研究者/教員を雇用し、大学や企業などに派遣するような仕組み(人件費は大学や企業などが外部資金や自己資金などから派遣元に支出し、必要に応じて研究者/教員にも追加の給与を支払う)など。(一般61.0%)

D. その他(一般6.8%)立民 公明

その他の回答

立憲民主党: 以下の理由欄をご参照ください

公明党: 我が国の研究者支援においては、多様なキャリアパスの整備、安定的なポストの拡充、大学を含めた各研究機関の人事給与マネジメント改革等のいずれの取組も重要であり、これらを総合的に推進していく必要があります。

6-2)

上記回答の理由があれば、教えてください。

れいわ新選組: 「期限付き雇用」というのは研究者が人間として、結婚や家庭などの計画を建てる上でハードルになっていく。

立憲民主党: ポスドクを含む研究者や大学院生の処遇改善を推進したいと考えています。大学などの理系カリキュラム改善やインターンシップを産学官連携で推進し、またテニュアトラック制の普及などにより優秀な若手研究者を支援します。また、研究者が研究に専念できる環境を整備するため、補助員の配置などに対する支援を検討していきます。

日本共産党: 国立大学の40歳未満の任期付き教員の割合が急増しています。不安定な研究職は不人気となり、博士課程に進学する学生が激減しています。日本学術会議は流動性を高めることを目的にした任期制の導入は「失敗した」と断言しています(「第6期科学技術基本計画に向けての提言」2019年10月)。

 欧州では、研究者も期間の定めのない労働契約が原則とされ、流動性は、研究者が専門家としての能力を高めるための手段として位置づけられています(欧州委員会「研究者採用行動規範」2005年)。任期付き雇用の拡大は、雇用主の都合で研究者を「使い捨て」にできるようにするだけで有害です。人間の尊厳を傷つけるような雇用のあり方は一掃しなければなりません。現状を放置するならば学術の後継者が不足し、日本社会の知的基盤を失いかねません。

自由民主党: 若手研究者への重点支援と、 若手から中堅・シニア、基礎から応用・実用化までの切れ目ない支援を実現していきます。

質問7 研究不正について

研究不正が続発し、研究成果の「再現性の危機」が生じていることは、国際的にも問題視されつつあります。現在、研究不正の調査委員会は、当該研究者が所属する大学などの機関が設置・運営するため、研究不正の認定はその機関の利益に必然的にマイナスとなる、という強い利益相反を伴う仕組みになっています。また、研究不正は教授が下位の教員に、教員が学生に、協力を強要するハラスメントを伴うこともありますが、これも同様な利益相反を伴うため、大学内のハラスメント対応部局の実効性にも問題があるという意見があります。こういった状況を改善するための方策として、貴党の政策に最も近いものを1 つお選びください。

A. これまで通り当事者である各大学に任せる。(一般18.6%)

B. 米研究公正局(ORI)のような政府機関、外部機関を設立するなど、利益相反のない第三者組織が研究不正やハラスメント問題を調査する仕組みを導入する。(一般79.7%)れいわ 立民 共産

C. その他(一般1.7%)自民 公明

その他の回答

自由民主党: 研究の公正性を維持する責務は、一義的には研究者本人や研究機関が負うべきものであると考えています。それを前提として、国は所管する研究機関等の全体状況を把握するとともに、必要な場合は適切な関与を行うことが必要です。

公明党: 研究不正の防止について、国では「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」(平成26年8月26日 文部科学大臣決定)等を策定し、公正な研究活動の推進に取り組んでおります。

 なお、同ガイドラインにおいては、各研究機関における調査委員の半数以上は外部有識者とすること、全ての調査委員は告発者及び被告発者と直接の利害関係を有しない者でなければならないこと、悪意に基づく場合を除き告発者に対して不利益な取扱いをしてはならないこと等を定めており、研究機関におけるこうした体制整備の状況等について調査・指導を行っていると認識しています。

7-2)

上記回答の理由があれば、教えてください。

立憲民主党: 研究現場でのアカデミックハラスメントやセクシュアルハラスメント対策を推進し、意識、慣行の見直しを促進すべきだと考えています。

 いわゆるアカデミックハラスメントへの公平で公正な対応のため、大学・研究機関から独立した第三者機関の設置・対応を検討します。キャンパスロイヤー制度・被害者救済制度の強化も検討します。

日本共産党: 不正の根絶をはかるために、科学者としての倫理規範の確立を促すとともに、不正の温床となっている業績至上主義とそれを助長する過度に競争的な政策をあらためます。大学・研究機関における外部資金の管理を厳格におこないます。

 研究不正の告発を受けた際に、大学・研究機関が調査する機能を充実させるための支援を強めます。

ハラスメント対策については、これを禁止する法規定がないなど日本は諸外国と比べて極めて遅れており、大学・研究機関にとどまらない日本社会全体の課題です。

 日本共産党は、10月1日に発表した「ジェンダー平等の日本へ いまこそ政治の転換を」の中で、「ハラスメントを明確に禁止し、なくします」として、被害の認定と被害者救済のために、労働行政の体制を確立・強化するとともに、独立した救済機関を設置することなどを提案しています。

 →https://www.jcp.or.jp/web_policy/2021/10/post-888.html#_s06

質問8 大学教員数について

現在、大学教員が、研究資金の申請・報告や各種大学運営・事務業務で忙殺され、本来、集中して行うべき研究や教育のための時間が十分に確保できていないという調査や報道があります。また、授業の多くが非常勤講師に担われているという事情もあります。この点を踏まえて、大学教職員数について、貴党の政策に最も近いものを1 つお選びください。

A. 無期雇用による教員の枠を復旧・拡充しつつ(問6の選択肢C のような仕組みの導入も含む)、教員のライフステージに合わせた適材適所の人材再配置の仕組みを導入することにより分業体制を整備する。例えば、リサーチ・アドミニストレーター(URA)、技術支援員(無期雇用)などの研究・教育支援職への教員の異動を活性化する。(一般88.1%)れいわ 共産

B. 競争的資金により、有期雇用の特任教員などを雇用する仕組みを拡充する。(一般 5.1%)自民

C. 現状維持、ないし人員削減を目指す。(一般1.7%)

D. その他 (一般5.1%)立民 公明

その他の回答

立憲民主党: 研究や教育に専念できる環境が整うような大学教職員数にすべき

公明党: 大学教職員数については、各大学の人事政策等様々な要因によるものであり、一概にその在り方について述べることはできませんが、一人ひとりの大学教員が教育研究に専念できることが重要であり、そうした環境の整備を促して参ります。

8-2)

上記回答の理由があれば、教えてください。

立憲民主党: ポスドクを含む研究者や大学院生の処遇改善を進めるべきです。大学などの理系カリキュラム改善やインターンシップを産学官連携で推進し、またテニュアトラック制の普及などにより優秀な若手研究者を支援します。また、研究者が研究に専念できる環境を整備するため、補助員の配置などに対する支援を検討していきます。

日本共産党: 大学教員にしめる35歳未満の割合は10.3%に低下し、将来の学術の担い手が不足しています。国立大学法人が「総人件費改革」で5年間に削減した人件費だけで、若手教員1万6千人以上の給与に相当します。国立大学が削減した人件費分を回復するために、国から国立大学への運営費交付金を大幅に増額し、任期付き教員を無期雇用に転換し、教員の採用を大きくひろげる必要があります。欧米に比べても極端に少ない研究支援者を増員するとともに、その劣悪な待遇を改善するべきです。そのためにも国立大学法人・独法研究機関の人件費を増額します。

質問9 日本学術会議の会員任命について

2020 年、日本学術会議が推薦した候補者 105 名のうち、6 人の任命を政府が拒否したことが話題になりましたが、この議論は日本学術会議の位置付けの問題を巡る議論にも発展しています。以下の選択肢の中から、貴党の政策に最も近いものを 1 つお選びください。

A. 日本学術会議は行政府の一部局として、人事権も含めて総理大臣がある程度の権限を行使すべきである。(一般 16.9%)

B. 日本学術会議は政治から独立した学術的な知見を行政に対して助言するための機関であり、人事権などを含めて可能な限り行政から独立していた方が良い。(一般62.7%)れいわ 立民 共産

C. 学問は行政から独立していることが好ましいが、そのためには予算的に政府から独立し、特別な勧告や資料要求などもできない民間の非営利組織になった方が良い。 (一般16.9%)

D. その他 (一般3.4%)自民 公明

その他の回答

自由民主党: 日本学術会議の位置づけについては、昨年12月9日に「政策決定におけるアカデミアの役割に関する検討PT」でとりまとめた「日本学術会議の改革に向けた提言」の中で、組織や機能のあり方を検証しています。これを踏まえて頂くとともに、新たな時代にふさわしい自己改革の実現を期待しています。

公明党: 現在、日本学術会議においては、組織の見直しの検討をしていると承知しています。

 この事案に対し、政府がどう取り組もうとしているのか。国民に分かりやすい対応をしてもらいたいと考えています。

9-2)

上記回答の理由があれば、教えてください。

立憲民主党: 日本学術会議法によれば、学術会議の会員は、同会議の推薦に基づき総理が任命することになっており、総理に裁量権があるわけではありません。勝手に内閣総理大臣が判断することはできず、明確な違法行為です。第98回国会の参議院の文教委員会(1983年5月12日)で、中曽根康弘総理大臣による「これは、学会やらあるいは学術集団から推薦に基づいて行われるので、政府が行うのは形式的任命にすぎません。したがって、実態は各学会なり学術集団が推薦権を握っているようなもので、政府の行為は形式的行為であるとお考えくだされば、学問の自由独立というものはあくまで保障されるものと考えております。」との答弁を逸脱するものであり、何よりも学問の自由を保障している憲法の精神にも抵触するものです。

日本共産党: 違憲・違法の任命拒否を撤回させ、学術会議の独立性を守るとともに、任命拒否に至った全容を明らかにし、再発を防止する必要があります。日本学術会議の自主的改革を尊重し、予算や事務局体制を欧米のアカデミー並みに増額・充実するべきです。

 日本学術会議は、科学者が軍事研究に総動員され、科学の独立を維持できなかった戦前・戦中の反省のもと、「わが国の平和的復興と人類の福祉増進」のために、日本の科学者を代表する国の機関として設立されました。これまで新型コロナ等の感染症対策やジェンダー平等、東日本大震災の被災者救援と復興、気候変動、環境対策、原発、エネルギーなど社会が直面するさまざまな課題について、科学者の英知を結集して、政府への的確な助言・提言を行ってきました。まさに、「科学者の社会的責任」を果たすための組織として、国民生活や権利の向上に貢献してきました。

 ところが、自民党政府は、こうした科学的な助言・提言に耳を傾けず、政権に「従順」な審議会をつくるなどして、学術会議の影響を削ぎ、学術会議そのものの変質を策してきました。

 菅政権に至っては、学術会議の人事に介入し、「科学者の社会的責任」を果たすうえでの要である独立性を奪おうとしました。自民党は、時の政府の「政策」を推進するための「シンクタンク」への変質を迫っています。

 日本学術会議が独立性を失い、政権に忖度する組織に改編され、学問の自由が奪われるなら、科学は政治の下僕となります。そのことによって、国民に災厄がもたらされることは、科学を無視する安倍・菅政権が新型コロナ対策で失敗し、国民の命が危機にさらされていることからも明らかです。

質問10 日本学術会議の会員選出について

日本学術会議では、210 名の現会員と約2000 名の現連携会員が、それぞれ最大5 名の会員・連携会員(うち会員は最大2 名)を推薦し、選考委員会が105 名の次期会員と約1000 名の次期連携会員を選出して半数改選される仕組みになっています。この学術会議の会員選出の方法について改善を望む声があります。学術会議の会員/連携会員の選出方法の改善について、以下の選択肢の中から、貴党の政策に最も近いものを1 つお選びください。

A. 研究・業績の評価基準を明確にし、選考過程を公開するなどし、その透明性の向上をはかる。(一般35.6%)れいわ

B. 研究・業績の評価基準を明確にした上で、研究コミュニティによる投票で選出する仕組みに変更する。(一般28.8%)

C. 日本学術会議は、研究コミュニティの意見をオープンに広く聴取し、その意見を踏まえた上で改善案を策定。(一般16.9%)共産 自民

D. 現状維持でよい、あるいは、日本学術会議に原則一任する。(一般18.6%)立民

E. その他 (一般0.0%)公明

その他の回答

公明党: 問9と同じ回答になりますが、現在、日本学術会議においては、組織の見直しの検討をしていると承知しています。

 この事案に対し、政府がどう取り組もうとしているのか。国民に分かりやすい対応をしてもらいたいと考えています。

10-2)

上記回答の理由があれば、教えてください。

立憲民主党: 現在の会員・連携会員が次の候補者を推薦する「コ・オプテーション方式」がとられていますが、海外の同様の組織でも採用されている世界標準に適うものと受け止めています。なお、会員選考の手続き・過程については、さらに透明・公正さの向上が図られるように努めていただきたいと考えます。強化すべき審議課題と求める人材像を明確にして、選考方針を公表するとのことですが、国民の目によく見えるように配慮していただきたくこと要望します。候補者のリストアップについて、日本学術会議内ではなく、外部からも情報提供を受ける方策が検討されているとのことですが、これらの検討・取り組み状況をしっかり見据えていきたいと考えます。

日本共産党: 日本学術会議の自主的改革を尊重するべきと考えます。

自由民主党: 会員数の規模、正・連携会員の種別撤廃、任期、選考基準は三部制でいいのか、企業・産業界研究者・外国人・若手の登用、地域・年代・ジェンダー別の構成比等の様々な課題があると考えています。引き続き、コ・オプテーション方式を採用する場合は、複数段階での投票や優先順位付け等、より透明で厳格な運用が求められます。また、新領域の研究者等が推薦されにくいという構造に鑑み、第三者機関による推薦など、会員による推薦以外の道を確保すべきです。その際、学術界全体からの支持、新たな領域や課題への柔軟な対応、かつ政策のためのアカデミアとしての機能を果たせる仕組みとなっているかを検証すべきだと考えています。

質問11 人材の国外流出について

日本の科学者が、欧米、中国などに移住し、研究を続ける事例が増加していると言われています(例:千人計画など)。以下の選択肢の中から、貴党の政策に最も近いものを1 つお選びください。

A. 研究・業績の評価基準を明確にし、選考過程を公開するなどし、その透明性の向上をはかる。(一般35.6%)れいわ

B. 研究・業績の評価基準を明確にした上で、研究コミュニティによる投票で選出する仕組みに変更する。(一般28.8%)

C. 日本学術会議は、研究コミュニティの意見をオープンに広く聴取し、その意見を踏まえた上で改善案を策定。(一般16.9%)共産 自民

D. 現状維持でよい、あるいは、日本学術会議に原則一任する。(一般18.6%)立民

E. その他(一般0%)公明

その他の回答

公明党: 国際的な頭脳循環が加速する中、我が国の科学技術・イノベーションにおける国際競争力を維持・強化するためには、

・国内外の研究者の派遣・受入れといった研究交流の推進や、

・世界的な研究拠点の形成など、研究者が日本で研究をしたいと思えるような魅力ある研究環境の整備

などの様々な取組を進めることで我が国が国際研究ネットワークの中核に位置付けられることが重要であると考えています

11-2)

上記回答の理由があれば、教えてください。

れいわ新選組: 人材流出、技術者流出は、日本国内で活躍の機会を見いだせない学者や技術者を技術を求める第三国がリクルートするので起こる現象だ。日本の研究環境を充実させる、資金面での国の支援を充実させるなど支援体制を整えるべきである。

日本共産党: 国立や独立行政法人の研究機関は、国民生活の向上、産業振興、民間企業が担おうとしない基礎研究など、国民の要求にこたえる研究機関としての役割を発揮することが求められています。

ところが、自民党政治のもとで公務員削減がつづき、国民的、社会的に必要とされる分野が切り捨てられています。定員削減により国立感染症研究所の機能が弱体化してきたことは、その典型です。

国立研究開発法人では、国策にもとづいたプロジェクト研究を政府の都合で自由に編成できるように、非正規雇用が野放図に拡大しています。とりわけ国研で最大規模の理化学研究所は、8割弱が非正規雇用で、研究センターやプロジェクトチームの再編のたびに大規模な解雇や雇止めが横行しています。短期的な成果主義が蔓延し、優秀な研究者が米国、中国などの研究機関、企業に流出する事態が起きています。

国民生活、産業振興、基礎研究に係る重要な分野は研究者を増やし、正規雇用を基本にして、任期付き雇用は限定するべきです。

病理専門医&科学・医療ジャーナリスト

1971年横浜生まれ。神奈川県立柏陽高校出身。東京大学理学部生物学科動物学専攻卒業後、大学院博士課程まで進学したが、研究者としての将来に不安を感じ、一念発起し神戸大学医学部に学士編入学。卒業後病理医になる。一般社団法人科学・政策と社会研究室(カセイケン)代表理事。フリーの病理医として働くと同時に、フリーの科学・医療ジャーナリストとして若手研究者のキャリア問題や研究不正、科学技術政策に関する記事の執筆等を行っている。「博士漂流時代」(ディスカヴァー)にて科学ジャーナリスト賞2011受賞。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。近著は「病理医が明かす 死因のホント」(日経プレミアシリーズ)。

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