すでに50%の企業が副業解禁!有意義な副業はこうやってつくり上げる

鳥羽のっけ醤油(秋吉龍治撮影)

 2月15日、パーソル総合研究所は「副業の実態・意識調査結果【企業編】」を公表した。

 調査によれば、副業を認めている企業は50%にものぼる。また、副業を解禁したことで、会社への忠誠度や、本業のパフォーマンス、モチベーション、集中力、効率性なども向上することが明らかになった。しかも、条件付き許可よりも全面許可のほうが、その傾向は高くなる。

 2014年度の中小企業庁「兼業・副業に係る取組み実態調査事業報告書」では、副業を容認している企業は、14.7%に過ぎなかった。それがこの数年で、状況は一気に変わったようである。筆者は2016年9月に「独立の前に副業から:年収にプラス100万円を稼ぐために最初にやること」という記事のなかで、副業は最高の社員教育であると述べた。副業こそが、本業においても働きがいを高め、生産性を向上することが、ようやく理解されてきたようである。

 多くの人たちが、副業を意識し始めていることだろう。とはいえ、場当たり的なことに取り組んでも、有意義な仕事にはなりにくい。当記事では、副業を成功させるための準備について、事例を挙げながら述べていくことにしたい。

副業の心構え

 好きなことを副業にするには、まず好きなことを見つける必要がある。得意なことを、と言う場合もあるが、好きなことを続けていけば、いずれ得意になるはずだ。反対に、得意なことでも楽しみや面白みを感じられなければ、続けることはできない。

 好きなこととは、感情ではなく、心の問題である。つまり、快楽や快適さを求めることではなく、たとえ不快であっても、それに従事することで充実感を得られることだ。とりわけ人は、自らの強みを活かして、他者に喜ばれることで、充実感を覚える。好きか嫌いかを判断するには、この二つを踏まえた経験に携わってみるとよい。

 副業を行うためには、最初から大きな利益を得ようとしないほうがいい。利益は、実力に応じて得られる。この場合の実力には、スキルのみならず、経歴やバックグラウンド、信用や信頼なども含まれる。これらが形成されないうちに短期的な利益を得ようとすると、どこかで行き詰まることになる。したがって、副業を始める前に、まずは色々な場所へと足を運び、実際に携わってみることで、自分の好きなことを見つけよう。それが見つかったら、さらに経験を積みながら、ビジネスの機会を発見するのである。

 ようするに、現場に入り込むことである。体験し、人と話し、違和感や気づきを得ることで、ビジネスへの道筋をつかみ取るのである。とくに重要なのは、誰と関わることで成果が最大化するのかを見きわめることだ。そのためには、彼ら一人ひとりの求めるものを理解し、ビジネスに参加するすべての人を満足させる方法を見つけ出すことが肝心である。

三重県答志島の事例

 関わる人のニーズを踏まえたビジネスの事例として、筆者の住む三重県の答志島の商品開発を取り上げたい。

 答志島では春になると、わかめの収穫が行われる。大量のわかめのうち、めかぶや葉の部分は出荷されるが、茎の部分は出荷されず、ほとんどが海に返される。人手が足りないからだ。

 しかし茎の部分は、答志島では食べられている。歯応えがあって、なかなかの美味だ。うまく加工すれば、ビジネスになることが想定されよう。ここで鍵となるのは、料理人である。しかも、可能なかぎり創造的な姿勢をもった料理人が必要だ。

 そうはいっても、根本的な問題は、人手が足りないことである。しかし人は、単に人手として扱われるのが好きではない。反対に、参加することで明確なメリットが得られるならば、自ずと人は集まるだろう。例えば学生であれば、彼らの求めるものは、成長である。とくに、社会人として成長するための経験が得られれば、積極的に活動に参加するはずだ。

 整理すると、各プレイヤーの求めるものは、以下のようになる。

 答志島  →  労働力

 料理人  →  ビジネスの機会

 学生   →  社会人としての成長

 基本的に商品化を目指すビジネスは、生産、加工、流通の流れをどうつくるかにかかっている。そこで、次のような仕組みを考えた。答志島の漁師には、労働力を提供する対価として、茎を提供して頂く。料理人は、その茎を加工して収益を得る代わりに、学生のビジネス経験を提供する。学生は、労働力を提供したのち、商品のアイディアと販促の方法を考えることで、成長の機会を得る。かくして、すべての人が満足する仕組みがつくられることになる。

 料理人には、うってつけの人がいた。世界有数のホテル、リッツ・カールトンで働いたのち、ビジネスマンとしてのキャリアを積み、現在は飲食アドバイザーとして独立している、秋吉龍治さんだ。秋吉さんは、学生の面倒みがよく、物事を追求するタイプの人である。また、数々の商品開発実績があり、創造性も高いといえる。

 それから、答志島への学生の受け入れは「結(ゆい)」の佐藤力生さんにお願いした。佐藤さんは水産庁のOBで、退社後より答志島に多数のボランティアを送り込んできた人である。実績があるし、答志島とのつながりも深い。なによりも、答志島を盛り立てようという熱意がある人だ。

 学生は、半分はわが皇學館大学の学生に参加してもらう。しかし、せっかくなので他の大学からも人を呼ぼうと思い、ボランティアサイトの ACTIVOで募集をかけることにした。他大学の学生には、希望者にのみ、企画を考えてもらうことにしたい。

 こうしてつくられた商品が鳥羽のっけ醤油である。刺身や卵かけご飯などに少量のせるだけで、いつもの食卓ががらりと変わる。秋吉さんのセンスが光る商品だ。伊勢や鳥羽でおみやげとして販売することが決まっているが、通販も行うことにしたので、よろしければご賞味いただきたい。

 このように、ビジネスの機会は、各人の満たされていないものを理解し、相互に補い合うことができるときに生まれる。それを実現するためには、一定の準備期間が必要となる。うまく連携することのできる状況や、人との信頼ができたときに、ビジネスの仕組みもまたつくり上げられるのである。

 最後に、誰と関わるかにおいて、最も重要なことがある。それは、自分の利益ばかり優先するのではなく、全体の利益を考慮しながら、他者に貢献しようとする人である。ペンシルベニア大学のアダム・グラントは、このような人を、他者志向型のギバーと呼ぶ。よいマインドをもった仲間には、決してくれくれさん(テイカー)を入れてはならない。ビジネスは、人と人との協調次第である。