スイーツから憧れの人まで!“一番いい時に50代”Toshlの素顔

バラエティー番組でも活躍中のToshl

 最近、バラエティー番組で大活躍中のToshlさん。“スイーツ男子”という意外な一面を公開し、8月から「龍玄とし」名義で始めたブログも話題になっています。そんなToshlさんが、ファンの期待に応えて、初のカバーアルバム『IM A SINGER』を制作。現在の活動に対する考えやアルバム制作の裏話など、じっくりお話をうかがいました。

――“今年のブレイクタレント”ランキングのNo.1なんじゃないかというぐらい、最近はバラエティー番組でご活躍ですよね。ご自分ではいかがですか?

 めっちゃ楽しいですよね。まあ、“I’m a singer”ですから、これも賞味期限があるでしょう(笑)。そのうち使われなくなるかもしれませんから、声をかけていただけるうちは、と思っています。でも、声をかけていただいたからには、自分自身がもうホントに楽しんで、結果としても皆さんに喜んでいただいて、声をかけていただいた方にも恩返しができて、皆が期待する100倍くらいのものをお返ししたい、という気持ちでいつも番組にも臨んでいます。だから、すごく自分でもやりがいがあるし、皆さんと仲良くなって、「またこんな番組作ってみよう」「あれやろう、これやろう」と、その後もいろいろと声をかけてくださるので、それがうれしいですね。

―― 初めてToshlさんがスイーツを語っているのを拝見した時、正直、ビックリしてしまいました。

 僕の生活ぶりを見ているスタッフは、僕がスイーツを好きなことはもちろん知っているんですが、インスタとかでちょこちょこ出し始めてからは、そういうのに敏感な制作のスタッフの方たちとかが、「Toshlがスイーツ出してるぞ」みたいな、そういうギャップがおもしろいって言って声をかけてくださったみたいなんです。あんまり髪の毛が逆立っている時には言えなかったですけど(笑)、言いたくてもイメージがあるし。なので、まさに、今いろんなタガが外れてくると、もういろんなものをさらけだして、まあ、それもおもしろいんじゃないかなと。自分でもそれを楽しんで、だからこそ、いろんなチャレンジができるっていうところが今の喜びですね。

―― ミュージシャンは、プライベートは謎の方がいい、という方も結構いらっしゃいますが…。

 僕の場合はもともとそうじゃなくて、性格がどちらかというと…ロックも好きなんですが、それの前に歌謡曲があったり、あるいはビートたけしさんに憧れていたり…。

―― えっ、憧れていたんですか!?お笑いをやりたかったんですか!?

 お笑いをやりたかったわけじゃないんですけど、もちろんお笑いは好きなんですけど、たけしさんの『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)のパーソナリティーに憧れていたんです。だから、僕が昔やっていた『オールナイトニッポン』なんて、たけしさんそっくりなんですよ、しゃべり方が。影響を受けてるんで、口調も速度も、まねしたんでしょうね。今も番組でご一緒させていただいたり、たけしさんの本なんかもたくさん読んでいるので、ある種、影響を受けています。

 たけしさんは、お笑いの世界でNo.1になっている時に、もう次の作戦というか、手を打っていらした。今はそれこそ映画監督として“世界の北野”ですけど、小説を書いたり、バラエティー番組の司会をしたり、絵を描いたり、お笑いの世界だけではないジャンルに次々とチャレンジして、次の種をまいて才能をどんどん開花させていらっしゃる。もちろん、そこにはすごい努力もされていたでしょうし、最初からの才能もおありだと思うんですけど、そういうところってすごくステキだなぁって思います。僕自身も、もちろん歌が根幹ですけども、今、小説を書き始めたり、絵も描き始めたり、いろんなことにチャレンジをしています。それがおもしろそうだったら続けていけばいいっていうふうに、いろんなことに可能性を見出して…。万が一、声が出なくなるかもしれないし、歌えなくなる時が来るかもしれない。それは現実にあり得ることなんで、違う何か喜びの種をまいて咲かせようかな、というふうに考えています。

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―― 今回リリースされるアルバムのタイトルは、『IM A SINGER』。カバーアルバムを作ろうと思ったきっかけはどんなことだったんでしょうか。

 もともと、ファンの方からこういうカバーのアルバムを出してくださいというリクエストがたくさん来ていたんです。僕のソロのコンサートでは、カバーの曲を歌っていたんですね。それがすごくいいから、形にしてください、という声を多くいただいていて。いろいろなタイミングとご縁がつながってリリースに至りました。

―― 候補曲はたくさんあったと思いますが、選曲はどのような基準で?

 自分が歌いたい曲と、ファンの方からのリクエストで人気の高かった曲、ほかにも勧められた曲、それらを並べてみて、最終的に自分で選んだ10曲です。

―― Toshlさんが一番歌いたかった曲は、どの曲なんですか?

 全部歌いたかった曲ですけど……、特にイチオシなのは、『手紙~拝啓 十五の君へ』ですね。これは僕がものすごく感動して、最近の曲の中では圧倒的に感動し、心を打たれ、勇気づけられた曲だったので、ぜひ自分でも歌わせてもらいたいな、と思っていました。

―― それはやっぱり、歌詞ですか?

 歌詞、ですね。ま、歌詞もメロディーもそうなんですけど、子供たちが歌っている合唱コンクールの様子も見たことがあって、ものすごく感動して……。子供たちの合唱とか聴いていると胸にきてしまうことがあって。歌詞の内容もそうなんですけど、すごくいい曲だなあと。それに、幅広い世代の方に、感じてもらえる曲なんだろうなって思いました。この曲を歌えて幸せだなと今、思っています。

―― ファンの方のリクエストはどんな曲が多かったんですか?

 ファンの方からは、これは僕も歌いたかった曲なんですが『I Love You』とか、『糸』とか。あとは『赤いスイートピー』ですね。僕は子供の頃から聖子ちゃんが大好きで、あえて「聖子ちゃん」と呼ばせていただきますが(照)、世代ですから(笑)。中学の時に自分でピアノを「♪タンタンタンターン」と弾きながら歌っていました。あの頃やっていたことを今まさにもう1回できるなんて、「こんな幸せなことがあっていいの!?」って。大好きな曲です。チョー幸せです。

―― 聖子さんの数ある曲の中でも、やっぱり『赤いスイートピー』なんですか?

 名曲がたくさんあるんですけどね。ちょっと前に『UTAGE!』(TBS系)という音楽番組に出させてもらった時に、『青い珊瑚礁』を歌ったんです。ほかにもバラード系の曲もたくさんあるんですけども、やっぱりNo.1を選ぶんだったら『赤いスイートピー』だなと。これは僕の中では、わりと即決でした。思い出の曲です。淡い恋心、青春の…なんかキュンとしてしまいますね(照)。歌ってても、めっちゃキュンってなりながら、もう、キュンキュンしちゃいます、ハハハハハ。

 あと、ユーミンさんの作品の中でも1曲、と決めていたんですけれど、いろいろ候補がある中で、『ひこうき雲』に決めました。この曲は、子供の頃に聴いた曲なんですね、たぶん小学校の高学年ぐらいかな。一番聴いたのは、中学から高校の頃だと思うんですけど、今聴くと、また全然違う印象というか…。これは年齢を重ねたせいもあると思うんですが、こんなにも深くて心にしみいる、美しい情景が浮かぶ、すごい曲だったんだなと改めて思いました。また、テーマも重いし、メッセージ性もあるし。“さすがユーミン様!”という感じで、もう、歌わせていただきましたね。

―― 聖子さんは「聖子ちゃん」だけど、ユーミンさんは「ユーミン様」なんですね(笑)。

 いやいやいやいや~(笑)、聖子ちゃんも本当は「聖子様」なんですけど…。

―― 分かりますよ、聖子さんを「聖子ちゃん!」と呼びたいお気持ち!

 でも、やっぱりユーミンさんはもう「ユーミン様」で、すごいアーティストですから。

―― はい、そうですよね(笑)。仕上がりについてはいかがでしょうか。

 今だからできた表現だとか、感情の入れ方だとか、すごくナチュラルにできたと思いますね。たぶん、声の調子も人生で一番いいですし、心というか、メンタルな部分も今が一番元気で明るいので、そういった意味では一番いい時に、いい題材をいただいたなと思います。今だからこそ歌えたなと思います。

―― ボーカリストとして今が一番いい、というのはどんな時に実感されるんですか?

 レコーディングで自分の声を録りますと、それがリアルに一番分かりやすく、ダイレクトにマイクを通じて分かる。しかも僕が使っているマイクは、高性能ですごくリアルに高音から低音まで、強調なしにフラットにそのまま録れるものなんです。そういうのを僕は好んで使っているものですから、声の張りとか、かすれ具合とか調子とか艶(つや)とか、そういうものがダイレクトに伝わってくる。自分で聴いていても、わりと早くそこ(ベストな状態)に乗る、と言ったらいいんですかね、何度も声を出す練習をしなくても、もう、昼、スタジオに入って一発目でポンってそこに。ほとんど今回のはワンテイク、一発目とかが多いですね。ほぼそういう状態で、調子いいですね。2曲録っちゃった日もありますし。そういうのは今までなかったことですので、そういったいろんな意味で調子がいいんだろうな、調子に乗ってるんだろうな、みたいな(笑)、そういう雰囲気がしました。うれしかったですね。まだまだイケるんじゃないのって。

―― Toshlさんの声は、ボーカリストとして本当に唯一無二で、こんな声が出る人、こんな歌い方ができる人は他にいないでしょと思っている人が多いと思うのですが、Toshlさんはご自分のボーカルを聴いた時、客観的にどう思っていらっしゃるんですか?

 もうちょっと静かに聴きたいな、うるさいなって(笑)。強弱が激しすぎて、もうちょっと普通に歌えないのかなっていう…だいぶ“普通寄り”に寄せたんですけど。でも、どうしてもロックが基本にあるので、どちらかというとシャウトしがち(苦笑)。まあ、だから、今回はそういった意味で、なるべくそういうところを自分なりに排除して、わりとナチュラルに、力を入れ過ぎずに、シャウトし過ぎずにって。子供の頃、自分が歌っていた“ロックになる前のToshl”、小学校5年生か6年生ぐらいの気持ち、あの頃の気持ちで歌った、そんな感じの歌ですから、だから聴きやすかったですね。これはいいなあと思いました。

 それに、朝から聴きたくなるような歌がいいなって思ったんです。朝起きて、コーヒーでも飲みながら部屋に流れていたら、なんとなく爽やかに一日が始められるような、そんな雰囲気のアルバムがいいんじゃないかなと思っていました。

―― それはご自分の心とリンクするところがあるんでしょうか?

 僕にとって音楽を聴くっていうのは、朝のその時間ぐらいしかないんです。後は仕事でレコーディングスタジオで聴いていることとかがほとんどなので、だから唯一、ただBGM、ただリラックスして音楽を聴くっていう朝の時間の爽やかな気持ちに寄り添ってくれるような歌だと、僕も毎日聴けるかなみたいな。そういうシチュエーションもいいんじゃないかと。でも、よくよく聴くと「あ、なんかいいぞ」と(笑)。僕も歌にたくさん救ってきてもらったんで、僕の歌でその人の人生、いろんなことがある中で、少しでも寄り添ったり、力になったり、また少しでも慰めになったり……。歌っていうのはそういう役割だと思うんで、その人に寄り添える歌になったらいいなと、そう思って歌いました。

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―― そんなToshlさんが思う、「このボーカリストはスゴいな」という方はどなたですか?

 いっぱいいるんですが、今回の収録曲で言ったら、『チキンライス』の浜田(雅功)さん。やっぱりスゴいですね~。

――「ダウンタウン」の浜ちゃんですか!?どういう点がそんなに?

 もう、とてもじゃないけど及ばない。あの圧倒的な、なんて言うんですか、あれ…テキトーぶり(笑)。歌が本職じゃないがゆえにできるんですよ。別に上手く歌わなくていいじゃないですか。あの領域ってもう“I’m a singer”にとってはできない領域なんですよ。で、松本(人志)さんが(歌詞を)作っていらっしゃって、浜田さんが歌って、(歌詞は松本さんの)実体験だからもうスゴい世界観がそこに構築されて、他者がそこに入れないある種の聖域みたいな、彼らにしかできない表現なんですよね。今回、あえてそこに挑戦させていただいたんで、そういった意味で、最初は全然違うアプローチで歌ってみたんですけど、1回全部ひっくり返して、自分なりにちょっと違うアプローチで、最終的にコレだろう!って選んで歌ったのがこの『チキンライス』なんです。でも、やっぱり浜田さんのボーカルにはかなわんな~って思いました。まあ、勝ち負けじゃないんですけど、もうとてもじゃないけど、できない領域。スゴい!って。違うジャンルがゆえに表現できるスゴさを感じましたね。

―― 今年もそろそろカウントダウンの時期に入りますが、今年中にやっておきたいこと、来年、やりたいことは具体的にありますか?

 来年は音楽以外でしたら、やっぱり小説と絵ですね。どういう形になるか分からないんですが、今、自分でアトリエを作ってそこに、少しの時間ですけど合間を見つけて、こもって描いているので、それは形にして発表できたらいいなって思っています。実は子供の頃、僕、美術が全然ダメで、絵が下手っぴだったんですよ。下手っぴなんですけど、でもなんか今、下手っぴでも自分の味として、メッセージや込める思いがあれば、なんか今はいろんな表現の方法ってありなんだろうなって。

 絵のテーマですか?僕、「龍玄とし」って名前に改名したんで、龍をモチーフに描いてるんですよ。縁起もいいし、自分でも描いていていろんな図案が楽しめるので、いろんな色も使えるし。そういうアプローチをしているんです。おもしろいです。いいか悪いか分からないですけど、自分の新しい表現としては、なんとなく、おもしろいなと、チャレンジの種ですけど。

―― チャレンジの種がいっぱいでワクワクですね。

 はい、ワクワクです!小説も、これも形になるか分からないですけど、まあ、自由じゃないですか。これがいいとか悪いとかってこともないので、自分なりの表現として、絵を描く、文章を書くっていうのが嫌いじゃないんだなって今、思いますね。子供の頃は得意じゃないと思っていたけど、今、楽しめることが、いいですね。子供心に戻れるようで。

 いろんなことがあって、50代になってそういうことが思いっきりやれる環境にあるってありがたいなって思ってますし、いろんなことがチャレンジできるような社会というか、少しずつ変わってきてるんだろうなって思います。人生、そんなにかたくなに考えすぎず、とりあえず楽しく。(明石家)さんまさんが番組でご一緒させていただいた時にもおっしゃっていましたが、「生きてるだけで丸もうけ」って。ホントそうだなって。生きるか死ぬか以外は、いろいろとありますけど、大きく言えば大した問題じゃないのかなと。心がキュッとなって苦しくなった時はそんなふうに思って、また、そういうふうに思って実践されている方もたくさんいらっしゃるので、まあ、自分もそれにならって気楽にチャレンジして、一番いい時に50代が来たのかなっていう感じがしますね。

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(撮影:遠田智子)

【インタビューを終えて】

 物静かなたたずまいで、質問の1つ1つに真摯に答えてくださったToshlさん。『赤いスイートピー』の思い出と“聖子ちゃん”への思いを話している時は、かなりテンションが上がったようで、うかがっているこちらも楽しくなりました。先日、保育園を訪問し、子供たちと交流したことで、音楽を通じて教育の分野でも何かできることがあるのでは?との構想もわき上がっているとか。「心身ともに今が一番元気」というToshlさんの今後の活躍から目が離せません。

■Toshl

1989年、ロックバンド「X」のボーカルとしてメジャーデビュー。絶大な人気を誇る中、1997年に脱退。バンド解散を経て2008年、再結成。世界中で熱狂的なファンの支持を得ている。2014年、自らの苦悩の経験を赤裸々に綴った自著「洗脳~地獄の12年からの生還~」を上梓。たちまちベストセラーとなる。2018年より「龍玄とし」と改名。現在は人気アプリゲームの音楽プロデュースやラジオのパーソナリティー、バラエティー番組出演など、多彩な才能を発揮し、その魅力的な人間性にも注目が集まっている。11月28日には初のカバーアルバム『IM A SINGER』をリリースする。