【PC遠隔操作事件】保釈決定は出たが…

PC遠隔操作事件の被告人片山祐輔氏について、東京高裁第11刑事部(三好幹夫裁判長、阿部浩巳裁判官、染谷武宣裁判官)は3月4日、東京地裁が2月18日に行っていた保釈請求の却下決定を取り消し、保釈を許可する決定を出した。

罪証隠滅の恐れは小さく保釈の必要性は大きい

決定によると、同高裁は

1)弁護人は600点以上に及ぶ検察官請求の書証全部を証拠とすることに同意し、第1回公判で甲号証のすべてが取り調べられた

2)検察側証人16人の大半は、警察関係者やコンピュータ関係会社の技術者等である。被告人を釈放しても、これら証人予定者に働きかけて自己に有利な証言をさせることは想定し難い

3)被告人が自宅や勤務先で使用していたパソコンは全て押収されるなどして捜査当局の管理下にあるとみられ、ハードディスク内のデータに被告人の主張に沿う痕跡を作出するのは困難というほかないから、被告人がそのような行為に出る漠然とした危惧は否定できないけれども、実効的な罪証隠滅を図る余地はそれほど大きいとは考えられない

――などとして、

「釈放すれば巧妙な手法を駆使し、主張に沿った遠隔操作の痕跡を、自らあるいは他人の通謀して作出し、または他人のパソコンに密かに指令を出して作出するなどの罪証隠滅に及ぶおそれはきわめて大きい」とする検察側の主張を退けた。

さらに、

あ)被告人の身柄拘束は1年以上と長期にわたっている

い)専門的知識を必要とする本件事案の困難性に照らし、被告人を釈放したうえで、弁護人、特別弁護人との間における十分な意思疎通の機会を確保させる必要性が高い

――と認定。

保釈保証金を1000万円とし、都内の自宅に居住すること、逃げ隠れしたり証拠隠滅と思われる行為をしてはならない、海外旅行または3泊以上の旅行をする時には前もって裁判所の許可を得るなどの条件をつけて保釈を認めた。

最高裁は人質司法を公認するか?

これに対し検察側は、最高裁に特別抗告し、その判断が出るまでの間、高裁に保釈の執行停止を求めた。高裁は、検察側の請求を認め、保釈の執行を停止。片山氏の同日中の保釈はなくなった。

これについて、元東京高裁裁判長で片山氏の弁護人の木谷明弁護士は、次のように語る。

「検察はしつこすぎる。検察がやっていることは、自白をしないと最大限勾留するという、身柄拘束を武器に使う人質司法そのもの。最高裁が、高裁の決定をひっくり返すようなことになれば、この人質司法を最高裁が公認することになり、影響は甚大。まさか最高裁がそのようなことをするとは考えがたく、適法な抗告理由がないとして退けると確信しているし、そうあるべきだ」

第2回公判は、3月5日に行われる。