「レジ袋の有料化についてどう思いますか?」

レジ袋使用禁止法 米カリフォルニア州で成立(写真:ロイター/アフロ)

先日、軽井沢で開催された20カ国・地域(G20)エネルギー・環境相会合で、海洋プラスチック汚染を減らすための国際的な枠組みづくりが合意されました。もっとも、気候変動対策の枠組み「パリ協定」と違って、目標の数値や達成年度は定められていませんので、「もっと実効性のある枠組みを!」という声もありますが、まずは国際的な合意ができた、という第一歩として評価したいと思います。

※環境省:報道発表資料

G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合の結果について

 

先日刊行された『プラスチック汚染とは何か』(岩波ブックレット)にも書きましたが、毎年1億トンを超えるプラスチックごみが海に流出しているとも言われており、2016年1月のダボス会議で「このままだと、2050年までに、海洋中に存在するプラスチックの量は、重量ベースで魚の量を超える!」という衝撃的な研究報告がされたことを大きなきっかけとして、国際的な動きが展開してきました。

日本では、「レジ袋の有料化が2020年4月をめどに義務化される!」ということでさまざまな議論がなされていますが、世界の動きからみると、「やっと有料化ですか」というところです。

レジ袋をはじめとする使い捨てプラスチックの規制は、大きく分けると、課税や有料化によって使用量を削減しようという「課税・有料化」と、使用そのものを禁ずる「禁止令」があります。

国連環境計画(UNEP)の2018年のレポートによると、使い捨てのプラスチックごみを減らすために、禁止や課金を行っている国は60カ国を超えています

たとえば、ルワンダでは、2008年からすでに、レジ袋やビニール袋の製造・輸入・販売・使用が全面禁止されています。もしみなさんがルワンダの空港に到着して、スーツケースにビニール袋が入っていたら、その場で没収されることになります。ケニアなどでも同様の厳しい方策が導入されています。

フランス、イタリア、オランダなどでも、すでに無料でのレジ袋配布は禁止されています。アジアでは、たとえば、台湾が2030年の「ストローやレジ袋などの完全使用禁止」に向けての移行計画を発表し、進めています。

また、レジ袋の使用だけではなく、製造も禁止している国も少なくありません。ブックレットを書いた時点では、17カ国でレジ袋は製造も禁止されていました

 

先日、ラジオ番組の取材を受けました。「レジ袋の有料化についてどう思いますか?」という質問に対し、私はこう答えました。

「海洋プラスチック汚染の現状から、減らしていくことは必須でしょう。やり方はそれぞれの国にあった有効なやり方をすればよいと思いますが、ようやく日本も一歩進めるかなと思っています。日本では、かつてマイバッグ運動がありました。今でもマイバッグ派はもちろんいますが、社会全体に広がったかというとそうではなかった。

良識や問題意識のある人だけでなく、社会全体の行動を変えるには、やはり「値札を変えること」が有効です。つまり、有料化です。そして、それでもだめなら「禁止」も必要になるのかもしれません」。

 

みなさんは、どうお考えでしょうか?

プラスチック問題への企業の取り組みを見ていると、「社会の課題は、イノベーションの源泉」だと改めて思います。プラスチックの代替素材の開発も進んでいますし、プラスチック自体をバイオマスや生分解性の原材料でつくる動きも進んでいます。

 

ただし! システム思考では「昨日の解決策が今日の問題を生み出す」とよく言います。

バイオマスプラスチックが大量に使われるようになったら、食料との競合など別の問題が生じる可能性もあります。生分解性プラスチックは、分解途中はマイクロプラスチック化し、マイクロプラスチックの抱える問題を悪化させる可能性もあります。また、生分解性プラスチックと従来のプラスチックを一緒に回収・リサイクルすると、その再生素材の質はどのように担保できるのでしょう?

※生分解性プラスチックについては前回の記事でも解説しています

2019年6月20日配信:「プラスチック資源循環戦略」のポイントと留意点

 

海洋プラスチック汚染は大きな問題です。解決策がすぐに必要です。一方で、解決策が別の問題を生み出さないように、十分気をつけなくてはならないと思っています。

短期的な視野で目の前の問題だけに取り組もうとすると、中長期的に目の前ではない場所に問題を引き起こす――「こうすればどうなるかな?」と視野と時間軸を広げて、システム思考的に本質的な解決策を考える必要があります。