ノーベル財団への手紙~ノーベル賞受賞者たちが公開レターで求めたものは?~

ノーベル賞を創設したアルフレッド・ノーベル氏(写真:ロイター/アフロ)

日本時間の12月11日に、ノーベル賞授賞式が開催されます。

授賞式に先立つ12月7日に、「14人のノーベル賞受賞者がノーベル財団に対して公開レターを出しました」という情報が入ってきました。とても大事な動きだと思い、日本語に訳してご紹介します。

~~~~~ここから引用~~~~~

ノーベル財団への手紙

http://gofossilfree.org/wp-content/uploads/2016/12/LettertotheNobelFoundation.pdf?akid=18687.2499143.JQpEd6&rd=1&t=6

2016年12月7日

ノーベル財団 ラーシュ・ヘイケンステーン専務理事殿

世界各国の科学者でありノーベル賞受賞者である私たちは、この書面をもって、ノーベル財団に対し、化石燃料への投資を終結させることによって気候変動に対する行動をさらに進めるよう、求めます。

アルフレッド・ノーベルはその遺言状の中で、ノーベル賞は「人類に最大の恩恵を与えた」人物に授与されるべきだ、と書いています。私たちは、アルフレッド・ノーベルの最期の言葉を尊重する科学者として、そしてノーベル賞受賞者として、ノーベル財団も、私たちみんなにとってなくてはならない地球の健全性への配慮を含め、人類の利益のために行動することを期待します。

ノーベル財団は、人類が気候に与える影響を明らかにし研究してきた人々を表彰することで、気候変動との闘いにおいて歴史的な役割を果たしてきました。今日、緊急性が高まるこの時代、地球の温暖化に直面しパリ協定の実施に向けて努力する中で、私たちは貴財団にさらなる行動をお願いしたいと思います。

私たちの教育機関や文化機関は、教育以上のことをしなければなりません。こうした機関は、気候に対するダメージの大半をもたらしてきた産業の束縛から解き放たれ、将来へ向かう新しい道筋の一例となる必要があるのです。

600以上の機関(総資産3兆4000億ドル以上)が、化石燃料からの投資引き揚げを誓約しています。気候変動を引き起こす主な要因である化石燃料にはっきりと反対する姿勢をとっているのです。この中には100以上の財団と、ストックホルム、パリ、コペンハーゲン、ワシントンDC、ベルリン等の主要都市が含まれています。

カリフォルニア科学アカデミー、オーストラリア科学アカデミー、フィップス植物園、大学(ストックホルム、スタンフォード、イェールなど)といった、数多くのノーベル賞受賞者を輩出してきた著名な教育機関や学術団体も、化石燃料からの投資引き揚げを約束しています。何百にものぼる宗教関連の団体も化石燃料企業との資金的なつながりを断ってきました。今こそ、ノーベル財団もこのリストに加わるべき時です。

ノーベル財団は、人類の善と創造性という、財団の象徴するすべてものに照らし合わせて、地球の気候の破壊から利益を得るべきではない――そう私たちは考えます。

私たちは、ノーベル財団が以下のことを通じて、自らの投資の方向性を、自らの原則および使命に完全に合わせるよう求めます。

1. Immediately stopping any new investments in companies who derive more than 5% of their revenue from coal, oil and gas

ー石炭、石油、天然ガスから収益の5%以上を得ている企業へのいかなる新規投資も直ちに止めること。

2. Dropping coal, oil and gas from its investment portfolio by divesting from these fossil fuel companies within five years, and

ー5年以内に、こうした化石燃料企業への投資を引き揚げることにより、投資ポートフォリオから石炭、石油、天然ガスを除外すること。

3. Publicly communicating the foundation’s commitment and regularly reporting on implementation of its progress.

ー貴財団の誓約を公表し、その実施の進捗状況について定期的に報告すること。

4. Committing to and prioritising reinvesting the majority of its portfolio into climate solutions that support renewable energy, clean energy access and energy efficiency, and community adaptation and resiliency.

ー再生可能エネルギーやクリーンエネルギーの利用、エネルギー効率、コミュニティの適応とレジリエンスを支える気候の解決策に、貴財団のポートフォリオの大部分を再投資することを約束し、優先順位を上げること。

私たちは、ノーベル財団が、他者が化石燃料から投資を引き揚げるよう影響を与えることができるだけでなく、世界のリーダーや市民に対し、気候変動に対処するためより迅速に行動するよう促すこともできると信じています。時間はこれまでになく切迫しているのです。

どうぞよろしくお願い致します。

Paul Josef Crutzen, Netherlands, Chemistry 1995

Shirin Ebadi, Iran, Peace 2003

Adolfo Perez Esquivel, Argentina, Peace 1980

Leymah Gbowee, Liberia, Peace 2011

Alan J. Heeger, USA Chemistry, 2000

Tawakkol Karman, Yemen, Peace 2011

Mairead Maguire, UK/Northern Ireland, Peace 1976

John Polanyi, Canada, Chemistry 1986

Thomas A. Steitz, USA, Chemistry 2009

John Sulston, UK, Physiology or Medicine 2002

Harold Varmus, USA, Physiology or Medicine, 1989

John Walker, UK, Chemistry, 1997

Jody Williams, USA, Peace 1997

David Wineland, USA, Physics 2012

American Friends Service Committee, USA, Peace 1947

Jason Box, USA, Contributor to the Nobel winning IPCC, Peace 2007

Graciela Chichilnisky, USA, Contributor to the Nobel winning IPCC, Peace 2007

Michael Mann, USA, Contributor to the Nobel winning IPCC, Peace 2007

Hans Joachim Schellnhuber, Germany, Contributor to the Nobel winning IPCC, Peace 2007

出典:ノーベル財団への手紙

~~~~~引用ここまで~~~~~

「投資引き揚げ」は、divestment''' と言います。

investment は「投資すること」で、in がついていますが、接頭語が di になると「脱」という意味になります。

「脱投資」=投資を引き揚げることです。

いま米国や欧州を中心に、多くの国でこの化石燃料からの投資引き揚げが大きなうねりになっていることがわかります。