世界初!スイスで行われた「グリーン経済投票」から学ぶべきこととは

スイス ジュネーブの街並み(写真:アフロ)

9月末、世界の歴史にとって重要な出来事がありました。

グローバル・フットプリント・ネットワーク代表マティス・ワケナゲルからの現地の報告を引用させていただきつつ、とても先進的なスイスの動きをお伝えします。

原文はこちらになります。

スイスで何があったかというと、「グリーン経済を実施するかどうか」を問う住民投票が行われたのです。

これは世界でも初めてのことなのですが、皆さんご存知でしたか?

この「グリーン経済投票」は、資源効率と循環型経済の実施を推進しようというものです。

そしてさらに、「スイスの資源消費を、世界中で行うことが可能なレベルにまで削減する」という具体的な目標を設定しています。

現在、世界中の人がスイス人と同じ暮らしを送ったとしたら、地球が3コ必要になるそうです。

今回の住民投票では、「2050年までに地球1コ分にする」という目標を設定していました。

スイス憲法はすでに自然の能力の範囲内で生活する必要性を認め、第73条において「スイス連邦および各州は、自然およびその再生能力と、自然に対する人間の需要の間でバランスのとれた持続的な関係を達成するよう努めるものとする」と定めています。しかし、この目標を達成する期限は設けられていません。

出典:Global Footprint Network

この住民投票の取り組みは、議論を引き起こしました。

その一部は、ウェブサイト(スイスの欄を参照)に掲載されています。

しかし、議論の中で最も混乱した点は、「積極的に行動するのは、スイスの自己利益にかなうものか?」という点だったそうです。

前向きな出発点として、スイスのほとんどの政党が、私たちの資源を注意深く管理する必要があること、最終的に私たちが地球の能力の範囲内で生活しなければならないこと――とりわけ「私たち」が人類を指すのであれば――を認識していました。

この取り組みの提案者たちは、パリ協定で合意された「地球の気温上昇を2度未満に抑える」という水準を達成するためには、フットプリントの削減が必要だと主張しました。また、大半のイノベーションを勢いづけるのは野心的な目標であり、スイスの清浄な水や空気といった環境面での達成も積極的な政治目標があったからこそ加速されたのだ、とも論じました。

グリーン経済の推進運動は、不安をかきたてることなく、前向きで親しみやすく楽しい提案となるよう注意深く行われました。

一方で反対派は、「この取り組みは、コストの高い"グリーン強制"だ」と、不安をあおる作戦をとり、「2050年という期限は短すぎ、そのような変革はスイス経済にとって過酷すぎる」と主張しました。

出典:Global Footprint Network

ここで、興味深いのは、経済界の動向です。

強硬な反対派がいる一方で、イケアなど「地球1コ分の経済」の賛成派もいて、意見が分かれたそうです。

さて、投票結果はどうだったのでしょうか? 

当初はグリーン経済に対する前向きな関心が大きかったものの、いざ投票が近づくと、変化に対する不安が膨らみ、初期の優位性は少しずつ崩れていきました。それでも、投票者の36%は地球1コ分の能力の範囲内で生活することに「賛成」票を投じました。この取り組みへの賛成派が過半数を占めた州は1つだけで、ジュネーブ州でした。

出典:Global Footprint Network

このような投票を行った国があるということ、そして、これほど多くの人々が資源の利用方法を大きく変える必要性を認識しているということは、世界の歴史に残る前例となるでしょう。

最後に、グローバル・フットプリント・ネットワークからのメッセージをお伝えします。

しかし、この非常に重要な議論が世界のニュースでほとんど報道されていないのは残念なことです。「私たちにとって唯一無二である地球の能力の範囲内で、すべての人々にとってうまくいく未来をどうやって築いていくのか?」を考える時に私たちが議論すべきなのはこうした話題なのです。

出典:Global Footprint Network

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「地球1コ分で暮らす国になろうよ」。

そんな国民投票が日本でも行われ、多くの人が「そうしなきゃね!」と投票する

--その日が一日も早く来ることを夢見ています。