米国、新しいCO2規制案に170社以上の先進企業が支持表明

米国環境保護局、炭素排出に対する新規制案を発表

米国の環境保護局(EPA)は2014年6月2日、国内で稼働する火力発電所からのCO2排出量を、2030年までに30%(2005年比)減らすことを定めた規制案(Clean Power Plan)を発表しました。米政府が既存の発電所に対するCO2削減の目標案を示すのは初めてのことです。この30%という目標は、米国内の半数以上の世帯への電力供給1年分の排出量に相当します。さらにこの規制案では、CO2以外にも粒子汚染や窒素酸化物、二酸化硫黄も25%以上の削減を求めています。

現在、米国では温室効果ガス排出量の3分の1が発電所によるものです。EPAはこの規制案によって、確実で低価格な電力を提供しながら、人々の健康を守り、気候変動と闘い、米国の環境をよい方向に向けることができると述べています。

産業界の反応は?

これに対して、産業界からは歓迎の声が上がり、国内128の企業と49の投資家が、規制案を支持する書面をオバマ政権に送りました。アディダスグループ、ベン&ジェリーズ、リーバイ・ストラウス、マース、ナイキ、スターバックス、ユニリーバなど、数々の大手有名企業が名を連ねています。書面には「気候変動の差し迫った影響や長期的な影響に関心のある企業として、ここに署名したわれわれ企業は、この既存発電所に対する炭素汚染規制案の指針を強力に支持する。EPAによるこの規制案は、わが国をクリーンエネルギー経済に近づける重要なステップである」とあります。

この書面を取りまとめたのは、投資家や企業、公益利益団体から成る連合体セレスです。セレスのミンディ・ラバー会長は「170以上の企業・投資家からのこうした強力な支持表明は、このEPAの規制案が、緊急に必要とされているもので、米国経済の妨げではなく助けになるということの明らかな証拠だ。すでに電力業界が、低炭素な未来に向けた道を歩み出していることは数々のデータから明らかであり、この規制はそうした転換のペースを科学的に求められている速さに加速させるだろう」と語っています。

具体的な削減方法は州に委ねられており、パブリックコメントを経たEPAからの最終案を元に、各州は2016年の夏までに削減計画を提出することになります。石炭への依存率は各州によって異なるため、どこまで実効性のある規制になるかはまだ不透明という声もありますが、厳しい環境規制を産業界の一部が強力に支持するという、近年の欧米の動向は要注目です。

構図が変わりつつある

かつては、「政府 対 産業界」という構図だったのが、「政府+先進企業 対 それ以外の企業」という構図が出現しているのです。日本にも先進的に環境問題に取り組んでいる企業はたくさんあります。そういった企業が集まって、政府に強力な政策をとるよう働きかけたり、政府の政策を支持する声明を出したり、という動きが日本でも大きくなっていけばと思います。