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ロケットからマンホールまで。安全の為の展示会開催中

dragonerWebライター(石動竜仁)
三菱航空機で開発が進められている小型旅客機”MRJ”

10月2日から東京ビッグサイトにて、危機管理産業展東京国際航空宇宙産業展東京国際消防防災展の3展示会が開催されています。3つの産業は安心・安全に密接に関連していますが、従来はそれぞれ別々に開かれておりました。しかし、今年は初めて同時開催されることになり、相互の入場も可能となるなど、産業間の相互交流や多くの来場者が期待されます。今回は、一般の方も事前登録すれば無料で入場可能なこの3展示会について、興味深い出展、見どころをご紹介したいと思います。

津波シェルターからマンホールまでの危機管理産業展

危機管理産業展は、防災、リスク管理、防犯等、危機管理産業の国内唯一の総合展示会で、今年で第9回目の開催となります。危機管理産業展内に、更にテロ対策に特化したテロ対策特殊装備展も開設されていますが、こちらは警察、自衛隊、公務員、大規模施設関係者等に限定されており、入場には別途審査が必要となるので御注意下さい。

会場は防災、リスク管理、防犯に区画分けされていて、防災に最もスペースが取られており、震災以後の防災意識の高さが窺われます。防災区画では、東日本大震災を意識した展示が多く、震災で防災スピーカーが聞けなかった人が多くいた事から、全方向に音を伝達するスピーカーが展示されていたり、津波で逃げ遅れた場合に避難するシェルター等が展示されていました。

全周方向に伝達可能な防災スピーカー
全周方向に伝達可能な防災スピーカー
アルミ合金製津波シェルター
アルミ合金製津波シェルター

テロ対策特殊装備展では、一見テロ対策とは関係無さそうなマンホールも出展されておりました。通常の鋳鉄製マンホールが、金属転売目当ての盗難に遭ったり、坑道を利用したテロ行為に使われる恐れがあったのに対し、このマンホールはカーボン繊維製でロック機能が付いており、蓋を外すには特殊な器具が必要となります。アメリカの高速道路で使われるマンホールの基準も満たしており、従来の鋳鉄製並の耐久性もあるとしております。鋳鉄製よりも若干軽い点もセールスポイントとなっています。

カーボン繊維製マンホール
カーボン繊維製マンホール

重工メーカーから地方の産業クラスタ―まで出展の航空宇宙産業展

東京国際航空宇宙産業展では、日本を始めとした世界各国の航空宇宙産業が出展しており、航空機から部品加工まで、各社の製品や技術アピールを展開しています。三菱重工業/三菱航空機は開発中の旅客機“MRJ”や、H-2Aロケットの紹介、富士重工業では無人機の紹介など、重工メーカー各社が大規模な自社アピールを行う中、地方の小規模メーカーが共同で出展するのも見られ、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究拠点がある相模原や、精密機器メーカーが多い長野県等、地方ごとに航空宇宙産業クラスターとして出展していました。

開発中のMRJ模型
開発中のMRJ模型

家族連れ向けイベントもある消防防災展

東京国際消防防災展は3展示会の中で最も会場が広く、会場外でも出展や家族向けのイベントが行われるなど、賑わいを見せておりました。

消防車や消火設備の展示に混じって、こちらでも大規模災害時の救助装備も多く展示されており、レジャー用の水陸両用車を基にした災害用救助車両が目を引きました。この車両は現在、消防庁などでも運用についての研究が行われています。

災害時の人命救助用水陸両用車。担架を搭載
災害時の人命救助用水陸両用車。担架を搭載

危機管理産業展、国際航空宇宙産業展は明日4日までですが、消防防災展は5日の土曜日まで開催されております。消防防災展は通常5年に一度の開催となり、次回開催は当分先の事になると思われます。この機会に、休日に家族揃って防災について学び、防災への意識を高めてみるのもいかがでしょうか。

Webライター(石動竜仁)

dragoner、あるいは石動竜仁と名乗る。新旧の防衛・軍事ネタを中心に、ネットやサブカルチャーといった分野でも記事を執筆中。最近は自然問題にも興味を持ち、見習い猟師中。

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