「人生会議」でサクセスフル・エイジングを!~多死社会の明るい「終活」、みんなで考えるとき

(写真:アフロ)

人生100年時代を迎え、その長い人生において幸せに歳を重ねる「サクセスフル・エイジング」に関心を持つ人も多い。日本の高齢化率は28.4%と世界最高だ。平均寿命も世界で有数の長寿国だが、それは同時に年間136万人もの人が亡くなる「多死社会」でもある。

2018年の主な死因は、第一位が悪性新生物(がん)、第2位が心疾患、第3位が老衰である。長寿社会になり死因として老衰が増えている。医療も急性期から慢性期の比重が高まり、患者の生活の質(QOL)にとって、医療と介護の連携がますます重要になっている。

厚生労働省は、誰もが望む終末期医療を受けられるよう「人生会議」を提唱している。それはACP(アドバンス・ケア・プランニング)という「もしものときのために、自分が望む医療やケアについて、前もって考え、繰り返し話し合い、共有する取組」の愛称で、11月30日(いい看取り、看取られ)を、人生の最終段階における医療・ケアについて考える「人生会議の日」にしている。

今年11月、厚生労働省は「人生会議」の普及・啓発を図るPRポスターを製作した。しかし、患者団体など多くの人から批判が集まり、自治体への配布を中止した。ポスターのデザインが暗いイメージで、ACPの趣旨にもそっていなかったからだ。しかし、高齢者の5人にひとりが認知症になる時代には、事前に自分の最期に対する意思を明らかにする取り組みは重要だ。

望む終末期医療を受けるためには、医療や介護関係者による専門的な情報提供が不可欠だ。最終的に意思決定するのは本人だが、ACPの目的は、さまざまな選択肢や可能性を提示できる医療や介護関係者が、患者や家族と一緒に考え話し合うことだ。「人生会議」のポスターには、本人や家族だけでなく、医療や介護などの関係者の関与が含まれた表現が必要だろう。

ACPに参加することは、家族にとっても大きなメリットがある。納得のいく最期は本人と家族の双方を幸せにするからだ。「死」とは自分だけの事象ではなく、見送る人たちにとっても大きな意味を持つ。また、看取る経験は自らが死に直面して看取られるときにもとても有効だ。

「長寿社会」は「多死社会」であり、「死」が特別なことではなくなりつつある。死を語ることがタブーではなく、正面から向き合うことで、よりよく生きるためのサクセスフル・エイジングにつながる。終活として、墓や相続など死後の対応を書き留めるエンディングノートも必要だが、一層重要なことは、自分らしい最期を迎えるよりよい人生のための終活を考えることだろう。

人生100年時代は、医療、介護、年金などの社会保障制度の充実を図り、「長寿」を「リスク」と感じさせる社会であってはならない。一方、多くの人が延命治療により単に寿命を延ばすだけの人生は送りたくないと思っている。多死社会を迎えた今日、「人生会議」でサクセスフル・エイジングを実現しよう。われわれは多死社会の明るい「終活」をみんなで考えるときだ。