重要な「大学のグローバル化」-求められる「インバウンド」国際化の推進

(写真:アフロ)

最近、海外の大学や大学院出身の政治家が増えているような気がする。8月3日に発足した第3次安倍第3次改造内閣の閣僚名簿をみても、閣僚20名のうち5人がアメリカの大学(院)を修了している。出身校をハーバード大学大学院とする人が4人で、東京大学と並んで最多だった。

東京都の小池知事もエジプトのカイロ大学を卒業している。政治家が海外留学を経験し、多様な価値観や豊かな語学力を身につけているならば、グローバルな時代に極めて有用なことだと思われる。

日本人の海外留学状況をみると、2004年8.3万人をピークに2014年は5.3万人へ4割近く減少し、低下傾向が続いている。背景には留学費用の増大や帰国後の就職の難しさ、治安の悪化などがあろう。留学先ではアメリカが全体の3分の1程度を占めて最多だが、その減少幅が大きい。

近年の諸外国の海外留学生は中国やインドなどの新興国で急速に増加している。政府は2020年までに日本人留学生を12万人に増やし、グローバル化に対応する人材力の強化を目指している。

一方、日本で学ぶ外国人留学生は2016年5月1日現在で239,287人、そのうち大学などの高等教育機関に在籍する留学生は171,122人(71.5%)である。出身国は中国、韓国、台湾、タイなどのアジア地域が多い。過去5年間に外国人留学生は大幅に増加しているが、中心は日本語教育機関で学ぶ語学留学生だ。

政府は外国人留学生についても2020年までに30万人に増やす計画で、各種奨学金制度の充実等を図っているが、国内の大学・大学院などの留学生の受け入れ増加は容易ではない。

背景には日本の大学の国際化の遅れがあるようだ。タイムズ・ハイアー・エデュケーション(THE)の世界大学ランキング(2016-2017)によると、上位100位以内には東京大学(39位)と京都大学(91位)の2校しか入っていない。

それは評価項目の被論文引用数と国際化スコアが低いからだ。英語で書かれた論文数および外国人教員や留学生の数が少ないことが要因だろう。欧米の大学では学生や教職員の外国人比率が3~4割に上ることも多く、教育や研究の質の向上と多様性を高めている。

日本は訪日外国人が2000万人を超え、観光立国に向けた「インバウンド」の国際化が始まっている。今後、日本が世界でプレゼンスを高めるためには観光客や留学生を積極的に受け入れ、日本の文化や学術を世界に向けて発信し、海外留学生が卒業後も日本社会で活躍できる環境整備などが求められる。

「大学のグローバル化」を推進することで多様な価値観が日本社会に定着・共有化され、日本への外国人留学経験者の中から、多くの出身国における政治家や経済人が輩出されることを期待したい。

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(※この記事は2017年8月22日の「ニッセイ基礎研究所 研究員の眼」より転載。)