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阪神タイガースジュニア・上本博紀監督の教え「応援してくれる家族に優勝をプレゼントしよう」

土井麻由実フリーアナウンサー、フリーライター
甲子園球場の正面にて気合の入った表情(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)

■人のためにも頑張る

 いよいよ「NPB12球団ジュニアトーナメント」が5日後に迫ってきた。阪神タイガースジュニアも練習試合をすべて終え、あとは最後の練習を残すのみだ。

 最終セレクションにて、上本博紀監督はこう言った。(参照記事

 「お父さん、お母さんが手伝ってくれたり、遠くまで送り迎えをしてくれている。『人のために頑張る』というのも、子どもたちがわかればいいかなと思う」。

 さらに公式の場で意気込みを問われ、こんなメッセージを発した。

 「自分のために頑張るのはもちろんなんですけど、家族であったり応援してくれる方々のために優勝をプレゼントするとか頑張るというのを、経験させてあげられるように」。

 周りの人々がいるからプレーできていること、また、そういった人々に感謝の気持ちを持つことも、上本監督は常々選手たちに伝えている。

 日ごろから惜しみなく選手をバックアップしてくれているご家族。そんなご家族を紹介しよう。

■#1 和田海敬選手のお父さん

――セレクションの応募に関して

父:家内(和田選手の母)がネットで調べてジュニアトーナメントのことを知ったんですが、応募しようと決めたのが締め切りの2週間くらい前でした。

持っていたパソコンのスペックが低かったんで、急遽パソコンと動画編集ソフトまで買いました(笑)。

――わざわざパソコンを購入

父:どっちにしろ娘が使うやろうと、これくらいの出費はしゃあないなって(笑)。

それで急いで動画を撮ったりして、送ったのは締め切りの2~3日前でしたね。

――合格を聞いたとき

父:「ありがとうございます」と冷静にはお答えしたんですけど、職場で一人ガッツポーズしていました(笑)。あんまり人には言ってないですけど、こみ上げるものがありましたね。

――ジュニアに入ってからの和田選手の変化

父:もともと守備には定評があったので、地元では指導者に何か言われることもなかったんです。

それが元プロの名セカンドの方が監督で、海敬もセカンド。上本監督が横についてマンツーマンで教えてくださって、おかげで捕球も送球も本当によくなったと思います。

バッティングはね、家で穴あきボールをトスしてやったりとか、バッティングセンターに連れていったりとかもしてるけど、なかなか地元の大会ほどの打率は出せていないのが、ちょっと悩んでいるところかなと思います。

まぁでも、応募したころと比べたら体もデカくなって、体重も増えたしね。

――親御さんとしての喜び

父:そらもう、毎週楽しみですよね。ここに来ていたら1日の時間が経つのがすごく早いですしね。

通うのに片道2時間以上はかかりますし、土日の練習だったら土曜日は大阪市内で一泊します。安いホテルを検索してね。でも、そんな大変さは、なんてことないですね。

――大会に向けてジュニアたちへメッセージを

父:4か月という短い期間でしたけど、子どもたちもコミュニケーションをとってすごく仲よくなった。チーム力というか結束力がすごく高いチームやと思います。

みんな実力を持っているんで、それぞれの実力を発揮すれば、この寅年にタイガースが優勝するんじゃないかな。寅年の子が大半を占めているし、自分も寅年なんで(笑)。

まさにトラトラトラのタイガースの年やと思ってますんで、それぞれの力を目いっぱい発揮して、ぜひ優勝してもらいたい。

和田海敬(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)
和田海敬(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)

和田海敬(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)
和田海敬(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)

和田家のみなさん(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)
和田家のみなさん(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)

■#3 高崎辰毅選手のご両親

――セレクションの応募に関して

母:自チームのコーチが勧めてくれて、それがきっかけで1年前くらいから調べ始めて、どうするかは本人に任せようかなと思っていたら、「挑戦してみたい」ということやったんで。

セレクションに向けてもいろんな方が練習に付き合ってくれたり、何年か前のオリックスジュニアだったわたしのいとこに教えてもらったり、いろんな方にお世話になりました。

――合格を聞いたとき

父:ビックリしました。まさか選ばれると思っていなかったから。

母:田舎のそんなに強くないチームに所属しているので、そこでけっこうチヤホヤされているんです。体もけっこう大きく恵まれてるので。でも、親としてはこのままではいかんと思っていて、もっと強い子がいるんだよっていうのを見てもらいたかったんです。

だから、入れてすごくありがたいというか、本人も自分よりうまい子たちがたくさんいるから、頑張らないとっていう思いになっていますし。

――ジュニアに入ってからの高崎選手の変化

父:自分から進んで「練習しよう」って言うようになりましたね。これまでも、たまに言うことはあったんですけど、めったにはなかったんで。

やっぱりそういうところも、自分の中で頑張らなあかんと思っているからでしょうね。

――親御さんとしての喜び

父:毎週が楽しいです。こんなうまい子たちを見たことがないから。近くにもこんな子たちは一人もいないし、見ているだけですごく勉強になります。

母:ほかの親御さんたちが強いチームの方ばっかりなんで、声かけの仕方とか応援の仕方とか、すごく勉強になっています。試合中にこういう声かけをしてあげたら子どもたちは頑張れるんやなって、自チームにとっても参考になります。

なので、わたしも楽しみに来ています。

――大会に向けてジュニアたちへメッセージを

父:自分のことだけじゃなく周りをよく見て、もし出場できなくてもランナーコーチなりなんなり仲間をサポートして、優勝を勝ち取ってもらいたいなと思います。

母:自分らしさを忘れずにね。それぞれ性格はあるんですけど、いいところがたくさんある子たちなんで、そのいいところをいっぱい出していってほしいです。

高崎辰毅(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)
高崎辰毅(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)

高崎辰毅(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)
高崎辰毅(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)

高崎家のみなさん(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)
高崎家のみなさん(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)

■#18 原田侑季選手のご両親

――セレクションの応募に関して

父:2年前に自チームの子(伊藤歩夢選手)が合格したので、ジュニアの存在はそこで初めて知ったんです。

6年生になって「高円宮賜杯マクドナルド・トーナメント」を目指していたんですけど、2回戦で投げずに負けて、その帰りに「受けたい」と自分から言い出しました。

――動画撮影はどのように

父:応募締め切り(7月24日)まで、なかなか撮る機会がなかったんです。

締め切り前日の自チームの練習日に、昼から球場が空いてたんでそこで撮ろうと。もう一人、自チームで受けたんですけど、親子4人で交代しながら撮りました。

――合格するためにやったこと

父:とくにこれといって何もやってないです(笑)。

でも、本人のモチベーションにはつながっていたと思います。やっぱりうまい子が集まってくるのは本人的にもわかっていたので、それでモチベーションが上がって、家での自主トレも気分が乗ってやっていたんじゃないかなと思います。

――家ではどんな自主トレを

父:今はちょっと違うんですけど、6年生になるまではずっと縄跳びとか坂道ダッシュとか。2こ上の長男と二人でキャッチボールをしたり、庭のネットに向かってティーバッティングをしたりしています。

――ジュニアに入ってからの原田選手の変化

父:以前は準備も当日にならないとやらなかったのが、今は前の日にやるようになりました。泊まりのときは、その用意も前もってやっていますし、宿題も自分で持っていってホテルでやったりしています。

母:学校の先生に「すごく発言をするようになった」と言われました。これまではなるべく手を挙げないような子だったんです。でも自信がついたのか、進んで発表したり、みんなで話し合う場でも進んで自分の意見を言ったりするようになったそうなんです。「本当に成長を感じます」と先生からも言われて、ビックリしています。嬉しいですね。

――親御さんとしての喜び

父:僕のほうが、来るのを楽しみにしているかもしれないです(笑)。

母:「楽しかった」ってよく言ってますもん、いろんな人と話ができて。

――大会に向けてジュニアたちへメッセージを

父:なかなか経験できないこと…選ばれた12球団のそれぞれ16人しか経験できないので、思い出としてしっかり仲間と戦って、思いきりやってほしい。今後の彼らの野球人生の糧になると思うんで。

母:自信をもって、楽しんでしてほしいというのが一番ですね。やっぱり楽しむことで結果につながると思うので、ぜひ楽しんでください!

原田侑季(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)
原田侑季(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)

原田侑季(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)
原田侑季(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)

原田家のお父さんと(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)
原田家のお父さんと(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)

■#56 高橋琳来選手の(母方の)おじいちゃん、おばあちゃん

――セレクションについて

祖父:父親が元高校球児で、ジュニアのことを知ってて応募したみたいです。

セレクションの実技テストのときも、我々も一緒に行ってました。

――どんな思いでセレクションをご覧に

祖父:いけるとは思っていましたけど、やっぱりわかりませんから、祈るような気持ちで見ていました。

――普段から試合に

祖父:全部です。ビデオも撮ってますから。

祖母:娘婿(高橋選手の父)の仕事が3交代制で勤務が変則というのもあるし、娘(高橋選手の母)も下の子二人の野球に行かないといけないので、わたしたちが琳来の試合を見にきています。

――ジュニアに入ったことについて

祖母:高いレベルで練習ができて、なかなか経験できんことなので、本当によかったです。

――タイガースのユニフォーム姿の高橋選手は

祖父:かっこいいですね(笑)。普段は飾っています。

――ジュニアに入ってからの高橋選手の変化

祖母:ずいぶん落ち着いた感じがします。もともと落ち着いた子なんですけど、なんか意識が高まっている気がします。毎週土日に来て仲間と一緒にやって、意識がすごく高まったんじゃないですかね。

すごい選手たちが集まっているので、やっぱり少年野球とはまた違いますね。

――おじいちゃん、おばあちゃんにとっての喜び

祖父:なかなか神宮や横浜って行くことないですから、そこに連れてってくれるっていうのはありがたいですね。

――大会に向けてジュニアたちへメッセージを

祖父:今まで練習してきたことを出して、楽しくやってくれたらいいね。

祖母:みんな、体調を崩さずに頑張ってほしいです。

高橋琳来(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)
高橋琳来(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)

高橋琳来(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)
高橋琳来(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)

高橋家のおじいちゃん、おばあちゃんと(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)
高橋家のおじいちゃん、おばあちゃんと(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)

■将来のちびっこ虎戦士?

 また、きょうだいたちも毎回一緒に来て、熱心に応援してくれている。弟や妹もこの先、タイガースジュニアとしてタテジマに袖を通すかもしれない。紹介しておこう。

 写真の左から高崎澪音(みおん)ちゃん、亀岡遥乃(はるの)ちゃん、亀岡謡乃(うたの)ちゃん、高崎虹音(かのん)ちゃん、中谷圭次郎(けいじろう)くん、岩田輝星(こうせい)くん、岩田大雅(たいが)くん、池本相太(そうた)くんだ。

 きょうだいたちも、すっかり打ち解けて仲よくなり、ジュニアたちともしっかりとコミュニケーションをとっている。頼もしい応援団だ。

お兄ちゃんたちに負けない勇ましいガッツポーズ(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)
お兄ちゃんたちに負けない勇ましいガッツポーズ(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)

 いよいよ5日後だ。周りの人々の熱い思いも背負って、阪神タイガースジュニアは勝利をつかむ。

 自分のために。そして、応援してくれる人々のために―。

寅年のちびっこ虎戦士たち(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)
寅年のちびっこ虎戦士たち(写真提供:阪神タイガースジュニア保護者)

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フリーアナウンサー、フリーライター

CS放送「GAORA」「スカイA」の阪神タイガース野球中継番組「Tigersーai」で、ベンチリポーターとして携わったゲームは1000試合近く。2005年の阪神優勝時にはビールかけインタビューも!イベントやパーティーでのプロ野球選手、OBとのトークショーは数100本。サンケイスポーツで阪神タイガース関連のコラム「SMILE♡TIGERS」を連載中。かつては阪神タイガースの公式ホームページや公式携帯サイト、阪神電鉄の機関紙でも執筆。マイクでペンで、硬軟織り交ぜた熱い熱い情報を伝えています!!

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