“石川のシュワちゃん”・永水豪、ドラフトを前に今シーズン、BCリーグ選抜を振り返る

「石川のシュワちゃん」こと永水豪投手は、“本家”に負けないデカさだ

■無尽蔵のスタミナと異次元の回復力を誇示

石川ミリオンスターズのエースとして活躍した永水投手
石川ミリオンスターズのエースとして活躍した永水投手

 「石川のシュワちゃん」こと永水豪投手石川ミリオンスターズ)の2019年シーズンが終了した。(“石川のシュワちゃん”について⇒BCリーグ無双中

 エースとして奮闘し、ローテーションをしっかりと守りきった。

 21試合に先発して11勝(リーグ4位タイ)5敗、防御率は2.21(同7位)、奪三振数も125(同3位)と堂々たる成績を残した。

リーグダントツの8完投
リーグダントツの8完投

 特筆すべきはリーグダントツの8完投だろう。延長十回引き分け試合で九回まで投げきっていることも含めると、実質9完投に値する。

 そして、そのうち4試合(3連続を含む)では完封もしている。

 無尽蔵のスタミナと異次元の回復力を誇示したシーズンだった。リーグトップの155投球回、2417球は、そのスタミナと回復力の証しでもある。

 そんな2019年シーズン、それに続くBCリーグ選抜試合を自ら振り返った。

■昨年と比べて格段に平均レベルがアップした

お尻のデカさが自慢!位置も高い!
お尻のデカさが自慢!位置も高い!

 まず「今年はいいときと悪いときが試合の展開に出ていた。調子いい時期と悪い時期がハッキリしていたシーズンだったかなと思う」と切り出した。

 「去年はいい状態、悪い状態っていうのが試合を見てハッキリわかる感じでもなかった」といい、それは自身の平均レベルが昨年と比べて格段に上がったことの証しであるという。

 「去年はいいときでも点は取られていたし、ゲームを作れるか作れないかという感じだった」のが、今年はレベルが上がったことで、調子のいいときはまさに無双状態で、その差がハッキリと出たようだ。

悪い日は連打を浴びた
悪い日は連打を浴びた
バッテリーを組んだ喜多亮太捕手は同い年
バッテリーを組んだ喜多亮太捕手は同い年

 その分、悪いときの内容に関して、おおいに反省が残ったという。

 「悪い日っていうのは、連打を食らっている試合ばかり。調子のいいときはそれをしっかり抑えられたんだけど…」。

 もちろんエースとしては調子が悪くても、悪いなりにゲームを作ることは毎試合しようとしている。

 「でもその修正をしっかりできないときがあった。それが、試合の展開の中で、点を取られちゃいけないときに取られたり…」。

 味方の得点より1点少なければ勝てる。つまりそこまでは取られてもかまわないわけだ。同じ点を取られるにしても、取られ方、数、タイミングというものがある。

 それらを把握した上で失点を防いできたつもりだったが、ときに悪い流れに飲み込まれてしまうことがあった。

■連敗の中で新たな引き出しが増えた

調整はできていたが・・・
調整はできていたが・・・

 とくに8月の半ば以降の3連敗が痛かった。「調整の部分、体の部分では、その3つともうまくいっていた」という。周りは疲労を心配したが、「疲れではない」とキッパリ。

 「しっかり体の調整はできていたけど、なんかそのときは、自分はこうだったらいいっていう自分の中の軸がちょっと崩れた感じがあったんですよ、その時期に少しだけ」と、永水投手は自己分析する。

アップも自分でしっかり
アップも自分でしっかり

 「左足を上げてしっかり軸足で立ったときに、どこに重心がいくか。拇指球側に重心があると、そこから体重移動がしっかりスムーズにいくけど、それがどうしても後ろにいったり踵にいったりする時期があって、それができないまま試合に入っちゃったりして。そこでフォームがバラバラになって、わからなくなってったりというのがあった」。

軸足で立ったときの重心の位置
軸足で立ったときの重心の位置

 これは新たな発見だったようだ。これまで自身の中で「こうだったらいい」という感覚の確認は、肩に関してが主だった。肩ならば状態の把握も、またその調整の仕方も心得ている。

 そこに下半身の問題が加わった感じだという。

 「肩のときはこうすればいいっていうのが見つかったときに、どんどんうまくいってたけど、新たなわからないところが出てきて、『できない、できない』ってなっていって、それがフォームの乱れにつながったのかなと思う」。

新たな引き出しを増やした
新たな引き出しを増やした

 そうして探り探りやっていき、ハマらないものもあって苦戦を繰り返したが、最終戦ではなんとか自分なりの修正法を見つけることができた。

 「これができれば、ちゃんといいフォームで投げられるって自分の中では思っている」と5回2失点にまとめ、シーズンラスト登板を勝利で飾った。

 新たな引き出しを増やし、次なる戦いはBCリーグ選抜の試合だった。NPBのドラフト指名に向けての最後のアピールの場だ。

■読売ジャイアンツ3軍戦

対読売ジャイアンツ3軍戦
対読売ジャイアンツ3軍戦

 9月19日の対読売ジャイアンツ3軍戦では先発で2回、同20日の同戦では4番手で六回の1イニングに投げた。

 1戦目は2安打1四球ながら3つの三振を奪って無失点、2戦目は三者凡退に抑えた。

 「初日はいつもどおり、今までやってきたことをそのまま出してしまったピッチングになってしまった」と“反省”した。いつもどおりのものが出せたのならいいはずだが、本人には別の目標があったのだ。

2試合連続で登板
2試合連続で登板

 「僕に足りないものはスピードって言われていたのに、そこに重点を置いていなかった」と振り返る。そこで翌日は切り替えることにした。

 「1イニングっていうことで、スピードも出した上でしっかり抑えられるというところを見せられるように努力したけど…」と唇を噛む。

 ジャイアンツ戦での最速は145キロだった。自己最速の148キロにも及ばなかったことが悔やまれた。

 しかしシーズン終盤で見つかった下半身の修正もでき、足は思うように使えていたので、次のバファローズ戦にはまた切り替えて臨んだ。

■オリックス・バファローズ・ファーム戦

対オリックス・バファローズ・ファーム戦
対オリックス・バファローズ・ファーム戦

 迎えた対オリックス・バファローズファーム戦は、9月26日の2戦目の先発としてマウンドに上がった。与えられたイニング数は3回だ。

 立ち上がりから安定感バツグンで、ストレートと変化球のコンビネーションもよく、1軍クラスの打者たちに真っ向から向かっていった。

 「スピードを出した上で、変化球もすべてでしっかり空振りが取れるというのを目標にしていたんで、変化球で三振も取れたし、ストレートも前回より1キロ上がって146キロっていうのを出せた」。

選抜試合では珍しくランナーコーチに立った
選抜試合では珍しくランナーコーチに立った

 手応えは悪くなかった。ただ、長距離打者とわかっていた頓宮裕真選手に対して143キロのストレートを左翼に運ばれたことは、「カウントが悪くなったときに、めちゃくちゃ甘くなってしまったので、打たれるべくして打たれた」と悔やんだ。

 結果、3回を1安打、2三振、1死球、1失点(自責は0)だった。

石川ミリオンスターズの正捕手・喜多亮太選手
石川ミリオンスターズの正捕手・喜多亮太選手

 受けた自軍の正捕手・喜多亮太選手に聞くと「永水はいつもとは違った」と目を丸くしていた。

 「めちゃくちゃ気合いが入っていた。ショートイニングやから飛ばしたんやと思うけど、めっちゃ腕振って、まっすぐもめちゃくちゃきてた」。

 球速表示以上に「まっすぐが走っていた」と証言し、「100点やったんちゃうかな」と讃えた。

■総括すると・・・

今年を振り返ると・・・
今年を振り返ると・・・

 試合後、自身の今年を総括した。

 「去年と違ってシーズン最初から主戦で投げさせてもらってたんで、シーズン中はNPBに行くことはもちろんだけど、チームを絶対に勝たせるという気持ちでずっとやってきた。その中で調子の波があったり、いろんな経験ができた。

それを選抜のオリックス戦で出せたのかなと思う」。

満点はつけない
満点はつけない

 そして、自分自身に点数をつけてもらった。

 「やりきった気持ちで言えば、(10点満点で)7~8くらいはやりきった感はある。残りの2~3の部分はスピードの部分かな、やっぱり。出しにいって出せなかった部分があったので、そこをもっとこういうのができたのかなっていうのを含めて」。

 どれだけやっても満点をつけることはないだろう。常に「もっとできたはずだ」という思いはつきまとうし、それがあるからまた向上する。

難しさも知った1年だった
難しさも知った1年だった

 しかし今年は、大いに考えて取り組んできたことで、新しい自分を見出すこともできたし、引き出しを増やすこともできた。

 「すごく広がった。今まで大雑把に野球を考えていた部分があったけど、今年は野球っていうものをしっかり考えてできた」。

 これまでと違う世界も見え、新たな野球観も芽生えた。より奥の深さも知ることができた。

 「難しさも知った1年間でしたね」。そう言って、石川のシュワちゃんは照れくさそうに笑った。

 やれることは精一杯やった。あとは待つしかない。

 また10月17日に笑顔が見られることを期待している。

永水 豪(ながみず ごう)*プロフィール】

1995年12月16日生(23歳)/福岡県出身

180cm・86kg/右投右打/O型

嘉穂東高校→明星大学→石川ミリオンスターズ(2018~)

《球種》ストレート、スライダー、カーブ、フォーク、チェンジアップ、シュート

《最速》148キロ 《アベレージ》145~6キロ

永水 豪*今季成績】

21試合 11勝5敗 完投8 完封4 155回 被安打155 被本塁打10 奪三振125 与四球43 与死球2 失点45 自責38 暴投3 ボーク0 失策2 防御率2.21

NPBでさらにデカく成長するだろう
NPBでさらにデカく成長するだろう

(撮影はすべて筆者)