NPBのドラフト会議に向けてアピールを続ける滋賀ユナイテッドの選手たち《ルートインBCリーグ》

7月15日のヒーロー・北本亘選手と鍵田匡宏選手(撮影:城 裕一郎)

■後期に懸ける男たち

必死だった。絶対にチャンスを逃さない―そんな思いで、食らいついた。

7月15日、守山市民球場で行われた滋賀ユナイテッドBC石川ミリオンスターズの試合で、お立ち台に上がった北本亘選手鍵田匡宏選手。ともに初めてのヒーローインタビューに笑顔を弾けさせた。

前期、悔しい思いをした男たちは、後期での躍進を誓っている。

■常に初球を狙う

撮影:城 裕一郎
撮影:城 裕一郎

試合を決めたのはキャプテン・北本選手の一打だった。1-1の同点で迎えた五回、先頭の鍵田選手が三塁打で出塁すると、初球に集中した北本選手はセンターへ運び、その鍵田選手をホームへ迎え入れた。勝ち越しだ。

六回も鍵田選手がヒットで繋いで一、三塁とチャンスを広げると、ここも北本選手は初球を引っ張ってライトへ。6点目を挙げて追い打ちをかけた。

撮影:城 裕一郎
撮影:城 裕一郎

常に初球を狙っているという。「自分は初球から振りにいくことでタイミングを合わせていくタイプなので。それに投手は初球が一番甘くなる確率が高いから」。

初球から振れるのは、しっかりと頭の中が整理され、集中できている証しでもある。

後期に入って着実に打撃の調子が上がってきた。「やっと練習の成果が出てきました」と笑顔を見せる。「前期の最後、調子を落としてしまって…。あかんのやったら、とことんやろうと思って、バットを振る回数を極端に増やしたんです。中途半端にやって、結果も出ないというのが嫌だったんで」。練習は嘘をつかない。

■左足の使い方

撮影:城 裕一郎
撮影:城 裕一郎

必死で振り込む中、左足の使い方に発見があった。これまでは足裏の指の付け根下あたりに体重を乗せて回転していたのを、内の側面…親指の付け根あたりの位置で回るように変えた。すると、これまで後ろ体重になっていたのが、軸でうまく回転できるようになった。

数を打ち続けることで、自らの体が見出したのだ。後期に入ったばかりの6月下旬のことだった。

■恩人への感謝

撮影:城 裕一郎
撮影:城 裕一郎

守備に関しても、きっかけのプレーがあった。ジャイアンツ3軍との2戦目、二遊間の当たりを横っ飛びで好捕した。「自分にもこんなプレーができるのか…」。これまでになかったような自信が湧いてきた。

その試合後の野球教室でも、さらなる収穫があった。ノック中、ジャイアンツ3軍の川相拓也選手に気になっていることを自分から質問したのだ。

「スタートを切るときは爪先重心だと切りやすいよ」。貴重なアドバイスをもらえた。その一言でずいぶん変わったと、北本選手は感じている。

撮影:城 裕一郎
撮影:城 裕一郎

また「城さんのおかげです」と、個人練習に付き合ってくれている“練習パートナー”に感謝の気持ちを述べる。チームのオフィシャルカメラマン・城 裕一郎さんのことだ。

城さんの仕事はもちろん写真撮影なのだが、空いた時間を使って練習を手伝ってくれているという。ティー打撃のボールを上げたり、ノックを打ったりと、あらゆるサポートをしてくれているそうだ。

こうして結果を出すことが最高の恩返しになる。

■ドラフトに向けて

撮影:城 裕一郎
撮影:城 裕一郎

チームではキャプテンの責務を担う。「周りから見たら物足りないと思う。練習態度や片づけも一生懸命に率先してやって、『キャプテンがやるならやろう』って思ってもらえるように」と、懸命に引っ張っている。

目標はもちろんNPBだ。そのために今は連日、レベルアップに汗を流す。

ふと「バックスクリーンにホームラン打てたら…」と口にした。長距離打者ではない。本人も「ホームランバッターになりたいわけじゃない。長打を増やしたいわけじゃない」と言う。

つまり、それくらいの力強いバッティングをしたいということだ。そして「体重移動やスイング軌道が完璧な形でないと、バックスクリーンには放り込めない。その完璧なスイングを完成させたいということ」と付け加えた。

自身の求める完璧なスイング、堅実な守備…やるべきことは、まだまだだくさんある。ドラフトに向けて、北本選手はさらに厳しく自らを追い込んでいく。

上園監督と
上園監督と

■メンタルコントロール

撮影:城 裕一郎
撮影:城 裕一郎

もうひとりのヒーロー、鍵田匡宏選手は4月16日以来の3安打、4出塁は初だ。この日は右、左中間、中と打ち分けた。

第1打席は二死二塁からのタイムリー、第2打席は先頭で三塁打、第3打席は一、三塁に好機拡大する一打と、勝利に大きく貢献した。最終打席も先頭でしっかり四球を選んだ。

撮影:城 裕一郎
撮影:城 裕一郎

「小さい頃からメンタルは強いほうじゃなかった。試合で結果を出せるタイプじゃなかったんです」と振り返る。

高校生のとき、大学の心理学の先生から受けたメンタルトレーニングで気づかされたのだという。

だから自身に課している。一喜一憂しないようにと。「(自分で)コントロールできないことは意識しないようにしています。決して気負わないように」。

今月2度目のスタメンにも「燃えた、とかはないです」と落ち着いていた。

撮影:城 裕一郎
撮影:城 裕一郎

けれど「今日はヒーローになりたいと思ってしまった」というのは、1打席目でタイムリーが出たから。「ローリー(ロレンゾ投手)なら1点取ったら0で抑えてくれる。抑えてくれたらヒーローやな」。チラッと心によぎった。

ここからのメンタルコントロールが重要だった。自分の中に芽生えた“色気”をどう抑えるか。「気持ちが勝ちすぎるといい結果は出ない。なんとかコントロールした」。それが2打席目以降の好結果につながった。

■大事なのはタイミング

撮影:城裕一郎
撮影:城裕一郎

出場チャンスが少ないこともあるが、なかなか結果が出せなかった。結果を出すために、いろいろ考えた。「意識したら打てない。とにかくタイミングを大事にした」。

練習ではスイングをしっかりし、タイミングだけとるようにした。「できるだけ足を上げて打ちたいタイプなんで。早めに左足を上げて右足でしっかり立てるよう、下半身を意識しています」と説明する。

■ルーティーンの確立

撮影:城 裕一郎
撮影:城 裕一郎

今後に向けて「波を小さくしたい」と話す。「3安打打って、次が打てないことがあったので…」と振り返るのは、前回の3安打の次の試合、無安打で終わったことだ。

波を小さくするためにも、一喜一憂しないことを改めて心に刻む。

撮影:城 裕一郎
撮影:城 裕一郎

試合の中でのルーティーンも、これまでいろいろ試してきた。その中で、この日に取り入れたものを今後も続けていきたいと話す。ネクストでのバットスイングだ。

バットが下から出ないよう、上からかぶせるようにスイングする。強いボールに負けないようにするためだ。これを打席に入る前にすることで、体にクセづけられる。

ここまで途中出場も多かった。「スタメンを勝ち取れるよう、出たときに結果を出したい」。まずはチーム内競争に勝ち抜かねばならない。

勝負の場は、さらにその先にあるのだから。

上園監督と
上園監督と

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