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もと読売ジャイアンツのエース・桑田真澄氏がBCリーグ・滋賀で始球式/対ジャイアンツ3軍との3連戦

土井麻由実フリーアナウンサー、フリーライター
滋賀で始球式をした桑田真澄氏。見事な投球を披露。(撮影:城 裕一郎)

■滋賀に桑田さんがやってきた!ジャイアンツがやってきた!!

ビシッとした球を投げる桑田氏(撮影:城 裕一郎)
ビシッとした球を投げる桑田氏(撮影:城 裕一郎)

「ボクはね、始球式だからフワッとではなく、ビシッとした球を投げたいんだ。一年でも長くね」。こう話すのは読売ジャイアンツのエースだった桑田真澄氏だ。

ルートインBCリーグ滋賀ユナイテッドBCが本拠地(7月7日は湖東スタジアム、同8、9日は守山市民球場)に読売ジャイアンツ3軍を迎え、3連戦を行った。その最終戦で桑田氏は始球式のマウンドに上がり、冒頭の言葉どおりインローに「ビシッとした」球を投げ込んだ。

今もなお引き締まった体に現役時代を彷彿とさせるフォーム、そして投げ終わったあとの爽やかな笑顔に、スタンドを埋め尽くした野球ファンは魅了された。

■野球界に貢献したい

今もトレーニングを欠かさない(撮影:城 裕一郎)
今もトレーニングを欠かさない(撮影:城 裕一郎)

こういった始球式の機会は実に多いという桑田氏は、そのために現在もトレーニングは欠かさないという。「週に2〜3回は練習しているよ。すぐ投げてくれって言われても、いつでも投げられる。50歳でもこういう投げ方ができるんだって見せたいからね」。ニヤリと笑った。

「滋賀県では初めてだけど、独立リーグ、大学、少年野球…いろんなところで(始球式を)させていただいているのは、野球界に貢献したいという思いから」だという。さらに「いろんなマウンドに立てるのは夢でもあるしね」と、根っからの“野球小僧”でもあることも窺わせた。

「野球はいいな、と。素晴らしいスポーツ。野球を通じていろんなことを学んでほしい。上手になって実力つけて、早く上にいってもらいたい。実力をつけると、より楽しいんでね」。穏やかな表情に優しい語り口だ。

ブルペンでの投球練習(撮影:城 裕一郎)
ブルペンでの投球練習(撮影:城 裕一郎)

BCリーグの選手には「野球界の可愛い後輩たちだし、ひとつでも上をめざしてやってほしい。NPBは厳しいけどいいところ。頑張ってほしい」とエールを送る一方、NPBへの入口のひとつである独立リーグに関して「地域密着で取り組んでいるよね。大事な組織だし、発展してほしい」としつつも「増えることがベストではないから。最大より最適。日本は今、模索している状態だよね」と、より良くしていくためにと親身に考えている。

■野球は可能性のあるスポーツ

輝くエースナンバー(撮影:城 裕一郎)
輝くエースナンバー(撮影:城 裕一郎)

また野球の魅力についても熱く訴える。「いろんなスポーツがあるけど、野球は可能性のあるスポーツ」と位置づける。「背が高い低い、細い太い関係なく、何かひとつでも自分の武器があればできる。打てなくても走れなくても投げられればスーパースターになれるんだから」。自分の長所を見つけて活かしてほしいと語る。

野球は素晴らしいスポーツ、と桑田氏(撮影:城 裕一郎)
野球は素晴らしいスポーツ、と桑田氏(撮影:城 裕一郎)

さらに「野球を通じて、努力や勝負の厳しさ、助け合うことや道具の大切さも学べる。野球人口は確かに減っているけど、今まで増やしすぎたのであって、これも最大より最適化が大事」と私見を述べた。

全国各地で地方大会が始まっているが、高校球児に向けても「甲子園もいいところだからぜひ経験してもらいたいけど、チームが心をひとつにして最後まで戦うことが大事。その次に、勝った負けただから。どんな相手でも心をひとつにしてゲームセットまで全力で戦ってほしい」とメッセージを送った。

■BCリーグとジャイアンツ3軍―お互いにメリット

“桑田効果”、“ジャイアンツ効果”によって、この3連戦は連日大入り満員で大盛況のうちに幕を閉じた。ジャイアンツ3軍との公式戦開催についてBCリーグ・リーグ事業部長の梶原 駿氏に話を聞いた。

ジャイアンツ3軍・川相監督(左)と後藤外野守備打撃コーチ(右)(撮影:城 裕一郎)
ジャイアンツ3軍・川相監督(左)と後藤外野守備打撃コーチ(右)(撮影:城 裕一郎)

昨年からはじまったというジャイアンツ3軍との交流戦だが、きっかけは一昨年の夏前、ジャイアンツ側からの呼びかけだった。「3軍構想」が持ち上がっていたジャイアンツとしてはゲーム数を確保するため、対戦相手を探していた。しかもそれ相応のレベルであることも必須条件だった。

そこで白羽の矢が立ったのがBCリーグだったのだ。BCリーグ側としてもスケジュールやコストなどさまざまな観点から可能なのか不可能なのか話し合い、ジャイアンツとの交渉を重ねた。そして出した答えは「いいチャンス」だった。開催を決断した。

脇谷選手の登場にスタンドが沸く(撮影:城 裕一郎)
脇谷選手の登場にスタンドが沸く(撮影:城 裕一郎)

梶原氏によると、BCリーグの考えはこうだという。「まずBCの選手にとっては、対戦することで“指標”ができます。彼ら(ジャイアンツ3軍選手)のユニフォームを剥ぎ取るくらいでないと、NPBでは勝負できないわけですから。そして試合が数多くできます。また、巨人軍やNPBスカウトの方に見ていただける直接の機会が増えます」。

NPBのレベルを肌で感じることができるとともにアピールの場にもなるということだ。

昨年は8チームがそれぞれホーム4試合、ビジター2試合戦い、合計48試合開催した。今年は2チーム増えたのでホーム3試合、ビジター2試合、合計50試合組まれている。

■ゲーム数の確保に加え、興行面での増収

ジャイアンツファンにとっても貴重な機会(撮影:城 裕一郎)
ジャイアンツファンにとっても貴重な機会(撮影:城 裕一郎)

また営業面でも大きな影響がある。「単純に観客動員が増えるので、平均数が上がります。リーグ全体で見ても1試合の平均が600人前後のところ、対ジャイアンツ3軍戦となると約1,200人まで上がる。ほぼ倍です。興行面からも開催する価値は大きいですね」。

滋賀ユナイテッドを見ても、ここまでの主催試合の1試合平均動員数は333人(最多は4月8日の開幕戦で2,253人)だったが、この3日間は7日が811人、8日が2,551人、9日が2,861人と最多人数を更新し、1試合平均2,074人集めた。

ジャイアンツベンチ(撮影:城 裕一郎)
ジャイアンツベンチ(撮影:城 裕一郎)

「何かのきっかけでBCの試合を見てもらうということが大事なので。見てもらわないとわからないから。BC戦士がジャイアンツに立ち向かうというところを見てほしい」。

そして魅力を感じて次回また、BCリーグ公式戦に足を運んでもらうことが狙いだ。そのためにも、これを「一過性のお祭り」にしてはいけない。今回これだけの集客があった滋賀も、今後の展開が重要になってくる。

“特例”でジャイアンツグッズの販売も
“特例”でジャイアンツグッズの販売も

一方、ジャイアンツ側としても当初の目的であるゲーム数をかせぐ以外にも、NPBの試合が開催されない地方のファンへの大きなアピールになる。

そのことを心得ているからかジャイアンツの選手たちは、遠征先のBC本拠地においてサインの求めなどにも気軽に応じ、熱心にファンサービスを行っている。

■NPBへの登竜門としての認識が高まる

野球界の発展のために―
野球界の発展のために―

四国アイランドリーグから遅れること2年、創設11年目を迎えるBCリーグだがNPBへ進む選手の数は年々増加し、昨年は年間輩出者数が8人(ドラフト指名5人、移籍3人)と独立リーグの中でトップに躍り出た。

BCリーグのトライアウト受験者もここ2年で急激に増えた。3年前に比べるとほぼ倍近くになり、2017年シーズンの選手のトライアウトでは約400名が受験した。

「“NPBへの登竜門”としての認識がかなり高まってきました。入口が広がったことにより、プロを目指したい選手も増えたと思います」と、手応えを感じていると梶原氏も語る。

今後ますます相互交流が活性化することにより、広く野球界全体の発展に繋がっていくだろう。

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フリーアナウンサー、フリーライター

CS放送「GAORA」「スカイA」の阪神タイガース野球中継番組「Tigersーai」で、ベンチリポーターとして携わったゲームは1000試合近く。2005年の阪神優勝時にはビールかけインタビューも!イベントやパーティーでのプロ野球選手、OBとのトークショーは数100本。サンケイスポーツで阪神タイガース関連のコラム「SMILE♡TIGERS」を連載中。かつては阪神タイガースの公式ホームページや公式携帯サイト、阪神電鉄の機関紙でも執筆。マイクでペンで、硬軟織り交ぜた熱い熱い情報を伝えています!!

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