元阪神タイガースの西村憲投手、台湾プロ野球のトライアウトに挑戦する!

台湾プロ野球のトライアウトを受ける決意をした西村憲投手

■台湾プロ野球への挑戦

「台湾でのトライアウトを受けてみることにしました」。西村憲投手からこんな報告があったのは12月2日のことだった。11月12日に行われた12球団合同トライアウトから、ちょうど20日が経っていた。

日本語によるトライアウトの告知
日本語によるトライアウトの告知

NPBに復帰したい一心でトライアウトに懸けて取り組んできた。しかし西村投手の携帯電話が鳴ることはなく、時が過ぎていった。

もちろんNPBが最優先ではあるが、現役を続けるならば“もしも”の手は打たねばならない。トライアウトと前後して、ほかも当たってきた。あらゆる知り合いに頼み、海外も模索してきた。

そんな折、台湾プロ野球―中華職業棒球大連盟CPBL)が合同トライアウトを行うという情報をキャッチした。台湾人選手のみでなく、“外国人選手”も幅広く対象としている。中国語、英語のほか、日本語でも告知しているのだ。

先日、今季まで所属した独立リーグ・ルートインBCリーグ石川ミリオンスターズから、同リーグの新規参入球団である滋賀ユナイテッドへのトレードが発表されたが、同球団代表の鈴木信哉氏はかねてから西村投手に対して、あらゆる可能性に挑戦するよう勧めていた。そんな鈴木氏の後押しもあり、西村投手は心置きなくチャレンジすることを決意したのだ。

■祖国・台湾でプレーしている元虎戦士たち―蕭一傑投手、林威助選手

台湾といえば、阪神タイガースに同期入団した蕭一傑投手が祖国に戻り、義大ライノズ(来年からは富邦ガーディアンズ)でプレーしている。早速、連絡をとったそうだ。蕭投手はトライアウト受験の申請書類への記入をはじめ、ホテルや飛行機の情報収集を手伝ってくれた。当日は空港まで迎えにも来てくれるという。

元阪神タイガースの蕭一傑投手
元阪神タイガースの蕭一傑投手

蕭投手によると「実はCPBLがこういう形で合同トライアウトを行うのは初めてなんです。今までは各チームがキャンプに対象選手を呼んで、テストをする形だったんで」とのことだ。

ということは外国人選手にかなり期待をしているということなのだろうか。これについて、蕭投手の考えはこうだ。「日本人選手が台湾でプレーするということは、欧米選手と競争するということですよ。同じ外国人枠になるのでね。日本人選手は台湾人選手と同じ東洋人ですから、球団的には欧米選手の方を優先的にチョイスするのではないかと、ボクは思います」。なかなか手厳しい。

とはいえ、実力の世界だ。現在のCPBLは打高投低が顕著で、優秀な投手を求めている。可能性は決して低くはない。「結果ですよ。とにかく結果がすべてです」。同じく元阪神タイガースで、現在はCPBLの中信ブラザーズでキャプテンも務め、中心選手として活躍している林威助選手は話す。

元阪神タイガースの林威助選手
元阪神タイガースの林威助選手

林選手は「日本人投手の球のキレとコントロールは、(打高投低の)台湾でも十分に通用する」と読んでいる。それは日本人独特の体の使い方によるという。「日本人はやはり下半身と股関節、肩甲骨を使って投げるんでね。上半身だけで投げると、初速と終速の速度の差が大きくなるからね」。つまり上半身に頼るピッチングではベース付近で失速し、伸びないということだ。その点、日本人投手の投げ方は初速と終息の差が小さいと説く。

「台湾の投手も若干、アメリカ式(上半身が強いタイプ)が多い」という。「しっかりバランスよく投げないと、肩や肘にも負担がかかって故障しやすくなるから」。さすが日本球界で11年間プレーしていただけある。的確な分析は、西村投手に希望を持たせてくれる。

■甲子園球場で得た宝もの

今、西村投手は「かなり急ピッチで仕上げています」と、金沢で練習を続けている。とはいえグラウンドがないので、相変わらず公園やジムでのランニングやキャッチボール、ウェイトトレーニングが中心である。近々福岡に帰省し、兄・悟さん(徳島インディゴソックス福岡レッドワーブラーズ愛媛マンダリンパイレーツ)や母校の九州産業大学に協力してもらい本格的なピッチングを行う予定だ。

ステップアップするために挑戦し続ける
ステップアップするために挑戦し続ける

これまでも「体が動かなくなるまでは現役を続ける」と公言してきた西村投手。今できること、そして更なるステップアップを目指して、台湾野球にチャレンジしようとしている。その根底には、先日の甲子園球場で行われた12球団合同トライアウトでの感激がある。

名前がアナウンスされたときの、あの歓声。あの拍手。投球時に固唾を飲んで見つめられる視線。そして投げ終わった後に再び送られた拍手と温かい声援。

久しぶりに蘇ったあのゾクゾクするような感覚は「まだまだ辞められない」、いや、「必ずこの場所に戻るんだ」ということを強く再確認させてくれた。

再び輝く場所に戻るために、また新たな一歩を踏み出した。今回どのような結果であれ、今後もチャレンジすることは決してやめない。諦めない。欲しいものを手にするために、西村投手は挑戦し続ける。

(西村憲投手 トライアウト関連記事⇒12球団合同トライアウト前12球団合同トライアウト後