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タイガース打線を牽引するヒゲヒゲコンビ―マートン選手&ゴメス選手

土井麻由実フリーアナウンサー、フリーライター
第1ボタンを外す着こなしの“パピー”ことゴメス選手

■ゴメス選手、大丈夫?

7月29日、試合前のスターティングラインナップをウグイス嬢がアナウンスすると、球場がどよめいた。ゴメス選手の名前がなかったのだ。

実はその日、試合前練習のグラウンドにも姿を見せず、和田監督は「中でやっている」と説明したのだが、試合後、発熱により病院で点滴を打っていたことが判明した。それでも健気にベンチ入りし、出番はなかったものの休んだりはしなかった。

翌日、普通に出てきたゴメス選手は、「熱は下がったから、もう大丈夫だよ。昨日は早く寝たし、よく眠れたから」と気丈に笑顔を見せたが、声は少しおかしかったし、左腕の点滴の跡が痛々しかった。

そしてスタメン発表。「4番・ファースト・ゴメス」とコールされると、割れんばかりの拍手と歓声に球場が揺れた。それに応えるように初回、一死一、二塁からレフト線へタイムリーを放ったゴメス選手は、「打点を挙げられたし、二塁打でチームの勝利に貢献できてよかった。とにかく最初からベストを尽くそうと思った」と満足そうに微笑んだ。

「日本の夏に驚いている。向こうも暑い筈だけど、暑さだけじゃなく、初めての経験をしているから」。和田監督がこう話せば、大木通訳も「暑いせいだけとは限らないんじゃないかな。例えば、家族が来て精神的には嬉しいけど、赤ちゃんが夜中に泣いて起こされることもあるだろうしね。もちろん本人はそんなこと言わないけどね」と慮る。

暑さに関してはオマリーコーチも「7月からどんどん暑くなる。広島も要注意だ」と、少し前から対策を授けていたそうだ。「基本的なことをしっかりやりなさいと言ったよ。食事と睡眠だね。これだけ暑い中で汗かいて、そのまま涼しい室内に入ると体調は崩しやすいから。彼が体調を崩すと、ボクが現役に復帰しなくちゃならなくなるよ。ハッハッハ…」と、ジョークを交えて語ってくれた。

日本での先輩、マートン選手も「彼とは日頃から色々話しているからね。体に気をつけろということは言ってるよ」と以前から気にかけていて、アドバイスはしているそうだ。「精神的なことの方が大きいんじゃないかな。余分なエネルギーを使うことが大きいと思うよ」。初めての環境。異国での暮らし。そういったストレスがいかに大きいかを一番よく知っているから、的確にアドバイスできるのだ。

■進化するマートン選手の体作り

マートン選手自身の1年目は「若かったからね(笑)」と、体の不調はなかったそうだが、年々変化する体と向き合い、より良いパフォーマンスを出すために、「毎年、何か新しいことを取り入れるようにしているんだ」と話す。

今年、夏場に疲れない体を作るために行っているのがランニングだ。もちろん今までのトレーニングでもやっていたのだが、その量をこの暑い時期により増やしているというのだ。「例年のこの時期に比べて、ランニングやジョギングの量は多いよ。増やすことによって、血流を良くしているんだ」。それによって、疲れにくい体になるそうだ。

そして走る時はいつも大木通訳も“道連れ”だ。チームのために、大木通訳もバテてもらっては困るからだろう(笑)。グラウンドに出ると、二人仲良く外野を走っている。

そのお蔭か、夏場に多少落ちる体重も、「今のところ、維持できているよ。食欲も落ちないしね」と夏バテ知らずだ。またランニング以外の練習は抑え気味にし、「(試合開始の)6時にピークを持っていくようにしている」と、ゲームに100%で臨めるよう、ペース配分も会得している。

そして一日のペース配分だけでなく、9月、10月にピークを持っていくよう長期的な配分も考えている。「今まで10月に失速することがあったから。それはパピー(ゴメス選手)にも言ってあるんだ」。来日1年目の214安打を記録した年でも、10月の打率は・280、そして昨年も・269だった。自身のウィークポイントを分析し、克服する努力を惜しまないのだ。

その姿勢が7月の打率・395(リーグ2位)、安打数32(同1位)にも表れているし、ゴメス選手にとってもいいお手本になっている。またマートン選手にとってもゴメス選手がいることが精神的な支えになり、お互いがいい相乗効果を生んでいる。(数字は7月30日現在)

■ヒゲヒゲコンビの願望は・・・?

そういえば二人して願掛けと言って髭を伸ばしているが、この暑さでマートン選手は音を上げそうになった。オールスター直前、自身の短文投稿サイト(ツイッター)でファンに問いかけた。「shave or keep」―剃った方がいいかどうか、と。

おそらくマートン選手は「shave」が大多数であろうと予測していたのだろう。ところが「keepが75%から80%だったよ」。ガッカリした表情で打ち明ける。「でもボクの気持ちは75%shaveだよ。だってアツイからね」。

だったら剃ればいいのにとも思うが、そこはファンを大切にするマートン選手。「ニィゼロイチヨン、ヒゲ・イメージネ」。これが2014年のスタイルだと腹を括ったようだ。

しかし、ただ伸ばしているわけではない。「ちゃんとシャンプーして、コンディショナーでトリートメントもしているよ。毛の質が硬いから、きちんとケアしないとモァ~ッと膨らんじゃうんだ。ここまで伸ばしたのは初めてだから、自分でも学びながら手入れしているよ」。研究熱心なのは野球だけではないのだ。何事においてもベストを探す人なのだなぁ。

ゴメス選手も「奥さんは嫌いだと言っている」と言いながらも伸ばし続けている。二人の願いはきっと、秋に多くの人に喜びをもたらすものに違いない。

自慢のヒゲをなでるマートン選手
自慢のヒゲをなでるマートン選手
フリーアナウンサー、フリーライター

CS放送「GAORA」「スカイA」の阪神タイガース野球中継番組「Tigersーai」で、ベンチリポーターとして携わったゲームは1000試合近く。2005年の阪神優勝時にはビールかけインタビューも!イベントやパーティーでのプロ野球選手、OBとのトークショーは数100本。サンケイスポーツで阪神タイガース関連のコラム「SMILE♡TIGERS」を連載中。かつては阪神タイガースの公式ホームページや公式携帯サイト、阪神電鉄の機関紙でも執筆。マイクでペンで、硬軟織り交ぜた熱い熱い情報を伝えています!!

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