瓦屋根を捨てれば被害激減:北海道地震が証明

 北海道ツアーの最中に震度7を記録した胆振東部地震に遭遇し、屋根の重さが地震被害に直結していると知らされました。瓦屋根が存在せずトタン屋根の民家が立ち並んでいるため同規模の熊本地震よりずっと軽微でした。北海道のメディアは私のように西日本の地震を取材したことがないので「道内で初の震度7」がニュースと考えていますが、同じ震度7を記録した2016年の熊本地震と比較した下の表を見れば、考え違いが分かるでしょう。北海道で震度5以上を記録した範囲は熊本県の大きさに近く、人口は熊本の175万人に対して北海道は大都市札幌が入っているので300万人を超えます。

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 北海道の被害集計はまだ続行中で地震10日目、15日午前10時現在です。これから確認が進んでも住宅全壊105戸、半壊125戸、一部損壊670戸の状況が劇的に変わるとは考えられません。熊本では住宅全壊8663戸、半壊3万4498戸、一部損壊15万4074戸でしたから、100倍規模の被害と言って良いでしょう。参照した資料は北海道が《被害状況等(第32報)》、熊本が《熊本県熊本地方を震源とする地震に係る被害状況等について》です。マグニチュードは北海道が6.7、熊本が7.3でした。

 これだけで瓦屋根の有無だけが原因のすべてとは断言できませんが、登別温泉で震度5弱に遭遇、十勝川温泉に宿を求めて移動中に震源に近かった震度6弱の安平町をバスで通過しました。民家はほとんど何でも無かったように平然と建っていました。まれにレンガを壁に使った家があり、そこだけボロボロに崩れていました。過去の地震取材とはまるで違う光景に唖然としました。

 北海道に瓦屋根が存在しないのは、冬はマイナス20度、30度にもなるために瓦が雪の水分を含むと割れるためとバスガイドさんは説明していました。北海道開拓当初は木の板で屋根を葺いていたので、そもそも瓦を使う習慣が無いという説もあります。いずれにしても安平町を含めて重量屋根の民家が無かったのは間違いありません。

 結果として人的被害にも差が出ています。熊本では直接死50人のうち37人が家屋の倒壊によるものであり、10人が土砂災害でした。北海道の直接死41人のうち36人が裏山が崩れた厚真町で生じています。都市部では札幌1人、苫小牧2人と死者はあまり出ていません。

 この結果を見れば、重い瓦屋根を捨てることで本州や九州・四国でも地震の被害を激減させられると予測できます。今後、南海道地震や首都圏内陸地震など心配される中で防災対策上、大きな示唆が得られたと考えられます。

 地震については東日本大震災などで多くの科学的な考察を評論にしてきました。最近では2016年に第524回「熊本の大地震が関西にも地震を呼んだ観測結果」と、第527回「日本列島を揺する地震軸エックス交差を地図に」があり、地震のありようを当該地域に限定して考えるべきでないと論じています。