ラオス決壊は土のダムで越流させた設計と管理ミス

 ラオスのダム決壊は千人以上が行方不明とも伝えられ深刻です。判明したデータからは土を固めただけの補助ダムが強固なメインダムより低く造られ越流を起こして決壊、緊急放流が遅れたのも一因になったと見えます。アースフィルダムは堤防を越流させると土が流されて損傷しますから、コンクリートダムに比べて2割大きな洪水でも耐えられるように設計するのが建設業界の常識のようです。また7月23日の決壊に先立ち、建設にあたった韓国企業は20日にはダム堤に異変を確認していたのですから緊急放流を早期に決断するだけでも惨事は防げたでしょう。

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 上は決壊の日からツイッターなどに出回っていた写真ですが、どの場所で何時ごろに撮影されたか不詳でした。vop.co.krの《ラオスのダム崩壊、設計・施工に釈然としない疑惑》(韓国語)によると、地域の市民活動家団体である「LaosFAB」が写真をフェイスブックページにあげ住民の避難を促したそうです。これを見ると、すでに越流は起きて堤防は壊れ始めていますが、貯水池の水位は少し下がっています。23日午前3時から緊急放流が始まったそうですから住民避難要請が出た昼頃の写真なのでしょう。決壊は緊急放流から15時間後でした。

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 上の写真は事故現場が韓国の聯合ニュースなど一部メディアに初公開された映像からキャプチャーしました。谷間を埋めていた補助ダムが跡形もなく流された現在の様子です。周辺を見比べると、最初の写真とほぼ同じアングルで撮影されたと考えられます。アスファルトで覆い土を固めただけの素朴なアースフィルダムである点が明瞭で、プロジェクト説明にもそう書かれていて、それ自体は問題ではありません。聯合ニュースは幅770メートル、高さ25メートルとしています。これに対してメインダムは高さ73.7メートル、堰堤1.6キロ、粘土をコアにした石積みによるアースフィルダムとされます。両ダムの関係を地図で見ましょう。

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 メインダムには問題が無いというのが関係者の証言ですが、大きな川が流れ込んでいない貯水池の水位は何処でもほぼ同じですから、弱い補助ダムを越流させるような全体設計が間違っていると指摘せざるを得ません。補助ダムの堤防はもっと高くなるべきでした。コンクリートダムに比べて貯水量に余裕を持たせるどころか、自殺行為をしています。また5カ月も工期を短縮してダム本体を完成させた報道は、アースフィルダム内部の土を固める作業を十分にしなかった恐れを感じさせます。

 中央日報日本語版の《ラオスダム決壊、4日前から兆候…「韓国職員53人は避難したが…」》は《20日に沈下現象を確認したことを明らかにした。22日にはダム上段部10カ所で沈下が発生して復旧装備を手配し、23日午前11時ごろダム上段部が1メートルほど沈下》と報じています。

 現場写真があるから分かる通り、上段部1メートル沈下は越流の結果なのです。ひょっとすると越流の恐ろしさを認識していなかった可能性すらあります。「豪雨でダムが氾濫」と施工の韓国・SK建設は釈明していましたが、越流するまで漫然と見守るだけだった愚かさ、個々人に課された義務をいい加減にする性癖は私の書いた第477回「安全になれぬ韓国、手抜き勝手の国民意識が原因」での指摘通りです。ダム決壊で貯水池の水が激減し、洪水として出ていった様が見える米コロラド大の衛星解析画像を付けておきます。

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