韓国の対中・幻想の外交で国論分裂、統合不能

韓国大統領が訪中 中韓首脳会談(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 現実でないキラビヤカな韓流ファンタジーを地でいった韓国ムン大統領の今回国賓訪中でした。保守系メディアは屈辱まみれと主張するのに、政府高官は6月訪米に続き大成功と自賛し、日米の冷たい視線が見えません。北京大での講演は中国を高い峰と持ち上げ、習近平主席の「中国の夢は中国だけの夢ではなく、アジアのすべて、さらには全人類と一緒に見る夢になってほしい」「韓国も小さな国ですが、責任ある中堅国家として夢を一緒にしたい」と昔、中国の属国だった時代に戻ったとしか思えない卑屈な臣従ぶりなのに、左派系ハンギョレ新聞の韓国語記事が批判する視点さえ無く、得々として報じています。左右完全に国論分裂です。

 国賓待遇であり得ない冷遇、随行記者団への警備員による集団暴行といったニュースからは中央日報の17日付《韓国は米国・日本の信頼を失って、中国は韓国民の心を失った》(韓国語)が妥当に見えます。50年来の中国専門家、高麗大名誉教授のインタビューです。《「政府は朝鮮半島戦争不可など4原則で戦争を防いだ」と言うが「米国の対北朝鮮軍事オプションに反対し、これは当事者である韓国政府と最も影響力のある利害関係者である中国が北朝鮮を圧迫する強力なオプションをなくし、自ら武装解除したものである」「米国・日本の信頼と韓国民の自尊心を失った」とし「中国も韓国を屈服させる様子を全世界に確認させたと同時に韓国民の心を失った」》

 朝鮮日報の《【社説】どう考えてもおかしすぎる文大統領の国賓訪中》が韓国内の分裂ぶりを伝えています。韓国大統領府は「冷遇ではない」とし、れっきとした傷害事件である記者暴行にも中国に遠慮して下手に出ています。

 《中国の警備員らが韓国人記者らを集団で暴行し、さらに中国の王毅・外相が文大統領に無礼な態度を取り、国賓晩餐(ばんさん)会の様子が非公開で、文大統領は複数回にわたり一人で食事を強いられた。このように理解し難い出来事は一つや二つではない。ところがこれに対して文大統領の支持者らはネットで暴行を受けた記者らを逆に批判し「殴られるようなことをしたのだろう」「中国はやるべきことをやった」「もっと殴られて死んでいればよかった」などと書き込んでいる。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で大統領府広報主席を歴任した趙己淑(チョ・ギスク)氏はフェイスブックで「もし記者が立ち入り禁止の場所に入ったなら」と仮定した上で「暴力を使ってでもまずは制止することが警備員にとっての正当防衛だったのではないのか」と書き込み、これが問題となって謝罪した。文大統領の訪中がこの事件によって傷つくことを恐れての書き込みだったのだろうが、それでも暴行を受けた側の国民として言うべきことではないだろう。このような韓国における一連の騒ぎを受けて中国共産党の宣伝機関は「韓国のネットユーザーらはル-ルを守らなかった(韓国人)記者らの責任とみている」と報じた。しかし記者らはルールを破ってはいない。文大統領の支持者と中国が同じ立場となり、暴行を受けた韓国人記者たちをさらに追い込み攻撃している》

 韓国聯合ニュースの《大統領府「朝鮮半島の問題、もう一つの山を越えた」... 「冷遇論」一蹴》(韓国語)は自画自賛で溢れています。

 《これは韓半島問題において最も大きな影響力を行使するG2(主要2カ国)、すなわち、米国と中国を相手に直接、通常の次元の訪問外交を通じて意味のある「協力的土台」を構築したという意味で見ることができる。言い換えれば6月末、米国公式訪問を通じて韓半島問題に対する韓国の主導的役割を認められることで「初の山」を越え、今回は、中国国賓訪問を通じて、朝鮮半島問題の平和的解決のための「4大原則」に合意することにより、「もう一つの大きな山」を越えたという話だ》

 朝鮮半島の危機的状況を「ドライブする運転席に座っているのは韓国」という幻想をまだムン・ジェイン大統領は持っているようです。日米はじめ関係諸国と認識がかけ離れています。THAAD(高高度迎撃ミサイル)の配備をめぐって第550回「中国のやり過ぎ韓国いじめで反中が起きないなら」で「これで反中にならないなら清朝時代の朝貢国に自らを貶める愚行です」と断じました。サード問題による中国の経済制裁が少し緩和されたら、大統領が訪中して全面屈服し、国論を統一できない韓国は国家では無くなっているように見えます。