鳥インフルエンザ感染源の探索は方向違いか

患者は増え続けるのに感染源が見つからない中国の鳥インフルエンザ。日本の国立感染症研究所が19日に公表したリスク評価は感染源探索が方向違いであると示唆しています。鳥ではなく哺乳類を疑うべきと読めます。中国農業省は8万以上のサンプルを集めて分析中ですが、哺乳類については豚の屠殺場が入っているだけです。

感染症研が公表したのは「中国における鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスによる感染事例に関するリスクアセスメントと対応」です。ウイルス学的所見の中で、「上海市鳥市場のハト、ニワトリおよび環境からの分離ウイルス3株」は患者から分離したウイルスと「明らかに異なる塩基配列もあり、今回報告された鳥分離ウイルスが、今回報告された患者に直接に感染したものであるとは考えにくい」と断定しています。

決め手は、ウイルス増殖の最適温度を「鳥の体温(41℃)から哺乳類の上気道温度(34℃)に低下させる変異が観察」されているのに、鳥から分離したウイルスにはこの変異が無いのです。

分離ウイルスの遺伝子解析で「鳥に対して低病原性であり、家禽、野鳥に感染しても症状を出さないと考えられる」とします。「一般的に、H7亜型のインフルエンザウイルスはブタにおいても不顕性感染であることが知られている。従って、この系統のウイルスがこれらの哺乳動物の間で症状を示さずに伝播され、ヒトへの感染源になっている可能性がある」と哺乳類に目を向けるよう述べています。

農業省の17日付とりまとめでは、全国473の生きた家禽の市場、32の家禽処理場、896の養鶏場など、79の野鳥生息地、36の豚屠殺場、137の環境ポイントから84444サンプルを採取しています。47801サンプルを処理済みで、家禽市場9カ所と野生ハトの39サンプルからウイルスを検出しましたが、上の指摘の通り、ヒト向けに変異していないのです。

「生きた家禽との接触」が当初から注目され続け、上海市が市街地での家禽飼育を禁止する措置を命じるなど、依然として鳥に眼が向いています。分析の結果からは、野生あるいは飼われている哺乳類にも探索の範囲を広げないと「犯人」は出て来ないのではないでしょうか。

【参照】第356回「感染爆発寸前、鳥インフルエンザの困った事情」

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