大韓航空機火災時の羽田にいた

欠航が相次ぎ、混乱は夜まで続いた(2016年5月27日)/筆者撮影

昨日(5月27日)昼過ぎの飛行機で羽田から那覇に行こうとしたら、大韓航空機の火災が起きて滑走路が閉鎖され、結局行けなかった。搭乗した航空便は、事故を起こした大韓航空機の5分後にフライト予定の便。1便早いのにしておけば行けたのに、時間が1日ムダになってしまった。

ってこのまま時間をムダにしてなるものか。せっかく現場にいたので、その時の様子をここで書いてしまいたい。

滑走路に出て、あとは飛ぶだけのタイミングで、それは起こった

「まずは3歳未満のお子様をお連れのかた、ご搭乗に際しお手伝いが必要な~」

沖縄旅行には中途半端な時期にしては、小さな子を連れた家族がずいぶん多いな、とか思いつついつもと変わらない光景の中で搭乗した。

飛行機はしずしずと動き出し前方ビジョンに例の「ふくらみが足りないときは息を~」わかっています。そしていよいよフライト、少しまどろんでいると、アナウンスが入る。滑走路が込み合って順番待ちかな、と思ったら。

「地上からの連絡です。ただいま滑走路の1本が閉鎖中とのことです」え? また犬の親子でも侵入したのかな? だが数分後、

「滑走路で離陸予定の飛行機が、火を噴いたとの連絡が」火災発生? そしてこの日はサミットの日、真っ先に考えたのは「テロ」の2文字! だが、

「ただいま消化活動中とのことです」「火災が起こったのは大韓航空機とのことです」徐々に事態が明らかになり、そしてしばらく機内で待機とのこと。シートベルト着用サインが消えて、携帯メールも使用可能に。キャンディやリンゴジュースがも配られ「待ってりゃ飛ぶのかな」という落ち着いた空気が流れ、大きな混乱もない。

と思ったら機長のアナウンス。

「当機はこのままですと、沖縄まで往復分の燃料が足りなくなりますので、いったん駐機場に引き返します」というわけで再びしずしずと駐機場へ。途中で一機の飛行機の周りに赤い消防車がズラリ! アレが出火した飛行機か。この時点で「全焼とか大惨事ではないらしい」ことがなんとなくわかり、僕らの飛行機も「燃料入れたら飛ぶのでは?」という雰囲気に包まれる。だが駐機場に戻ったら、再び機長アナウンス。「いったん降りてください」と言うのかと思ったら。

「皆さま申し訳ございません。ただいま羽田空港の全ての滑走路が閉鎖され、復旧の見通しがたたない状況です。当機は欠航が決まりました」なんだとーっ? しかしそれでも機内に混乱はなく、皆さんあきらめ顔で、おとなしく荷物をまとめ始める。

「お預けいただいたお手荷物をお受け取りの上、払い戻しは30番、ご搭乗の変更手続きは18番カウンターで」わかりました。出口に人が殺到することもなく、全乗客がひとり残らずきちんと並んで順番に降りていった。

よくわからないまま大行列

ここからがちょっと混乱。結局このあとのフライト便も続々欠航が決まって、でも荷物預けちゃった便もいっぱいあって、戻ってくる荷物を待つ人でバゲージクレームはごった返し。荷物を受け取らなきゃ18番カウンターには行けないし、僕らの便の荷物はいったん機内に収容しちゃってるから出てくるのも遅い。こりゃカウンターも大行列だろうな。

案の定、やっと出てきた荷物を引きずって南ウイング18番カウンターに行くと、もう南ウイングの端から端まで大行列! 仕方なく最後尾に並ぶ。

ふと疑問。今時はこういう予約変更、ネットでできるはずだけど。なんでこんなに行列が? 手元のスマホで航空会社のWEBを開いてみる。

……うーむ、イマイチよくわからん。翌日の予約画面とか出てくるけど、正規料金4万6千円と、1日前割引3万6千円とか出てきて、予約していいのか何なのか。僕は1万8千円の先得割引で買っているんだけど、まさか差額取られないよな。一応3万6千円のほうをポチッと予約し、でもよくわからんので引き続き行列に並ぶ。

そう、この長蛇の列の原因は「イマイチよくわからないから」「もしかしたら並んでおかないとマズいかもしれないから」。要は「本当に大丈夫だよね?」という小さな不安を拭いきれない人が多くて、大行列ができてしまったのだ。途中で係員の女性が「インターネットでもご変更いただけまーす」と声を張るのだが、それをこの通常予約画面でやっていいのかよくわからない。

結局正解は「普通料金でネット予約し、搭乗前に有人カウンターでチェックインする」だったのだが、この時点ではまだわからない。たったそれだけのこと、WEB画面と現場でサクッとインフォメしてくれれば、この大行列はできなかったのに。

そして間で何度も流れるアナウンス。

「本日滑走路にて〈他社〉航空機の火災が発生し」「本日は〈他航空会社〉航空機の火災により」わかったアナタの責任じゃないのはわかったってば! その辺言っとかなきゃいけないのもわかるけど、まずは今必要な手続きを簡略に説明してほしい。そして並ぶこと1時間、2時間……これだけ並ぶとウッカリ離脱もできない。「もしまた最後尾から並び直さなきゃいけなかったらどうしよう」という恐怖心も手伝って、とりあえず並ぶ。

再び「インターネットで予約変更できまーす。ご予約画面の〈普通運賃〉をご選択くださーい」え、そうなの? 2時間半並んだこの時点で、初めてわかる新事実。慌ててスマホで画面を開けると……ありゃみんな一斉にアクセスしたからかサーバーパンクしてアクセスできない。やっとアクセスできたら、もう夕方の便しか空いていなかったのだった。

そして全容がわかり、変更予約もスマホでできたとき、もう自分の順番はそこまで迫っていたので、結局窓口で手続きを済ませた。3時間並んだが、途中から「若沖展に来たと思えばいい」と気持ちを切り替えたので、そうイライラすることもなかった。

飛行機に乗ったのは12時なのに、手続きを終えたのは結局午後6時だった。

「あの人」の顔を思い出しイラッ

今回いちばん驚いたのは「罵声のひとつも飛ばず、皆さん冷静だった」こと。こういう場面で必ずいる、暴れてわめくオヤジとか、僕が見た範囲ではひとりもいなかった。日本人も忍耐強くなったというか、聞き分けがいいのか……いいことなんだろうけど「ちょっと怖いな」とも思った。

まあ他社の事故が原因で迷惑こうむった航空会社も被害者なのだが、変更の大行列を避けるため、より効率的なインフォメはできたはず。今回の災難をムダにせず、次回に活かしてほしい。

途中で何度かふと「ナッツ姫」の顔を思い出してイラッとした。というわけで気を取り直して、本日(28日)午後のフライトで沖縄行ってきます。