1965年、福岡県福岡市生まれ。1996年から英国ブライトン在住。保育士、ライター。著書に『子どもたちの階級闘争』(みすず書房)、『いまモリッシーを聴くということ』(Pヴァイン)、『THIS IS JAPAN 英国保育士が見た日本』(太田出版)、『ヨーロッパ・コーリング 地べたからのポリティカル・レポート』(岩波書店)、『アナキズム・イン・ザ・UK - 壊れた英国とパンク保育士奮闘記』、『ザ・レフト─UK左翼セレブ列伝 』(ともにPヴァイン)。The Brady Blogの筆者。
記事一覧
- 2017英総選挙:コービン労働党まさかの躍進。その背後には地べたの人々の運動
庶民が、それぞれの持ち場で、自分の職場や子供の学校を守るために立ち上がっていた。ほんの7週間前、1970年代以来最悪の野党第一党だと言われていた労働党の躍進を可能にしたのは地べたの人びとだ。
- 2017英国総選挙:コービン労働党が奇跡の猛追。「21世紀の左派のマニフェスト」とは?
6月8日の総選挙を前に、労働党が不気味に支持率を伸ばし保守党を猛追している。ブレグジットで「右傾化した」と言われていた英国の人々が、「Mrマルキシスト」コービンの率いる政党に戻ってきているのだ。
- 『わたしは、ダニエル・ブレイク』はチャリティー映画じゃない。反緊縮映画だ。
日本公開で基金が立ち上げられている。が、そればかりが強調されると、英国での捉えられ方とはずいぶん差が出て来る。本作はチャリティー推進映画ではない。「緊縮いますぐやめろ」の反緊縮映画だ。
- スタージョン首相が英国民に呼びかけ:「ブレグジットが嫌なら、スコットランドにいらっしゃい」
スコットランドのニコラ・スタージョン首相が、SNP(スコットランド国民党)の春の党大会で、英国のブレグジット反対派の人々にスコットランドへの移住を呼びかけた。
- ポピュリズムとポピュラリズム:トランプとスペインのポデモスは似ているのか
「ポピュリストとはアウトサイダーのことであり、それは右翼でも、左翼でもあり得る」。ポデモスのイグレシアス党首は、自分とドナルド・トランプを比較する声に対し、こう答えている。
- 前進できない野党の憂鬱:ジェレミー・コービン労働党首再選
思えば、過去1年間の労働党は権力闘争に明け暮れてきた。EU離脱などという一大事に国が直面している時に、労働党がやっていることといえば党首選である。なんじゃそりゃ。と脱力するのが普通の反応だろう。
- 英EU離脱の教訓:経済政策はすべての層のために機能しなければ爆弾に引火する
英国のユーロ導入は時期尚早と決断した人物であるゴードン・ブラウン元首相が、ブレグジットが残した最も重要な教訓は、グローバリゼーションはすべての人のために機能せねばならぬということだと語っている。
- 地べたから見た英EU離脱:昨日とは違うワーキングクラスの街の風景
「裏切られたと感じている労働者階級の人々を政界のエリートたちが説得できない限り、英国はEUから離脱するだろう」2週間前のオーウェン・ジョーンズの言葉が現実になった。
- 英EU離脱投票:ブレクジットが「労働者階級の反乱」にならない理由
最新のEU離脱投票の世論調査の結果が出そろい、9社中5社が残留優勢と相変わらず拮抗しているが、英国の世論調査がいかにあてにならないかはスコットランド独立投票や昨年の英国総選挙で実証済みである。
- 英EU離脱投票と労働者たち:暴走するワーキングクラスの怒り
サッカーのユーロ2016でのイングランド代表サポーターたちと、EU離脱投票で揺れる英国のムードをリンクさせて記事を書いているのはガーディアンのコラムニスト、ポリー・トインビーだ。
- 英国EU離脱投票、世論調査で離脱派リード:「経済のハルマゲドン」の脅しが災い
英国のEU離脱投票を6月23日に控え、YouGovの世論調査では離脱派がわずかに残留派をリード。まるでスコットランド独立投票の再現だ。残留派の「経済のハルマゲドン」的な脅し戦略が災いしている。
- 左派に熱狂する欧米のジェネレーションY:日本の若者に飛び火しない理由
英労働党のコービン、スペインのポデモス、米国のサンダース。彼ら反緊縮派を熱狂的に支持しているのはジェネレーションYだ。この層の若者たちを覚醒させる政策を、日本の野党はオファーしているだろうか。
- ジェレミー・コービンの英労働党、ポデモスらと欧州反緊縮派連合を結成?
英国労働党党首ジェレミー・コービンが、スペインのポデモスら欧州の反緊縮派政党と連合を結成し、EUのラディカルな改革を求めて共に戦う構想を明らかにした。
- 左派はなぜケルンの集団性的暴行について語らないのか
ケルンでの性的暴行事件が世界を震撼させている。が、英国の人々の最初の反応は「ああ、来たか」みたいな既視感だったと思う。大晦日に起きたわりには何日も報道されなかったことについても、だ。
- スペイン総選挙でポデモス躍進:欧州政治に「フォースの覚醒」
失速したと言われていたポデモスが、スペイン総選挙で第3党に躍進した。難民問題やテロの脅威へと政治の焦点が移行していると言われる欧州で、一時は反緊縮派の旗頭と言われた彼らが巻き返した意味は大きい。
- 仏選挙で極右が圧勝。でも英国はジェレミー・コービン労働党が白星
ジェレミー・コービン党首就任後初の補欠選挙で、若き労働党候補者が予想外の大勝をおさめた。パリ同時テロ後、不気味に支持を伸ばしていると言われていた右翼政党UKIPは撃沈している。
- 右も左も空爆に反対する時/キャメロンの戦争とブレアの戦争
ビートルズからスミス、レディオヘッドに至るまで、UKロックの歌詞中で最低新聞の代名詞として使われてきた右派紙デイリー・メールが、社説でキャメロン首相の「空爆は国益」説に真っ向から反旗を翻した。
- 元人質が語る「ISが空爆より怖がるもの」
ISに拘束された元人質のフランス人ジャーナリストが、自らの国の空爆強化に反対する記事を発表している。彼によれば、空爆こそISが求めている西側の反応であり、彼らが恐れるものは他にあるという。
- パリ同時多発テロ:レトリックと復讐。その反復の泥沼
パリ同時テロで、そろそろ落ち着いた記事が出て来る時期だろうと思っていると、意外なところから出て来た。右翼系煽り記事とゴシップ記事に強いデイリー・メール紙である。
- 保守が品格を失う時 / ジェレミー・コービンが炙りだすエリートの悪意
英議会のPMQ(首相と野党第一党の党首、各党議員との質疑応答の時間)が異常な状態だ。毎回キャメロン首相と保守党員たちからの、労働党首コービンへの個人攻撃とけたたましいヤジの嵐。保守党は品格を失った。
- ロンドン市長「移民を受け入れないと日本のように経済停滞する」
日本を訪れていたロンドン市長ボリス・ジョンソンが、英メディアに「英国が日本に学ぶべきことがある。それは移民受け入れ数があまりに少ないと経済が停滞するということだ」と語った。
- 左翼が大政党を率いるのはムリなのか?:ジェレミー・コービンの苦悩
英労働党の新党首ジェレミー・コービンが早くも苦境に立たされている。シリア情勢は混沌とし、難民は欧州に押し寄せている。怒涛の時代に大政党をまとめるのはそれでなくとも容易ではない。
- 再び暴動の足音?ロンドンがきな臭くなってきた
9月26日、アンチ・ジェントリフィケーションの抗議活動がロンドン東部で発生し、暴動に発展しかねない状況になった。ロンドンでヒップスターVSアナキストの内戦が始まると書いたメディアもある。
- 英労働党に反緊縮派党首が誕生:次はスペイン総選挙だ
ポデモスのパブロ・イグレシアスは、英労働党のコービンについてこう言っている。「ブレアが始めた政策と180度違う道を行こうとする彼の成功は欧州の変化を示している。欧州に少しずつ未来が近づいてきている」
- 欧州の移民危機:「人道主義」と「緊縮」のミスマッチ
わたしの周囲には、テレビで涙ぐんでいる著名人のように「我が家に難民を受け入れる」などと言っている人はいない。「人道主義が欧州の理念」と言われても、「緊縮」の非人道性を知っている下層の人々は醒めている。