「立憲民主党には立憲主義はない!」 山尾志桜里氏が枝野代表に下した三行半の衝撃度

立憲民主党を離れ、山尾志桜里議員はどこへ行くのか(写真:Motoo Naka/アフロ)

誇らしげな離党表明

 同じ「離党表明」でも、これほど違うものなのか。3月18日に立憲民主党に離党届を提出したばかりの山尾志桜里衆議院議員は、晴れやかでかつ誇らしげにさえ見えた。

「立憲主義と民主主義という大切な価値観で折り合えないまま、政党に所属して活動することがこれ以上適切ではないというふうに感じるに至りました」

 山尾氏は3月12日の衆議院本会議で新型インフルエンザ等対策特別措置法改正法案の採決で、党の方針に反して反対した。代議士会では異例にもマイクの前で造反を宣言。「今回の一連の議論のやり方は、国対に始まり、国対に終わった。真摯な議論の場というのは本当に少なかった」と執行部を批判した。さらにこの時の動画をTwitterに貼り付け、次のように呟いている。

「強大な私権制限に国会承認かけない『非立憲』法案。賛成ありきの国対政治に先祖返りした『非民主』的手続き。立憲民主党の議員として、『非民主』的手続きで賛成と決められた『非立憲』法案には反対です」(原文ママ)

 その根底には「正義は我にあり」という確信があるに違いない。山尾氏は会見では、記者からの質問を笑顔をもって積極的に受け付けた。民進党幹事長就任前夜に週刊誌に“ダブル不倫疑惑”を報じられ、説明を求める記者を逃げるように振り切った2017年9月7日の民進党離党会見の時とは大きく違う。

福山氏が抱く危機感

 その山尾氏から“三下り半”を突き付けられた立憲民主党の福山哲郎幹事長はTwitterで、電話で強く慰留したこと、山尾氏が「必要不可欠で大切な存在」であり、離党届は受理できないこと、そして今後協議すると述べている。

 福山氏が懸念するのは、山尾氏を失うことだけではない。むしろその波及効果への懸念こそが、大きいのではないか。

「打診や相談がないままに、いつのまにか『筆頭間の協議で決まった』と物事が進んでいるケースが何度か見受けられた」

 国民民主党の舟山康江参議院国対委員長は3月11日の会見で、参議院予算委員会の筆頭理事を務める立憲民主党の蓮舫参議院幹事長に苦言を述べた。舟山氏だけではない。他の議員もこう述べている。

「まだ交渉中なのに、勝手に与党側と日程で妥協している。これでは野党の存在感がなくなってしまう」

 さらに蓮舫氏の「品位」についての苦言もある。

「3月4日の参議院予算委員会で、自民党の石井準一筆頭理事を『じゅんちゃん』と呼びつけていた。個人的に親しいとしても、国会の委員会ではきちんとけじめをつけるべきだ」(同議員)

 統一会派を結成しているとはいえ、参議院の立憲民主党と国民民主党は、本会議開会前に開く議員総会は別々に開催。最初から乗り越えられない反目が存在するのだ。

“非民主的”な執行部への不満が原因

 立憲民主党内でも以下のような声を聞く。

「国民と分かれる前に、立憲自体がバラバラになるかもしれない。党内での執行部への不満は相当たまっている」

 立憲民主党は今年10月に立党3周年を迎えるが、いまだ代表選規定を持たない。よって執行部の面々も、このままでは“永続的”になりかねず、山尾氏が「民主的ではない」と主張した原因のひとつになっている。

 そうしたわだかまりの影響か、党内では「山尾氏に続く離党者」の名前が挙がっている。たとえば特措法改正法案採決で本会議場を退席した石垣のりこ参議院議員だ。石垣氏は昨年の参議院選でも、党の公約に反して「消費税廃止」を主張。党内でも“独自路線”を歩んでいる。

「国民の生活の安心、立憲主義、民主主義、自由な社会。それをしっかりと守っていくために、立憲民主党を結成することを決意いたしました」

 これは2017年10月2日に立憲民主党を結成した時の枝野幸男代表の言葉だ。その決意を真っ向から否定したのが山尾氏ということになるが、山尾氏は離党後も院内会派の残留を望むものの、離党表明の翌19日の代議士会には欠席。この騒動には次のステージがありそうだ。