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ついに公開!『ブレードランナー2049』をより楽しむための基礎知識

渥美志保映画ライター

1982年に公開された伝説的SF作品『ブレードランナー』の続編、『ブレードランナー2049』がいよいよ公開になります。この作品は、先月公開された『エイリアン』シリーズと並び称されるリドリー・スコットの傑作で、公開以降、「完全版」「ディレクターズカット版」などの別バージョンが何度も公開された作品です。

その続編製作!ということで、抜擢されたのは『プリズナー』『メッセージ』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。一足先に拝見したのですが、さすが!の世界観、映像美、音響に加え、『ラ・ラ・ランド』にも通じるライアン・ゴズリングの寂しげな魅力と、この映画に欠かせないハリソン・フォードの存在感、そしてストーリーの面白さに、と見どころだらけ!是非皆さんに見ていただきたい!―ーのですが、やっぱり思うのは「前作を知っているほうが、より楽しめるかも」。

ということで今回は『ブレードランナー2049』(以下『2049』)をより楽しむために、知っておきたい前作のポイントをご紹介したいとおもいます。まずはこちらをどうぞ!

まずは「ブレードランナー」って何?というところから。

前作の舞台は2019年(ほぼ現在!)。巨大企業タイレル社によって開発された人造人間「レプリカント」が、人間が嫌がる危険な仕事に従事しています。この時の旧型(ネクサス6型)は、精神的安定のために実際に人間の記憶が埋め込まれていて、感情が芽生えやすく、やがて各地で反乱や逃亡を企てるように。そうした反逆レプリカントを追い、“破壊”するのを専門とした捜査官がブレードランナーです。

前作の主人公は、ハリソン・フォード演じるデッカード。凄腕のブレードランナーなのですが、彼はある女性レプリカントと恋に落ちてしまいます。それはレプリカントの開発者タイレル博士の秘書レイチェルで、デッカードと会うまで自分自身がレプリカントだとは知らされてはいませんでした。

レプリカントはそれほど精巧に作られているので、ブレードランナーはこれを見破るための独自のテスト(様々な質問をし、その時の生体反応を見る)をするのですが、『ブレードランナー2049』では、その時のテストの模様が音声ファイルで登場します。

ライアン・ゴズリング演じるブレードランナーにして新型レプリカント「K」の正体は、実は……
ライアン・ゴズリング演じるブレードランナーにして新型レプリカント「K」の正体は、実は……

当然この恋は許されず、ふたりは一緒に生きるために、追っ手を振り切りながらの危険な逃避行へ。新作『2049』はその先で起こった、ある衝撃的な出来事が発覚したところから始まります。

『2049』の主人公はブレードランナーでありながら、反乱を起こさないようより制御された新型レプリカントで、この事態に対処することになります。彼はやがてデッカードの行方を追うことになり、その際にかつて彼を追っていた(そして見逃してやった)捜査官ガフにも会うことになります。この人、その辺にある紙で、小さな折り紙を常にやっています。

……とこうやって要素ばっかり上げましたが、『2049』で最も引き継がれている『ブレードランナー』の醍醐味は、その驚きの映像です。雨が降りっぱなしの暗い街を埋め尽くす無国籍なネオンサイン、ビルに映し出される今でいうプロジェクションマッピング、アジアの市場のようなカオティックな街角にあふれるパンクな人々……あれから30年もたっていますが、この時代も場所もよくわからない、怒涛のような映像は今見てもすごいもの。

こちらは『2049』から。慰安用の3Dホログラム美女という……
こちらは『2049』から。慰安用の3Dホログラム美女という……

松田優作で『ブラック・レイン』を撮ったリドリー・スコット監督が仕込んだ様々な日本ネタ(芸者の映像、「強力わかもと」のネオンサイン、立ち食いうどんなど)も、日本人には楽しい。

デッカードが追う6体の反逆レプリカント(こちらが本筋)との攻防、特にリーダー役のルトガー・ハウワーの悲しさは、死にざまは、見た人全員の心に残ると思います。『2049』と併せて、よろしければ『ブレードランナー』もご覧くださいませ。

今回の作品では、前作と新作の間の30年に起きたことを題材に、『2049』でも言及されている『ブラックアウト2022』をはじめとする前日譚が3本の短編映画として作られています。こちらも年代順に貼り付けておきますので、よろしければご覧くださいませ!

「ブラックアウト2022」

「2036:ネクサス・ドーン」

「2048:ノーウェア・トゥ・ラン」

『ブレードランナー2049』

10月27日(金)公開

映画ライター

TVドラマ脚本家を経てライターへ。映画、ドラマ、書籍を中心にカルチャー、社会全般のインタビュー、ライティング、コラムなどを手がける。mi-molle、ELLE Japon、Ginger、コスモポリタン日本版、現代ビジネス、デイリー新潮、女性の広場など、紙媒体、web媒体に幅広く執筆。特に韓国の映画、ドラマに多く取材し、釜山国際映画祭には20年以上足を運ぶ。韓国ドラマのポッドキャスト『ハマる韓ドラ』、著書に『大人もハマる韓国ドラマ 推しの50本』。お仕事の依頼は、フェイスブックまでご連絡下さい。

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