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ヒュー・ジャックマンが「ウルヴァリン」から解放される日は来るのか?

渥美志保映画ライター
(写真:Michael Steinebach/アフロ)

『X-メン』は「ミュータント」と呼ばれて差別され恐れられ、時に利用されるいわゆる超能力者たちを主人公に、「人間と共存を模索派」と「人間と対決派」の葛藤を描くアメコミ作品です。

その魅力は、自由自在なミュータントたちのビジュアルと、その特殊能力。「スーパー擬態能力で誰にでも変身できる全身青い鱗の女子」とか「ほっとくと目からスーパー破壊光線が出ちゃう青年」「テレポート能力を持つトカゲっぽい人」「天候を自由自在に操る人」「巨大な羽をもつ人」などなど、面白い映像なんでもできちゃうわけで、これが人気シリーズにならないでか!ということで、今回の『X-メン アポカリプス』で、メインシリーズの3部作が二巡している状況です。

そんな中で、全作を通して一人だけ同じ役で出演し続けている人がいます。ヒュー・ジャックマンです。予告編のラストに「シャキーン!」と手から爪が出てきたアレ、脅威の自然治癒能力を持つウルヴァリンを演じています。こんな感じ。

ウルヴァリンは不死身の身体を持つ上に、人体実験により最強の金属の爪を埋め込まれた人間兵器です。性格も荒くれの一匹狼で、X-メンの一員ではあるものの、顔を出したと思ったら「仲良しごっこは性に合わねえ」てな感じで、風来坊のように去って行ったりします。人間への不信感も強く悲しい過去も抱えていて、Xメンのなかで一番キャラがたち、当然ながら一番人気。

でももしヒュー・ジャックマンが演じなければ、ここまで人気にはならなかったかもしれません。そのカッコよさはもちろんのことですが、なによりもウルヴァリンをリアルに体現できる前人未到の大胸筋。あんなもんを持ってる人は、マッチョ多しのハリウッドでもそうはいません。役者とアメコミキャラがぴったりとハマった例としては、ロバート・ダウニーJr.のアイアンマンと双璧と言ってもいいでしょう。登場人物に子供が多く、ドラマ的にどこかユルい『X-メン』の世界観をバシッと締めてくれる、それがウルヴァリン。コミックでも独自シリーズを持ち、唯一スピンオフシリーズが成立するのもそれゆえです。

でもあまりのハマり役で人気があることは、後に演じる人を見つけにくいという問題も起こってきます。

例えば最新作『X-メン アポカリプト』では、Xメンを率いる「プロフェッサーX」は、前シリーズで演じていたパトリック・スチュアート76歳から新シリーズのジェームズ・マガヴォイ37歳へ、その永遠のライバルである「マグニートー」はイアン・マッケラン77歳から、マイケル・ファスベンダー39歳へと変わっています。ヒューが初めてウルヴァリンを演じたのは32歳で、現在は47歳。不死のウルヴァリンは第一次大戦に従軍して21世紀も変わらず現役バリバリでしょうが、演じるヒュー・ジャックマンは当然、普通に年を取っています。もちろんその身体づくりは驚異的なのですが、今回も登場は短いながら、他のキャラクターと比べて「大人すぎる」感じは否めません。

こんな若々しいメンバーなんで。
こんな若々しいメンバーなんで。

こうして書いておきながらファンとは自分勝手なものだなあと思うのですが、それでもウルヴァリンがあの爪で、地べたをキーキーひっかきながら登場すると、「待ってました!」な気持ちになってしまうのが正直なところ。

実は来年にはウルヴァリンの最新作『Untitled Wolverine Sequel』が公開予定。ヒュー・ジャックマンはこの作品を最後にウルヴァリンを引退するとほのめかし、自分の後には『マッド・マックス 怒りのデスロード』のトム・ハーディーにウルヴァリン役を演じてほしいと言っているようです。トム・ハーディーと言えば『ダークナイト ライジング』の仮面の怪物ベイン役で名を挙げた人ですが、どうだろう、引き受けるかなあ……なんか違う気がする……と懐疑的な私です。

でもヒュー・ジャックマンが安心して退くためにも、火中の栗を拾う勇気で「二代目ウルヴァリン」を引き受ける若手が登場することを、ホントに願っている私です。『マジック・マイク』のジョー・マンガニエロとか、『ホビット』のルーク・エヴァンズとか、『ゲーム・オブ・スローンズ』のミキール・ハースマンとか、どうかしら?てか、我ながらひげ面にこだわりすぎwww。

みなさんは、誰がいいと思います?

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『X-メン アポカリプス』

(C) 2016 MARVEL & Subs. (C) 2016 Twentieth Century Fox

2016年8月11日公開

映画ライター

TVドラマ脚本家を経てライターへ。映画、ドラマ、書籍を中心にカルチャー、社会全般のインタビュー、ライティング、コラムなどを手がける。mi-molle、ELLE Japon、Ginger、コスモポリタン日本版、現代ビジネス、デイリー新潮、女性の広場など、紙媒体、web媒体に幅広く執筆。特に韓国の映画、ドラマに多く取材し、釜山国際映画祭には20年以上足を運ぶ。韓国ドラマのポッドキャスト『ハマる韓ドラ』、著書に『大人もハマる韓国ドラマ 推しの50本』。お仕事の依頼は、フェイスブックまでご連絡下さい。

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