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火の国サラマンダーズ、3ホーマーで四国アイランドリーグplus・徳島を破る【九州アジアリーグ】

阿佐智ベースボールジャーナリスト
24日、バックスクリーンに満塁本塁打を放った安井勇輝(火の国サラマンダーズ提供)

 先週の九州アジアリーグ(KAL)は、週末に昨年の四国アイランドリーグplusの優勝チーム、徳島インディゴソックスを迎えて交流戦を行った。

 24日の土曜日には火の国サラマンダーズが本拠、熊本市のリブワーク藤崎台球場でナイトゲームが実施された。

 KAL側球団にとっては、選手個々の個人成績に反映される「公式試合」である交流戦も、アイランドリーグ側にとっては、「練習試合」とあって、徳島は1、2年目の経験の浅い5人の投手をマウンドに送ったが、サラマンダーズはこのルーキーたちに襲い掛かった。

 サラマンダーズは、徳島先発・高卒ルーキーの平安山陽(へいざん・よう/松山聖陵高)から2回に安井勇輝(近大→四国L→BCL栃木)が先制二塁打を放つと、続く3回には、2アウト満塁の場面でセンターバックスクリーンへグランドスラムを放つ。

ホームランを放ち、ダイヤモンド1周する安井(火の国サラマンダーズ提供)
ホームランを放ち、ダイヤモンド1周する安井(火の国サラマンダーズ提供)

 これに対し、徳島は3回、5回に1点、7回に2点を返し追いすがるが、7回裏に、この回からリリーフのマウンドに立った徳島4人目、上原優人(生光学園高)の代わりばなをとらえ、この日4番に入っていた水本大志(西南学院大→熊本ゴールデンラークス)がセンターに早くも3号となるソロ、佐藤博泰(府中工業高)がライトスタンドに同じくソロホームランを放り込み、試合を決めた。サラマンダーズは13安打11点の猛攻で、徳島を圧倒し、この試合でサラマンダーズは今シーズンの公式試合の勝敗を9勝2敗とした。

大分対徳島戦、先制の2点タイムリーを放った川上理偉選手
大分対徳島戦、先制の2点タイムリーを放った川上理偉選手

 一方の大分B-リングスは、その翌日25日に徳島を佐伯中央病院スタジアムに迎えてデーゲームで対戦し、こちらも14安打7得点で4安打1得点の徳島を圧倒、今シーズン2勝目を挙げた。

 先述のように、アイランドリーグ側としては、この交流戦は練習試合扱いで、両日とも5人の投手を小刻みに投入するなど、リーグ公式戦に向けての調整という色合いが濃かったが、KAL勢打線の実力を見せつけられたかたちとなった。今後も、アイランドリーグ勢の九州への遠征は続くが、「日本初の独立リーグ」としてのメンツを保つため、今後の交流戦の構えに変更を迫られるかもしれない。

選手たちの食住

「プロ」=NPBという見果てぬ夢を追い続ける独立リーガーたちの生活は過酷だ。薄給の上、食住に関しては自活せねばならない。アメリカのマイナーの場合、シーズン中は毎日のように試合があり、旅から旅へという生活になるので、住むところに関しては基本的に球団が面倒を見てくれるし、食についてもミールマネーが出たり、球場で提供されたりするので、給料に手をつけなくても生活できる。

 ところが、シーズン中も試合は週末中心で、試合の際も本拠地からの日帰りが多い日本の独立リーグの場合、アメリカのようにはいかない。選手たちは、球団から支払われる給料をやりくりして生活していかねばならない。先週も書いたとおりKALではシーズン中のアルバイトを認めてはいるが、日々の練習の上、体を休めるのも「仕事」であるため、兼業は現実的ではない。

 大分B-リングスの場合、少しでも選手の負担を減らそうと、球団が練習球場近くの空き民家を何軒か借り切ってシェアハウスとして選手に提供している。また食についても、球場に隣接するクラブハウスで三食提供している。寮費や食費は有料で、給料から天引きされるが、格安で、選手は買い物や食事の支度・片付けの負担がなくなり野球により集中できる。

 これを聞いて、メキシコのマイナーリーグを思い出した。すべての球団がそうというわけではないが、ある田舎町のチームでは、球場から2キロほど離れた大きな民家を球団が寮として借り切り、選手たちは各部屋に並べられた2段ベッドで寝起きしていた。食事は、給仕係のおばさんがいて、用意してくれるのだ。

 ナイターの試合後、選手たちに誘われてその寮にお邪魔した。彼らは球場に来ていたファンに声をかけ、その彼の運転する軽トラの荷台に乗り込んで、坂の上の寮に向かう。寮では豆のシチューと米の夜食が用意され、選手たちは1回の食堂でそれを胃に収めると、部屋に戻る。私を誘った選手はその部屋に私を招き入れ、ベッドの下に隠してあった缶ビールを勧めてきた。しばし歓談し、「泊っていけよ」と言われたが、夜行バスに乗るべく早々に暇乞いを申し出て、国道に向かった。

 このリーグでは、すべてこのように寮が準備されているわけではなく、あるチームでは選手たちがアパートをシェアしていたし、資金力のある球団は、外国人選手にホテルを用意していた。

「プロ野球」とは言え、NPBからは想像もつかないような環境で日々努力する独立リーガーたちだが、あるB-リングスの選手は、野球に集中できると現在の状況を前向きにとらえていた。そのような中、日々、必死に白球を追いかけている彼らにこの秋、サクセスストーリーが起こることを心より願う。

ベースボールジャーナリスト

これまで、190か国を訪ね歩き、23か国で野球を取材した経験をもつ。各国リーグともパイプをもち、これまで、多数の媒体に執筆のほか、NPB侍ジャパンのウェブサイト記事も担当した。プロからメジャーリーグ、独立リーグ、社会人野球まで広くカバー。数多くの雑誌に寄稿の他、NTT東日本の20周年記念誌作成に際しては野球について担当するなどしている。2011、2012アジアシリーズ、2018アジア大会、2019侍ジャパンシリーズ、2020、24カリビアンシリーズなど国際大会取材経験も豊富。2024年春の侍ジャパンシリーズではヨーロッパ代表のリエゾンスタッフとして帯同した。

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