オープン戦、本格開幕。内海対長野、注目を集めた「がばい」対決

昨シーズンの両リーグ優勝監督があいまみえた同郷対決の西武・広島戦

 3月に入り、各球団、キャンプを打ち上げて、この週末からいよいよ本格的なオープン戦に入っていく。昨日、土曜も全国各地で5試合が行われた。まだ肌寒いとあって、他の4試合が本拠地のドーム球場で行われた中、佐賀・みどりの森県営球場では、埼玉西武ライオンズ対広島カープの試合が行われた。

 かつての西鉄の名残が残っていた平成が始まったばかりの頃ならわかるが、九州と言えばホークス一色に染められている感のあるこの時代にライオンズと佐賀はなかなか結び付かない。今回のオープン戦は、今年この地で行われる高校生の総合文化祭「さが総文」のPRも兼ねたものらしいが、実はライオンズの辻監督の出身地でもあるのだ。さらに言えば、この佐賀・長崎シリーズの対戦相手、カープの緒方監督の出身地もこの佐賀県であり、この同郷対決は、実は昨年も行われている。この両チームは昨シーズンのリーグ優勝チーム。残念ながら、ライオンズはクライマックスシリーズで福岡ソフトバンクホークスに苦杯を喫したが、奇しくもここに両リーグ優勝チーム同士の対決が実現したことになる。

試合前には「さが総文」のPRイベントと両監督への花束贈呈が行われた。カープ人気もあって、寒空の中、スタンドには8555人のファンが陣取った。

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一番注目を浴びた地方ゲーム

 この佐賀での試合は、この日5試合あったオープン戦で最も注目を浴びたカードと言っていいだろう。球場には、地元メディアだけでなく、東京、広島からも多くのメディアがやってきていて、観客席に設置された臨時の記者席は満員になっていた。

 その注目の的は、ずばりこの日のライオンズの先発投手・内海と対するカープの6番指名打者に入った長野の対戦だ。ちなみに長野も佐賀出身である。原新監督の号令の下行われたジャイアンツの大補強策の結果、FAの補償としてともにチームを放出された功労者は、判官びいきが多い日本にあって、野球ファンの期待を例年以上に受けている。試合前のスタメン発表では、両名の名がアナウンスされるとスタンドがどよめいた。サウスポーの内海と右打者の長野の対戦をフレームに収めるべく、1塁側カメラマン席は満員御礼となっていた。

 注目の対戦は2回におとずれた。初回から打者5人を凡退に打ち取った内海の前に長野が現れた。1ボール2ストライクの後のカーブを長野がひっかけ、ボテボテのサードゴロ。軍配は年長の内海に上がった。内海は3回を1安打無失点と、オープン戦「開幕」をナイスピッチングで飾り、開幕ローテーションに向けて順調なスタートを切った。

 一方の長野は、第2打席もショートゴロで凡退した後、ベンチに退いたが、スタンドからひっきりなしにかけられる声援に反応するなど、仕上がりが順調であることをうかがわせた。

開幕一軍をかけてアピールする新星たち

 

 オープン戦の楽しみと言えば、次々と出てくる若い力だ。2月半ばから「練習試合」が数多く組まれるようになった近年は、3月に入ってのオープン戦のメンバーは、開幕を見据えた「本気モード」であることが多く、この日の両軍のスタメンにも主力選手が名を連ねていたが、試合中盤以降は、開幕一軍をかけた若手選手たちが次々と顔を出してきた。

 その中でも最もファンの注目を集めたのが、カープの高卒ドラ1、小園(報徳学園高出身)だ。昨年の夏の甲子園を沸かせた大阪桐蔭高出身の根尾(中日)、藤原(千葉ロッテ)、金足農業高出身の吉田(北海道日本ハム)らだったが、「高校生ナンバーワンショート」の評判に違うことなくここまで一軍に帯同している。しかし、沖縄での1試合のオープン戦を含む5試合に出場、11打数2安打とプロの壁にぶち当たっている感もある。

 この日は、4回表から4番鈴木に代わってショートの守備位置についた。そして、7回表に回ってきた第1打席、この回から変わった左腕・野田のストレートに力負けせずはじき返したに見えたが、残念ながらセカンドライナー。期待の新人の打席に沸いたスタンドからもため息がもれる。しかし、この回3点を広島打線がいれたおかげで、、続く8回に打席が回り、今度は昨年のドラ1齋藤(大)から右中間フェンス直撃のツーベース。開幕一軍が現実のものだと思わせる活躍を見せた。

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 試合は9回にライオンズが1点を入れたものの、6点を入れ、丸が抜けても打線が強力であることを見せつけたカープが勝った。しかし、勝敗はこの時期は大きな問題ではない。シーズンに向けて希望を膨らませることができるオープン戦の醍醐味は、勝ち負けを超えたところにあるのだから。

(写真は全て筆者撮影)