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ニューバランスの“本気”、サッカー市場への参入で「世界トップ3のスポーツブランドを目指す」

浅野祐介OneNews編集長

ニューバランスがサッカー界への進出を正式に発表した。ロンドンで開催された「フットボール参入発表イベント」には世界各国のメディアが招かれ、2月5日、マンダリン オリエンタル 東京で日本での発表会見が開催。サプライヤー契約を締結したクラブ、アスリート契約を締結した選手が発表され、株式会社ニューバランスジャパンの冨田智夫・代表取締役社長、ニューバランス本社のアラン・ヘッド上級役員が意気込みを語った。

ニューバランスジャパンの冨田代表取締役社長とニューバランス本社のアラン・ヘッド上級役員
ニューバランスジャパンの冨田代表取締役社長とニューバランス本社のアラン・ヘッド上級役員

冨田智夫・代表取締役社長

「この日をとても楽しみにしていました。ローンチに向けた内容は数カ月前、以前から温めてきました。ようやく発表できる、それがとてもうれしいです」

「ニューバランス全体の話をすると、ランニング、ライフスタイルは順調に伸びています。昨年、テニスをローンチしました。そして、この春にはベースボールにも参入します。ブランドとしてカテゴリーを増やし、一つひとつうまくローンチできています。そして、今日、発表させていただくフットボールです。サッカービジネスに我々も参入します。ロンドンでグローバルのプレス発表もさせていただきました。それを受けて、我々日本も今日、発表させていただきます」

「日本のマーケットに参入するにあたり、Jリーグのクラブとのサプライヤー契約もスタートします。サガン鳥栖とモンテディオ山形、2チームの社長にも来ていただきました」

「ニューバランスは100年以上の歴史を持っています。ここ数年、世界のマーケットでも飛躍しています。我々のカテゴリー展開としても、すべて世界のマーケットとの連動の中で増やしています。世界のマーケットの中で同時にスタートする、この手法をサッカーでも行います。日本でのフットボールは認知、人気の高いカテゴリーだと思います。我々にとっては、新しい消費者の方と新しい関係を築ける場になります」

アラン・ヘッド上級役員

「多くの方に『なぜフットボールに参入するのか?』を聞かれました。フットボールへの参入はニューバランス全体戦略の一部です。戦略は世界でトップ3のスポーツブランドになること。そして、トップ3になるためには、世界で最大のスポーツであるフットボールに参入する必要があると考えました」

「これまでニューバランスは長い歴史の中でランニング、ライフスタイルのカテゴリーでリーダーシップを発揮してきました。今回の参入を機に、フットボールでグローバルなパフォーマンスブランドとしての地位を確立したいと考えています。これまでに培ってきた技術、イノベーション、テクノロジーを存分に生かし、選手がベストパフォーマンスを発揮できるようにサポートしていこうと思います」

「日本のフットボール界について話をすると、革新的な技術を活用することで日本のフットボールプレーヤーのニーズを満たします。また、グローバル、日本ともにトップクラスの選手、チームとパートナーシップを結びます。我々のような未上場のファミリーカンパニーにとって大切なのは、『ただ勝つ』だけではなく、ピッチ内外で『どういうプレーで勝つか』、それを大事にしています。今回の世界トップクラスの選手とのパートナーシップ、投資、技術によって、若いフットボールプレーヤーの心と“脚”をつかんでいくことができると確信しています」

また、日本に先立ってロンドンで開催された発表イベントには、契約選手としてヴァンサン・コンパニ、フェルナンジーニョ、サミル・ナスリ、ヘスス・ナバス(いずれもマンチェスター・シティ)、マルアヌ・フェライニ、アドナン・ヤヌザイ(ともにマンチェスター・ユナイテッド)、アーロン・ラムジー(アーセナル)、アルバロ・ネグレド(バレンシア)らスタープレーヤーが集結。フェライニは「ニューバランスのような有名なブランドに関われて光栄」と契約の喜びを語り、ヤヌザイは「選手にとってパフォーマンスを発揮するために何を身につけるかは重要で、快適性が求められる。パフォーマンスが向上し、プレーに集中することができます。ニューバランスのこれからに注目、期待しています」と期待を口にした。

日本での会見に参加したサガン鳥栖の竹原稔・代表取締役社長は「ニューバランスとともに新しい風、新しいバランス感覚をサッカー界にもたらしたいと思います」と意気込みを述べ、モンテディオ山形の高橋節・代表取締役社長は「新しい力を得ました。とても感謝しています」と喜びを語っている。

もともとアーチサポートインソールや偏平足などを治す矯正靴の製造メーカーとして1906年に誕生し、その後、様々なスポーツやアスリートをサポートしてきたニューバランスが満を持してサッカー市場に参入。「世界トップ3を目指す」という野心の本気度は、その契約クラブ、契約選手のネームバリューからもうかがい知ることができる。

■サプライヤー契約クラブ

リヴァプール

ポルト

ストーク・シティ

セビージャ

サガン鳥栖

モンテディオ山形

■契約選手

アーロン・ラムジー(アーセナル)

「彼らとの間にすでに築かれている関係、そして一緒に成し遂げられるであろうことを考えると、非常にワクワクするね」

アドナン・ヤヌザイ(マンチェスター・ユナイテッド)

「ニューバランスは、将来を見通して、サッカーというスポーツを新しいレベルに押し上げる方法を模索している」

ヴァンサン・コンパニ(マンチェスター・シティ)

「ニューバランスがサッカー界にもたらすものへの人々の反応が今から楽しみだ。このブランドが市場に大きな変化をもたらすことを確認している」

マルアヌ・フェライーニ(マンチェスター・ユナイテッド)

「私個人、私固有のスタイルに注目し、私のニーズを満たしてくれるブランドとの協力は、私の望みそのものだ」

サミル・ナスリ(マンチェスター・シティ)

「私はいつも、人とは違うやり方をすることを好んできたし、他人の評価を変えようとしてきた。ニューバランスもこれは同じだと思う」

ヘスス・ナバス(マンチェスター・シティ)

「ニューバランスが抱く野心は、私がサッカーに向き合うときに抱くものと同じだ。彼らは本物の違いを生みだそうとしている」

フェルナンド・レジェス(マンチェスター・シティ)

「ニューバランスは最高の力を発揮する助けとなるような支援をすべての選手に与えようとするブランドだ」

アルバロ・ネグレド(バレンシア)

「彼らは一つひとつの靴作りに執念を燃やしている。すべての選手や顧客はひとりの人間であり、それぞれにぴったりの靴が用意されている」

ニキツァ・イェラヴィッチ(ハル・シティ)

「はじめてニューバランスのチームと顔を合わせたとき、私はその設計プロセスを見て驚いた。彼らは私がストライカーとしての最高の成果を出せる靴を研究し、100年近くにわたって利用してきた手法を生かして形にまとめている」

ティム・ケーヒル(上海申花)

「私が話したニューバランスの人たちは、誰もが自分の会社の歴史と知識を世界のサッカー市場にもたらせることを喜んでいた」

小笠原満男(鹿島アントラーズ)

「ニューバランス フットボールの展開スタートからサポートいただけ光栄です。自分自身もさらに進化成長するために頑張っていきます!一緒に前進していきましょう!」

菊地直哉(サガン鳥栖)

「フットウェアに関しては長い歴史を持たれているので安心してプレーに集中できます。今季ニューバランス様とともに戦っていけることが今から待ち遠しいです!」

中島裕希(モンテディオ山形)

「とてもエキサイティングなシーズンになります。シーズンを通して活躍し、チームとニューバランス フットボールに貢献できるよう頑張っていきます!」

安川有(大分トリニータ)

「今季は必ずJ1昇格を果たします! 目標に向かって、ニューバランス シューズとともに死力を尽くして戦います」

ニューバランスと新たに契約を結んだ選手たちの言葉も、同ブランドへの期待に満ちている。サガン鳥栖・竹原社長の言葉ではないが、“遅れてきた大物ルーキー”は、フットボール市場にどんな新風を巻き起こし、どんな新しいバランスをもたらすのか。フットボール史上のバランスを“崩す力”を持ったニューバランスの今後の展開に注目したい。

OneNews編集長

編集者/KKベストセラーズで『Street JACK』などファッション誌の編集者として活動し、その後、株式会社フロムワンで雑誌『ワールドサッカーキング』、Webメディア『サッカーキング』 編集長を務めた。現在は株式会社KADOKAWAに所属。『ウォーカープラス』編集長を卒業後、動画の領域でウォーカー、レタスクラブ、ザテレビジョン、ダ・ヴィンチを担当。2022年3月に無料のプレスリリース配信サービス「PressWalker」をスタートし、同年9月、「OneNews」創刊編集長に就任。

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