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2014年ツール・ド・フランス第15ステージ ツールというのはひどく残酷なものでして

宮本あさか自転車ロードレースジャーナリスト
最後に笑ったのは1人だけ。Photo:jeep.vidon

主役の名は、ジャック・バウワー。

スタートとほぼ同時にアタックを仕掛け、222km逃げ続けた挙句に、フィニッシュラインまで25mのところで集団に呑み込まれた。勇ましく走った選手に贈られる敢闘賞は、逃げの友マルティン・エルミガーの手に渡った。

レースを見守ったファンたちは、その奮闘に感激し、がっくり肩を落とす姿に胸を熱くした。多くのメディアが興奮したようにギリギリの敗北を報道し、フォトグラファーやテレビカメラマンたちは敗者の涙をファインダーにおさめようと必死になった。

だけど、こんな熱狂も、数日もすれば忘れられてしまうのだろう。記録に残るのは、常に勝者の名前であり、記憶に残るのは、ただ総合争いを左右する戦いだけなのだ。

それでもバウワーは名言を残した。

「ツールは残酷だ。でも、それこそが、自転車レースの醍醐味のすべてなんだ」

もっとも、数々の名言に埋もれて、いつか、誰が言ったセリフなのかさえ、分からなくなってしまうのかもしれない。

ツール・ド・フランスというものは、本当に、残酷だ。

敗者は人生の辛さを知る。Photo:jeep.vidon
敗者は人生の辛さを知る。Photo:jeep.vidon
自転車ロードレースジャーナリスト

フランス・パリを拠点に、サイクルロードレース(自転車競技)を中心とした取材活動を行っている。「CICLISSIMO」「サイクルスポーツ」誌(八重洲出版)、サイクルスポーツ.jp、J SPORTSサイクルロードレースWeb等々にレースレポートやインタビュー記事を寄稿。

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