このままでは貯蓄が底をつくかも、その前に家計の問題を発見しておこう

これからの家計に潜む問題を事前にキャッチすることが、最善策を立てるカギとなります(提供:アフロ)

将来の家計運営に役立つ「現状」の把握

 年末の原稿で(https://news.yahoo.co.jp/byline/asadarika/20171229-00079854/)、お正月休みにわが家の「使途不明金」を探してみるようお勧めしましたが、実行してみられましたでしょうか? お正月には普段と違った忙しさがあり、「そんな時間はなかった」という方のほうが多いような気がしますが、まだ年初ですから大丈夫。今月の土日などを利用して、2017年の収支をチェックしてみましょう。

 この作業でわかるのは、あくまで「家計の現状」です。現状を把握するメリットとして、まず、暮らしに欠かせない支出金額を具体的な数字で知ることができます。月々最低いくらあれば基本的な生活費がまかなえるのかが明確になりますから、この先想定外のピンチが家計を襲っても「生活費1年分の貯蓄はあるから大丈夫」などの計算が立ち、慌てずにすむでしょう。

 行く行くは老後生活費を予測するのにも活用できます。「老後生活に月々〇〇万円かかる」といったデータもよく見受けますが、わが家の場合はどうなのかが大事。この作業を転職・退職、子どもの独立など家計状況が大きく動く時期に行っておくと、その先の必要生活費が現実的な数字でつかめます。

 さらに家計運営を安心できるものとするには、現状の数値をもとに、将来どう推移するかシミュレーションしてみることが必要です。「家計の現状」を把握したのを機会に、ぜひ「キャッシュフロー表」で試算するという作業に進むことをお勧めします。

 実務では30年程度をシミュレーションしますが、家庭で作成する場合は、比較的見通しやすい10年程度でかまわないでしょう。

わが家の家計運営の青写真となる「キャッシュフロー表」

 下の図は「キャッシュフロー表」の簡単な見本。時間の経過とともに家族の年齢も上がり、それに伴って子どもの進学などのライフイベントが待ち受けていることが、年表式に見て取れます。

※筆者作成 小数点以下を四捨五入している関係で、整数では計算が合わない箇所があります。
※筆者作成 小数点以下を四捨五入している関係で、整数では計算が合わない箇所があります。

 

 ポイントとなるのは今後の収入、支出の見積もりです。見本のケースでは夫が会社員で妻がパートタイマーのケースを想定しており、夫の収入は毎年1%ずつアップさせています。今後の収入がどう推移するかは、それぞれの実情から予測してみましょう。

 

 支出の見積もりについては、2017年の現状をもとに、今後の推移を考えます。「住居費」、「教育費」、「生命保険料」については項目を立てますが、暮らしにかかる支出項目は「基本生活費」とひとまとめにしてかまいません。もし、自動車関連の支出が多いなどチェックしたい数値があるようなら、「自動車関連費」といった項目を立てるなどの工夫もいいでしょう。

 お正月や夏休みの帰省・旅行、家具・家電製品の購入など毎年発生するまとまった支出は「その他支出」、自動車や住宅の購入など発生する年がかぎられる支出は「一時的な支出」と分けておくとわかりやすくなります。

 「基本生活費」の推移は、家族構成の変化や物価上昇を織り込んだ数値を考えましょう。見本のケースでは毎年1%の物価上昇と想定しています。「住居費」は住宅ローン返済中のケースですが、これからマイホーム購入を予定しているというご家庭はその予算額を、「教育費」については希望している進路をもとに予算額を記入するといいでしょう。

 次に、それぞれの年の「収入合計」から「支出合計」を引き、「年間収支」を計算します。年間収支が黒字の場合はその年の貯蓄額ということになるので、前年の「貯蓄残高」にプラスしてその年の「貯蓄残高」に記入します。もし、年間収支が赤字であれば、前年の「貯蓄残高」からマイナスして記入します。

(運用率を反映させるやり方もありますが、簡単にするため今回は行いません)。

 向こう10年間の家計推移をシミュレーションしてみるだけでも、見えてくる問題に気づけることがあります。たとえば、見本のケースのように、現在は家計が上手く回っていても、数年先からかなり厳しくなることが数字で見てとれます。今のうちに貯蓄を増やすべく、支出を見直してスリム化を図る、働き方を検討して収入アップを図るなどの対策が立てられるようになります。

 貯蓄がかぎりなくゼロになるなど問題が現実化してからでは、打てる手はそうありません。

 

 「キャッシュフロー表」はあくまでシミュレーションですから、様々な要因でその通りに推移するわけではありませんが、わが家の家計運営の青写真とはなり得ます。家計収支の安全な範囲の目安となるわけです。

 ライフプランの大きな変化があった時に作り直すことで、安心をつなげていくことができるでしょう。