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春から始めるG対策、3つのポイント

有吉立アース製薬(株)研究部で害虫飼育を担当
写真はイメージ(写真:イメージマート)

夏にいちばん活動するG(ゴキブリ)。まだ春には見かけることは少ないかもしれませんが、今のうちからしっかり対策をしておくことで、夏の遭遇を防ぐことができます。今回は、春からやっておくと効果的なG対策を3つご紹介します。

家の中にGを侵入させない

一般的に家に出てくるクロGは、冬の間、外で越冬していることが多く、家の周りの越冬場所は、庭やベランダの植木鉢、プランターの下や何かの隙間などです。春に暖かくなってくると休眠から目覚め、活動を始めます。そして、餌があるところや居心地のいい場所を求めて、家の中に入ってきてしまうのです。まずはGを「侵入させない」ことがいちばん重要です。

Gはどこから入ってくるの?

Gの身体は厚みがなく、そのうえ春のGは幼虫が多いため、小さく、少しの隙間があれば入ることができます。家には、換気口、網戸やドアの隙間、排水パイプなど、侵入する隙間がたくさんあります。玄関や窓を開けっ放しにせず、網戸の隙間は隙間テープなどできちんと処理しておきましょう。

屋外に置くタイプの毒餌剤が有効

侵入を防ぐためには、屋外に毒餌剤を置くことが効果的です。屋外で餌を食べさせることで家の中に入ってくる前に駆除できます。マンションなどの集合住宅などでも隣家などから移動してくるリスクもあるので、屋外に設置することで、侵入を元から防ぐことができます。玄関付近やベランダ、窓際、エアコン室外機やプランターの横などに仕掛けましょう。

ニオイのある毒餌を置くとGが他所から集まってくるのではないかと聞かれることがありますが、嗅覚は強くなく、一概には言えませんが、半径1~2m程度しか餌を察知できないので安心してお使いください。

イラストはイメージ(提供:いらすとや)
イラストはイメージ(提供:いらすとや)

先制攻撃が効果的

もし、家に侵入してきたときの対策として、家の中にも毒餌剤を置いておくことをおすすめします。置き場所としては、Gが潜みそうな冷蔵庫や流しの下、台所の隅や引き出しの中などがいいでしょう。

また、春は引っ越しのシーズンです。引っ越し前のお部屋にくん煙剤(第2類医薬品)を使うことで、煙が隅々まで行き届き、隠れたGを根こそぎ退治することができ、安心して暮らせます。また、以前の記事にも書きましたが、引っ越しのダンボールにゴキブリの卵が付いていることもあるので、すぐに処分しましょう。

もうすでに引っ越しされたという方は、事前準備の必要がない、1回シュッとプッシュするだけで隙間の奥まで薬剤が届く、待ち伏せ型のスプレー剤が便利です。1ヶ月間バリア効果が続くので、もし入ってきても安心です。また、幼虫には繁殖能力はないので、今のうちに対処すると増えることはありません。

Gが嫌いな環境を作ること

Gは、「ジメジメと湿気があって、暖かく、陽の当たらない狭い場所で、餌のあるところ」が大好きです。ですから、その真逆の空間、「風通しがよくて、気温が低めで、陽が当たって乾いた広い空間」を作るように意識することが、Gの出にくい部屋づくりの基本です。

家の中を清潔にして食べこぼしを放置しない

お菓子のかけら1つであっても、Gにとってはご馳走です。食べこぼしを放置せず、家の中を清潔に保ちましょう。また、食べかけのお菓子などの食品は、密封するか冷蔵庫にしまい、生ゴミは蓋つきの容器に入れるなど、対策をとることが大切です。

また、Gは油のニオイが大好きです。油はねガードを調理後しばらく畳んでおいたらその中に潜んでいたというケースもあります。油は小まめに拭き取りましょう。

小まめに換気を

Gは湿度100%になっても生きていけますが、乾燥にはとても弱く、水分がないと死んでしまいます。小まめな換気で湿気がこもらないようにしたり、カーテンを開けてできるだけ陽の光を取り入れたりといった工夫をするといいですね。ちなみに、Gにとっての水1滴は人間にとってのビールジョッキ1杯分です。できれば、シンクに付いた水滴は、寝る前などに拭き上げる習慣をつけることをおすすめします。

写真はイメージ
写真はイメージ写真:イメージマート

最後に…

夏に大きく成長したGを見ないために、春から上記のような対策を始めておくと、遭遇する可能性が低くなります。1匹でも見るとイヤな思いをするGを見ないでいい夏を送るために今から対策を進めていきましょう。

スプレーで対処するときは、頭の前方(進行方向)を狙いましょう。スプレー剤が体にきちんとあたって、すぐにひっくり返ってしまうので、本当にすぐに仕留められます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

アース製薬(株)研究部で害虫飼育を担当

兵庫県出身。都内の美術学校卒業後、 家具店店員、陶芸教室講師など虫とは全く関係のない職業に就いていたが、1998年に地元・赤穂のアース製薬に入社以来、害虫の飼育を担当している。しかし、現在も虫は好きではない。著書に「きらいになれない害虫図鑑」(幻冬舎)※記事は個人としての発信です。

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