Yahoo!ニュース

男女で違うオタク種類別の未婚率~結婚しやすいオタクと結婚しにくいオタク

荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
(写真:アフロ)

オタクは独身男性だけではない

「オタク」に対する間違ったイメージを刷り込まれている人は多い。

一般にイメージ調査をすると、オタクとは「女性にモテない」「服装がダサい」「人の目を見て話せない」「家に引きこもってゲームばかりしている」などあまり良いイメージの回答は得られない。

しかし、オタクは独身に限らないし、男性しかいないわけではない。既婚者でも女性でもオタクは存在するし、その数ももはや無視できない規模に拡大していることも事実である。

20~50代未既婚男女を対象として、「何かしらのオタク趣味を持つ」割合を2020年国勢調査の人口と掛け合わせて、男女未既婚別のオタク人口を試算※してみると、20~50代だけに限定しても、オタク人口は約1300万人、当該年齢全体の23%がオタクである。

※配偶関係不詳人数は含まず。

(C)ソロ経済・文化研究所 荒川和久
(C)ソロ経済・文化研究所 荒川和久

男女比は、男52%、女48%とほぼ半々で、未既婚も未婚45%、既婚55%とこちらはやや既婚の「オタク」の方が人数は多い。もちろん、未婚人口より既婚人口の方が絶対人口は多いのでそうなるのだが、これだけでも「オタクが結婚できない」という説は誤りであるとわかる。

男の「コスプレ」オタクはモテる?

ところで、一口にオタクと言ってもその興味関心領域は、アニメ・マンガ・アイドル・ゲーム、コスプレ・鉄道・筋トレ・パソコンなどなど様々である。気になるのは、ハマる分野の違い、いわゆるオタク属性の違いによって、未婚率に差はあるのだろうか、という点である。

そこで、各オタク属性ごとに、未婚率を算出し、全体の当該年齢の未婚率と比較してみる。

(C)ソロ経済・文化研究所 荒川和久
(C)ソロ経済・文化研究所 荒川和久

まず、男オタクから見ると、未婚率が低いのは「車・バイク」「コスプレ」「チームスポーツ(野球やフットサルなとの集団スポーツをする人たち)」オタクの人達である。

「車・バイク」「チームスポーツ」は納得できるが、「コスプレ」オタクの未婚率が低いのは意外であった。しかし、そもそもコスプレイヤーとは自らをモデル・被写体として衆目を集める趣味であって、そういう意味では容姿やスタイルに自信を持っている男と考えられるのかもしれない。

写真:イメージマート

反対に、男オタクでもっとも未婚率が高いのは、1位「同人誌」、2位「アイドル」、3位「アニメ」、4位「マンガ」と続く。

女の「鉄オタ」はモテる

一方、女オタクを見ると、なんと「鉄道」「パソコン」オタクについては、全体女性の未婚率を下回っている(=既婚率が高い)。これらは、いかにも男オタクが多いイメージの強い趣味であり、そうした女オタクの絶対数が少ないがゆえに、逆にモテるのかもしれない。結婚するためにオタク趣味にハマるわけではないが、これは興味深い結果である。

反対に、未婚率が高い女オタクとは、1位「アイドル」、2位「野球・サッカーチームの応援」、3位「アニメ」となっている。

男オタクでは未婚率が一番低い「コスプレ」が、女オタクでは4位と未婚率が高い方の部類に入っているのも面白い現象である。これは「鉄道」「パソコン」オタクの女性がモテるのとは逆に、女性のコスプレ人口が多いためであろうか。

写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ

少なくとも、男女とも「アイドル」「アニメ」「マンガ」などにハマるオタクは未婚率が高い傾向があることは確かなようだ。

恋愛強者は「恋愛オタク」である

矢野経済研究所の調査(コロナ禍前の2019年実績)によれば、オタクによるアイドル市場は2550億円、アニメ市場は3100億円、マンガ市場は4425億円にも達する。菓子統計に基づく2018年のスナック菓子市場は4361億円、チョコ市場は5370億円であり、それと比較すれば、いかにオタク市場が大きい市場に成長しているかがわかる。

全体からすればまだオタク人口は23%と少数派であるが、今後も順調にオタク人口は伸長すると考えられる。そもそも、没頭できる何物かがあるということは幸せなことだ。

ちなみに、ある道を究めたオタクにすれば、生半可な興味本位で参加してきた新参者に負ける気などさらさらないだろう。私が常々言う「3割の恋愛強者」はある意味では「恋愛オタク」である。恋愛強者は、恋愛のためなら時間も金も手間も惜しまず突き進む。恋愛の領域で彼らと張り合うのがいかに大変なことか、オタクの人にはよくわかると思う。

写真:イメージマート

関連記事

生まれてから一度も恋愛相手がいたことのない「生涯未恋率」は男女それぞれ何%か?

「男の未婚の多い東日本、女の未婚の多い西日本」生涯未婚率の男女地域差

地方から若者が集まり結婚もできずに生涯を終える。現代の東京と江戸との酷似点

-

※記事内グラフの無断転載は固くお断りします。

独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター

広告会社において、数多くの企業のマーケティング戦略立案やクリエイティブ実務を担当した後、「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者としてメディアに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』『結婚滅亡』『ソロエコノミーの襲来』『超ソロ社会』『結婚しない男たち』『「一人で生きる」が当たり前になる社会』などがある。

荒川和久の最近の記事