シリアのイドリブ県でロシア・トルコの停戦合意後初の爆撃、反体制派戦闘員4人が死亡

(写真:ロイター/アフロ)

停戦合意後初の爆撃

反体制系サイトのドゥラル・シャーミーヤや英国で活動する反体制系NGOのシリア人権監視団によると、無人航空機(ドローン)1機が4月16日、イドリブ県に隣接するハマー県北部ガーブ平原のアンカーウィー村で軍用車輌を狙って爆撃を行い、戦闘員3人が死亡、5人が負傷した。

シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握るシリア北西部では、2月にシリア軍が一大攻勢をかけ、トルコ軍との衝突が激化したが、3月5日、ロシアとトルコが停戦合意を交わし、41日にわたり爆撃は確認されていなかった。

ナスル軍の広報責任者を務める自称ジャーナリストのムハンマド・ラシードはツイッターで、メンバー2人が爆撃で死亡したことを認めた。

ナスル軍は、バラク・オバマ前米政権が支援していた(つまり、ドナルド・トランプ米政権に支援を打ち切られた)「穏健な反体制派」の一つ。「革命のサヨナキドリ」ことアブドゥルバースィト・サールート(2019年6月死亡)が所属していたイッザ軍とともに、シャーム解放機構と長らく共闘していたが、2018年6月にトルコの肝入りで結成された国民解放戦線(国民軍)に参加した。

爆撃を行ったドローンの所属は不明だが、ラシードは「イランの自爆型ドローン」と断じている。これに対して、シリア人権監視団は、ロシア軍、レバノンのヒズブッラー、あるいはそれ以外の「イランの民兵」のドローンの可能性が高いとの見方を示している。

シリア人権監視団によると、所属不明のドローンはまた、ガーブ平原で活動を続けるフッラース・ディーン機構の車輌に対しても爆撃を行い、人的被害を与えた。

これに関して、ドゥラル・シャーミーヤは、別の無人航空機が、沿岸師団の車輌を爆撃し、乗っていた1人が死亡したと伝えた。

フッラース・ディーン機構は、シャーム解放機構の離反者やイスラーム国とつながりがある組織のメンバーらが結成したアル=カーイダ系組織の一つ。一方、沿岸師団(第1沿岸師団および第2沿岸師団)が国民解放戦線に所属している。

ドローンの爆撃に対抗して、シャーム解放機構や国民解放戦線からなる「決戦」作戦司令室は、ガーブ平原内の政府支配地域を砲撃、ドゥラル・シャーミーヤによると、「占領国ロシアの民兵」の無人偵察機1機を撃墜したという。

シリア軍の砲撃で住民1人死亡

一方、イドリブ県では、シリア人権監視団などによると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるタフタナーズ市近郊の農地を砲撃、農作業をしていた女性3人が負傷した。

シリア軍はまた、ザーウィヤ山一帯にも砲撃を加え、「決戦」作戦司令室もイドリブ県南部の政府支配地域を砲撃した。

アレッポ県でも、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるカフルタアール村を砲撃、住民1人が死亡した。

なお、ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を1件(イドリブ県)確認したと発表した。これに対して、トルコ側の監視チームは停戦違反を確認しなかったという。

イドリブ県から中国新疆ウイグル自治区出身者らの家族がトルコに密入国

シリア人権監視団は、中国新疆ウイグル自治区出身者(トルキスタン人)を含む外国人戦闘員の家族がシリアからトルコに密入国を試みていると発表した。

複数の情報筋によると、外国人戦闘員の家族はイドリブ県アズマリーン村近郊の国境沿いを流れるアースィー川(オロンテス川)を、シリア人の仲介者が用意したボートで渡って密入国を試みているという。

トルコ軍憲兵隊が、ハタイ県(シリア領アレキサンドレッタ地方)の国境地帯で厳戒態勢を強めているために、それ以外の場所で越境は成功していないという。だが、シャーム解放機構は、出入国管理局を閉鎖し、密入国を阻止する措置をとりつつも越境を黙認しているという。

(「シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢」をもとに作成)