トルコ・シリア両軍の撃墜合戦が続くなか、米国の支援を受けてきたクルド民族主義勢力が参戦の意思を示す

(写真:ロイター/アフロ)

トルコがシリア軍戦闘機1機を新たに撃墜

イドリブ県では、国営のシリア・アラブ通信(SANA)が軍情報筋の話として伝えたところによると、県南部で武装テロ集団に対する任務にあたっていたシリア軍戦闘機1機が3日11時03分、トルコ軍が発射した地対空ミサイルを被弾し、マアッラト・ヌウマーン市北西に墜落した。

Eldorar、2020年3月3日
Eldorar、2020年3月3日

反体制系サイトのEldorarによると、撃墜されたのは旧チェコスロバキア製のL-39軽攻撃機。攻撃を行ったのはトルコ軍のF-16戦闘機。

英国に拠点を置く反体制系NGOのシリア人権監視団は、反体制派が撃墜された戦闘機の搭乗員2名の遺体を発見したと発表した。

シリア軍が対抗措置としてトルコ軍ドローン2機を撃墜

これを受け、シリア軍は、対抗措置としてトルコ軍のバイラクタルTB2無人航空機(ドローン)2機をサラーキブ市近郊とハーン・スブル村東の上空で撃墜した。

SANAによると、うち1機はサラーキブ市近郊のシリア軍拠点に対して爆撃を加えようとしていたところを撃破したという。

ANHA、2020年3月3日
ANHA、2020年3月3日

シリア軍は砲撃でトルコ軍兵士11人を殺傷

シリア軍はまた、地上部隊がビンニシュ市、サルミーン市、ナイラブ村、ジスル・シュグール市およびその一帯、タルナバ村、マストゥーマ基地を砲撃、タルナバ村とマストゥーマ基地に対する砲撃では、トルコ軍兵士4人が死亡、7人が負傷した。

SANAによると、一連の戦闘で、シリア軍は、サラーキブ市近郊のジャウバース村、タルナバ村、ダーディーフ村、カフルバッティーフ村からトルコ軍の支援を受ける「決戦」作戦司令室(シャーム解放機構、国民解放戦線(国民軍)などからなる武装連合体)を掃討し、同地を再び制圧した。

Step News、2020年3月3日
Step News、2020年3月3日

ロシア軍、トルコ軍も攻撃を継続

一方、ロシア軍戦闘機は、イドリブ県のサルミーン市、ビンニシュ市、アリーハー市一帯、アーフィス村、サラーキブ市西部郊外一帯、アレッポ県のタカード村を爆撃した。

また、イドリブ市で3日早朝、大きな爆発が発生し、子ども3人を含む7人が死亡、20人が負傷した。

シリア人権監視団によると、爆発は、ロシア軍の爆撃か弾道ミサイルによるものだという。

対するトルコ軍も、砲兵部隊と無人航空機(ドローン)でイドリブ県のサラーキブ市一帯、マアッラト・ヌウマーン市近郊、マアッルディブサ村、アレッポ県のズィルバ村、ハマー県のジューリーン村北のミールザー砦にあるシリア軍拠点を攻撃した。

また、戦車や装甲車など60輌からなる増援部隊をカフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に進入させた。

トルコ軍は北東部のシリア軍拠点にも砲撃

クルド民族主義組織の民主統一党(PYD)に近いANHAによると、トルコ軍の支援を受ける国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局(PYDが主導する自治政体)の共同統治下にあるマンビジュ市北西のウンム・ジャッルード村にある国境通行所を砲撃した。

トルコ軍はまた、マンビジュ市西のアラブ・ハサン村一帯に設置されているシリア軍拠点を砲撃した。

ANHA、2020年3月3日
ANHA、2020年3月3日

シリア民主軍がトルコの侵攻への抵抗に参加する意思を表明

クルド民族主義民兵組織の人民防衛隊(YPG)を主体とするシリア民主軍は声明を出し、トルコの侵攻にいたるシリア政府の対応を批判する一方、侵攻への抵抗に参加する意思を表明した。

主な声明の内容は以下の通り:

トルコは緊張緩和地帯にかかる合意に乗じるとともに、アダナ合意を拡大解釈し、シリア北部を制圧し、避難してきた戦闘員を自分たちの兵士に仕立てて、自らのアジェンダのために奉仕させている…。

シリアの国家建設と復興のため、バランスのとれた事態収拾に参加する意思がある…。

シリア国民の悲劇は政権が体系的に行使した暴力という言葉から始まった…。

イドリブ県は激戦に直面しており、シリア国民の苦しみが増し、避難の波が拡がっている。シリアを分割しようと地域諸国や諸外国が介入したためだ…。

バッシャール・アサド政権は地域や世界の諸勢力のシリア政策に依存しており、主権という概念は、シリア国民や国家を犠牲にして描かれる(諸外国)のアジェンダにシリア人による決定権が従属することで、その価値を失った…。

Enabbaladi、2020年3月3日
Enabbaladi、2020年3月3日

シリア民主軍はシリア北東部や南東部の油田地帯を違法に占領する米国と協力関係にある。

(「シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢」をもとに作成)