「川遊びにはライフジャケット」を連呼し激押しする岐阜県HP読みました?そこから見えてくる熱い水害対策

岐阜県公式HP

 岐阜県公式HPの水難事故に関するQ&Aのライフジャケット押しの連呼がすごいとTwitter上でも話題になっていました。みなさん、読みましたか?

 まだの方のために、まずはその連呼するライフジャケット押しの一部をお読みください。

Q5.ライフジャケットを着用すれば、安全ですか?

A5.

 河川は自然そのものであり、安全が保証されることはありません。河川には常に水難事故リスクがあります。

 ライフジャケットの着用は、最低限のリスク低減対策にすぎません。

 逆に、ライフジャケットを着用せずに川に入ることは自殺行為と言っても過言ではありません。

 川の危険性について知識を身に付け、アクティビティに応じヘルメット、ウォーターシューズ、プロテクター等を着用することが必要です。

Q23.川遊びをするとき、ライフジャケットの代わりに浮き輪ではだめですか?

A23.

 浮き輪はするりと脱げてしまうことがあるので、ライフジャケットの代わりになりません。

 浮き輪は、水難事故リスク対策になりません。川遊びをするのであれば、ライフジャケットは絶対に必要です。

 ライフジャケットを着用することが、最低限必要な、水難事故リスク対策です。

Q27.川遊び程度でライフジャケットを着用するのは、何だか恥ずかしいような気がするのですが?

A27.

 毎年、全国の河川で痛ましい水難死亡事故が数多く発生しています。

 ライフジャケットは、川遊びをするときに最低限必要なものです。

 初めて着用するときは、恥ずかしい気がするかもしれませんが、慣れれば当たり前になります。

出典:上記すべて岐阜県公式HP 水難事故に関するQ&A

 これは一部であるにもかかわらず、「ライフジャケットを着用せずに川に入るのは自殺行為」と述べる押しのすごさがわかるかと思います。そして、いくつか出てくる、Qの内容が妙にリアルなこともバズった理由ではないかと思います。

Q17.お盆休みに、東京の息子夫婦が孫を連れて岐阜に帰省するので、家族みんなで長良川の河川敷でデイキャンプをする予定です。川で水遊びをする予定はありませんが、それでも、ライフジャケットは必要ですか?

Q18.今度の連休に、付き合っている彼女と板取川の河川敷でキャンプをする予定です。川では少しは水遊びをするかもしれませんが、泳ぐつもりなどありません。それでも、ライフジャケットは必要ですか?

出典:岐阜県公式HP 水難事故等に関するQ&A

 孫や彼女や高校の仲間が季節を変えて登場します。そして、Aにも水難事故の恐ろしさが小説ばりに淡々と書かれています。長いですが、壮大なストーリーになっているので、引用します。

Q19.GWに、高校の仲間たちと長良川の河川敷に行き、バーベキューをする予定です。まだ5月なので泳ぐつもりはありません。それでも、ライフジャケットは必要ですか?

A

 ライフジャケットが絶対に必要です。

 川を甘く見ると重大な事故につながります。

 川で水遊びをする場合は、全員分のライフジャケットを購入して川での水遊びに備えてください。そして、川に入る際には、足首の深さまで入るだけのつもりでも、ライフジャケットを必ず着用してください。

 川底は藻でヌルヌルしていることがあり、友人が滑って転んで川に流されてしまうかもしれません。

 また、川底に流木や岩の割れ目などがあることもあり、友人がそれらにつまづいて転んで川に流されてしまうかもしれません。

 転ばなくても、友人のサンダルが脱げて流され、そのサンダルを追いかけて友人が川に流されてしまうかもしれません。

 そのようなとき、友人がライフジャケットを着用していないと、溺死する可能性が高くなります。

 また、流される友人を見て、あなたも助けようと川に飛び込むかもしれません。

 そのとき、あなたもライフジャケットを着用していないと、溺死する可能性が高くなります。

 このような状況で助かる可能性は非常に低いと言わざるを得ません。

 楽しかったはずの仲間とのバーベキューが最悪の結果となります。

 また、今は5月でも真夏のような気温になることがありますので、泳いでみたくなることも十分考えられます。

 部活動で鍛えて体力に自信のある仲間の一人がふと「対岸まで泳いで往復してみようよ。ライフジャケットなんかなくても大丈夫だよ。」と言い出し、みんなで、ライフジャケットなしで泳ぎ始めるかもしれません。

 どうなるでしょうか。

 だいぶ下流に流されましたが対岸までは全員無事到着しました。

 そして、泳いで戻る途中、あなたは疲れてさらに下流に流されましたが、それでも無事に岸にたどり着きました。すると仲間たちが騒いでいます。仲間の一人の姿が見当たらないのです。川を見渡してもどこにもいません。

 川は、何事もなかったかのように、ただ静かに流れているだけです。

 だれも「助けてくれ」といった声は聞いていません。

 あなたもパニックになり、そこから先の記憶は途切れがちです。

 姿が見えなくなった仲間は、数時間後、200mほど下流の川底に沈んでいるのを消防隊のダイバーによって発見されました。

 川を甘く見てライフジャケットを着用しないと、このようになる可能性があるのです。

 逆に、ライフジャケットを着用していれば、助かる可能性は高くなります。

 川に少しでも入るときはライフジャケットを必ず着用してください。

 なお、ライフジャケットは、水難事故防止だけでなく、洪水時における避難等の際に救命胴衣としても役に立ちますので、河川敷でのキャンプをきっかけにライフジャケットを購入することは一石二鳥と言えます。

出典:岐阜県公式HP 水難事故等に関するQ&A

 仲間の一人の姿が見当たらないのに、川は「ただ静かに流れているだけ」とか、「記憶が途切れがち」になる描写も研ぎ澄まされています。そして、今回何よりも注目したいのは、最後の行です。

 なお、ライフジャケットは、水難事故防止だけでなく、洪水時における避難等の際に救命胴衣としても役に立ちますので、河川敷でのキャンプをきっかけにライフジャケットを購入することは一石二鳥と言えます。

 実際に、災害時の救助の場面でもライフジャケットを着用してボートで救出にあたっている映像もご覧になったことがあると思います。ライフジャケットは水害対策にもなるので一石二鳥です。今年は、もう泳がないという方も日常の水害対策&来年の川遊び用に準備していただくこともありだと思います。

 

写真 あんどうりす
写真 あんどうりす

 ただ、注意していただきたいのは、水害時、膝より上の水位であったり、足首程度の深さでも流れがあれば、そもそも外に避難するには遅いといえるので、垂直避難という上層階に逃げる方がよい場合が多いです。ライフジャケットは水害時にこれがあれば大丈夫というものではもちろんありません。しかし、川であっても、ライフジャケットを着用しないことは「自殺行為」なのですから、水害時、浸水した場合、川のように流れがあれば、どれほど危険になるのか、この岐阜県HP記載からも推測していただければと思います。

 このように、ライフジャケット押しの中に水害対策も盛り込んでいる岐阜県は、川の事故と同様に水害にも悩まされてきた地域でもあります。そのため、水害を含めた災害対策に熱いひと工夫があるのです。

岐阜県公式HPより引用
岐阜県公式HPより引用

 同じ公式HPの清流の国ぎふ防災・減災センターのページに飛んでいただくと「げんさい楽座」と書かれた箇所があります。

 「げんさい楽座」は、「専門家と一般参加者が防災・減災について語り合い、防災・減災への関心を深め、知識を得るとともに、参加者同士が意見交換を行う交流の場」です。お互いに顔の見えるネットワークづくりと災害に強い地域社会を創りだすことを目指しています。

 コロナ禍で、各地の防災講座がストップする中、この「げんさい楽座」は、すばやくオンライン対応をして、毎月開催されています。そして、7月に報告された大垣市の新型コロナウイルス対応避難所の写真を見ていただきたいと思います。

写真提供 伊藤三枝子 大垣市避難所訓練
写真提供 伊藤三枝子 大垣市避難所訓練

 入り口にはサーモグラフィが導入されスムーズに避難所(避難場所)の受付ができるようになっています。体温計測定では受付に時間がかかってしまいますが、だからといってサーモグラフィ導入は、災害が起こる前に準備をしておかないと対応できません。すばやく訓練に取り入れる姿勢が熱いです。

写真提供 伊藤三枝子 大垣市避難所訓練
写真提供 伊藤三枝子 大垣市避難所訓練

 受付ではフェイスシールドも着用します。

 コロナ禍での避難所は、岐阜大学准教授の小山真紀氏の示された考え方、岐阜県の避難所コロナ対策ガイドラインを参考に設営されています。三密にならない工夫を事前にされています。

 

写真提供 伊藤三枝子 大垣市避難所訓練 写真の場所は2階
写真提供 伊藤三枝子 大垣市避難所訓練 写真の場所は2階

 コロナ禍にあっても、出水期といわれる水害の多い時期に防災・減災の取り組みを止めるわけにはいきません。岐阜県のライフジャケット押しから見えてくることは、日常から川に対し、恵みもリスクもしっかり受け止めている真摯な姿勢です。ライフジャケットなしの悲劇をあれだけリアルに描写できるのは、そこにある川に対しての深い理解が根底にあると思うのです。その理解を行政、大学、地域の方がひとつになって災害対策に生かそうとする岐阜県と地域の方の取り組みを、ライフジャケット押しと同様に注目していただければと思います。