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雪道を夏タイヤで走行するのは道路交通法違反! 普通車では6000円の反則金が科せられます。

安藤眞自動車ジャーナリスト(元開発者)
(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

 1月6日は東京都心でも積雪があり、雪道対策を怠ったクルマが、各地で立ち往生していました。夏用のタイヤでは、橋などのちょっとした勾配や、歩道を横切る段差程度でもスリップして動けなくなりますから、降雪予報が出た場合、対策をしていないクルマは使用しないようにして下さい。

 出かけた帰りに路面に雪が積もり始めた場合でも、最寄りのコインパーキングに駐めて、公共交通機関を使って帰宅するのが安心です。走れなくなるのはまだマシですが、止まれなくもなりますから、事故を起こすリスクも高まります。たとえコインパーキング代が1万円ぐらいかかっても、ボディを擦って板金修理するより安いですし、修理に出している間にクルマが使えなくなる不便もありません。

 気象情報から雪が降り続くことが予想された場合、停止板が乗り越えられなくなるほど積もる前に、コインパーキングに入れてしまいましょう。

雪道を夏タイヤで走行するのは、道路交通法違反にもなります。

 具体的には、道路交通法第七十一条「運転者の遵守事項」六「(前略)公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項」違反に該当します。ちょっと複雑なのですが、各都道府県の公安委員会には、それぞれの地域に合わせた道路交通規則を定める権限が与えられており、沖縄県を除く46都道府県には、積雪路や凍結路を走行する場合には滑り止めを講ずることを求める条文が制定されています(文言は都道府県によって異なります)。道交法七十一条六の「公安委員会が〜定めた事項」は、この道路交通規則を指しているのです。

 道路交通法違反ですから、当然、罰則もあります。違反の名称は「公安委員会遵守事項違反」で、普通車なら6000円、大型車なら7000円の反則金が科されます。違反点数は科せられませんが、交通を混乱に陥れることの影響を考えれば、駐車違反同等の2点を科すよう、法改正しても良いのではないかと思います。

アメリカではオールシーズンタイヤの新車装着を義務づけている州も

 ちなみにアメリカでは、北東部の州を中心に、新車時からオールシーズンタイヤ(M+Sタイヤ)の装着を義務づけているところが数多くあります。そうした地域では、日本車でもオールシーズンタイヤを標準装着して販売されています。

 日本でも現状に鑑みれば、関東以北はオールシーズンタイヤの新車装着を義務づけるか、新車時にオプションで選べるようにしておくべきではないでしょうか。

アメリカでは「M+Sタイヤ」の新車装着を義務づけている州が数多くあります(これはスタッドレスタイヤですが)。
アメリカでは「M+Sタイヤ」の新車装着を義務づけている州が数多くあります(これはスタッドレスタイヤですが)。

 またタイヤ交換時期が近いユーザーは、オールシーズンタイヤの選択も視野に入れておくと良いのではないかと思います。関東周辺は、むしろこれから3月末ぐらいまでが、大雪の降りやすい季節です。「まだ少し山が残っている」と感じても、オールシーズンタイヤに入れ替えてしまえば、安心感は高まるでしょう。

自動車ジャーナリスト(元開発者)

国内自動車メーカー設計部門に約5年間勤務した後、地域タブロイド新聞でジャーナリスト活動を開始。同時に自動車雑誌にも寄稿を始め、難しい技術を分かりやすく解説した記事が好評となる。環境技術には1990年代から取り組み、ディーゼルNOx法改正を審議した第151通常国会では参考人として意見陳述を行ったほか、ドイツ車メーカーの環境報告書日本語版の翻訳査読なども担当。道路行政に関しても、国会に質問主意書を提出するなど、積極的に関わっている。自動車技術会会員。

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