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スペースX、ISS高度を超える宇宙旅行サービスを開始。早ければ2021年末から

秋山文野サイエンスライター/翻訳者(宇宙開発)
Photo credit: SpaceX

2020年2月18日、スペースXと宇宙旅行企業スペース・アドベンチャーズは、スペースXのクルードラゴン宇宙船による地球周回宇宙旅行サービスを開始すると発表した。2021年末から2022年半ばまでに、4名の旅行客が搭乗する計画だ。

スペース・アドベンチャーズは2001年からロシアのソユーズ宇宙船に搭乗する国際宇宙ステーション(ISS)への宇宙旅行を実施しており、これまでに元NASA技術者で富豪のデニス・チトー氏、元マイクロソフトのチャールズ・シモニー氏ら7名がのべ8回の宇宙旅行を行った。

クルードラゴン宇宙船は2020年第2四半期に初の有人飛行試験を実施し、ISSにドッキングする予定だ。スペース・アドベンチャーズとの宇宙旅行ではISSドッキングは行わず、地球を周回するものになるという。ISSが周回する高度の「2~3倍まで到達する」計画だといい、800~1200キロメートルの高度を目指すものとされる。スペース・アドベンチャーズは、乗客らが「ジェミニ計画以来、誰も行っていないところから地球を眺める」ことになるとしている。

NASAがアポロ計画前に実施した有人宇宙計画「ジェミニ計画」では、1966年に打ち上げられたジェミニ11号が遠地点1374.1キロメートルになる軌道に到達し、地球周回飛行では最も遠くを飛行した記録を持っている。

ジェミニ11号による地球周回飛行。Credit: NASA
ジェミニ11号による地球周回飛行。Credit: NASA

スペース・アドベンチャーズは、2021年にソユーズ宇宙船で2名の旅行客がISSに滞在する計画を発表しているが、スペースXの地球周回旅行とどちらが先に実施されるかは不明だ。また、スペースXは2019年にクルードラゴン宇宙船に搭乗した旅行客がビゲロー・エアロスペース開発によるISSモジュールに滞在する計画を発表している。しかし2020年1月にNASAはISSの商業モジュールを開発する企業としてAxiom Spaceを選定したため、ビゲロー・エアロスペースのISS滞在宇宙旅行が計画通り実施されるかは不透明だ。

サイエンスライター/翻訳者(宇宙開発)

1990年代からパソコン雑誌の編集・ライターを経てサイエンスライターへ。ロケット/人工衛星プロジェクトから宇宙探査、宇宙政策、宇宙ビジネス、NewSpace事情、宇宙開発史まで。著書に電子書籍『「はやぶさ」7年60億kmのミッション完全解説』、訳書に『ロケットガールの誕生 コンピューターになった女性たち』ほか。2023年4月より文部科学省 宇宙開発利用部会臨時委員。

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