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一般教書演説2019 「アメリカの宇宙飛行士がアメリカのロケットでまた宇宙へ行く」のか?

秋山文野サイエンスライター/翻訳者(宇宙開発)
Credit: SPACEX

日本時間2019年2月6日、ドナルド・トランプ大統領は一般教書演説の中で「This year American astronauts will go back to space on American rockets.(今年、アメリカの宇宙飛行士がアメリカのロケットに乗ってまた宇宙へ行くようになる)」と述べた。宇宙飛行士を乗せるアメリカのロケットとは、実際には「アメリカの宇宙船」と呼ぶべきかもしれない。スペースXの有人宇宙船クルー・ドラゴンとボーイングによるCST-100(スターライナー)が2019年に飛行試験を行い、NASAを始めとする各国の宇宙飛行士を乗せて国際宇宙ステーション(ISS)へ向かう予定だ。

クルー・ドラゴン最初の試験DEMO-1はスペースXが実施し、無人の状態で打ち上げとISSへのドッキングを行う予定だった。当初の試験日程は1月7日→1月17日→2月中と延期され、詳細な日程発表が待たれているところだった。

ところが、一般教書演説が終わる前にワシントン・ポスト紙、経済メディアCNBCの記者が相次いでクルードラゴンのDEMO-1試験の日程が3月2日以降となったことを公表した。FCC(連邦通信委員会)の文書に記載されている情報で、許可された「Dragon2 capsule(クルー・ドラゴン)」の運用開始日は2019年3月2日、終了日は9月2日となっている。3月から9月までのどこかで試験が可能だということになる。

試験日程はこれまでにもたびたび遅れてきたが、1月初旬の予定は少なくとも2ヶ月遅れで3月へ。その後の日程は不透明だが、有人飛行試験(DEMO-2)の日程は2019年の後半、押し詰まった時期になる可能性が十分にありそうだ。ワシントン・ポスト紙のクリスチャン・ダベンポート記者は「有人飛行は来年になるのではないか」と諦めぎみの見方を示している。

サイエンスライター/翻訳者(宇宙開発)

1990年代からパソコン雑誌の編集・ライターを経てサイエンスライターへ。ロケット/人工衛星プロジェクトから宇宙探査、宇宙政策、宇宙ビジネス、NewSpace事情、宇宙開発史まで。著書に電子書籍『「はやぶさ」7年60億kmのミッション完全解説』、訳書に『ロケットガールの誕生 コンピューターになった女性たち』ほか。2023年4月より文部科学省 宇宙開発利用部会臨時委員。

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