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日欧水星探査機ベピコロンボ、打ち上げ成功!

秋山文野サイエンスライター/翻訳者(宇宙開発)
ベピコロンボを搭載したアリアン5打ち上げ。Credit: Arianespace

日本時間2018年10月20日午前10時45分28秒、JAXA 宇宙航空研究開発機構とESA 欧州宇宙機関が共同で開発した国際水星探査計画「BepiColombo(ベピコロンボ)」を搭載したアリアン5ロケットは、予定通り打ち上げに成功した。

アリアン5ロケット搭載前の水星探査機ベピコロンボ。下から飛行モジュールMTM、ESAのMPO、JAXAのMMO。Image Credit: Arianespace
アリアン5ロケット搭載前の水星探査機ベピコロンボ。下から飛行モジュールMTM、ESAのMPO、JAXAのMMO。Image Credit: Arianespace

打ち上げ予定時刻は、南米のフランス領ギアナにあるギアナ宇宙センターでは、日本時間からちょうど12時間前の午後10時45分。打ち上げ11時間23分前から始まった最終カウントダウンは予定通り進行し、打ち上げ時間プラス1秒でアリアン5第一段のメインエンジンに点火。7.3秒後に離床し、大西洋側に向かって飛び立った。

打ち上げ前のアリアン5。Image Credit: Arianespace
打ち上げ前のアリアン5。Image Credit: Arianespace

およそ2分後の個体ブースター切り離し、約9分後の上段ステージ点火と主要なマイルストーンを着実に実行し、打ち上げから26分47秒後にアフリカ上空でベピコロンボ探査機を分離した。日本からはJAXAの山本静夫副理事長、國中均宇宙科学研究所長が、ESAからはヨーハン=ディートリッヒ・ヴァーナー長官らが見守る中、水星磁気圏探査機「みお(MMO:Mercury Magnetospheric Orbiter)とESA 欧州宇宙機関が開発した水星表面探査機「MPO:Mercury Planetary Orbiter」は、飛行モジュール「MTM」と共に、7年間の水星への旅に出発した。

これまで、水星を探査した例は1974年のアメリカの探査機「マリナー10号」と2011年の「メッセンジャー」のみ。太陽の重力と高熱の影響で太陽系の中でも接近が難しい、最も内側の惑星である水星を日本と欧州の協力により詳しく観測する。地球と同様に磁気圏を持つ水星を探査することで、地球や太陽系の惑星の成り立ちの解明につながる。

ESAのベピコロンボからのミッション報告。

ESAによる打ち上げステータス報告。ベピコロンボからの電波を無事に受信した。

ESAによる打ち上げステータス報告。太陽電池パドルの展開に成功。

サイエンスライター/翻訳者(宇宙開発)

1990年代からパソコン雑誌の編集・ライターを経てサイエンスライターへ。ロケット/人工衛星プロジェクトから宇宙探査、宇宙政策、宇宙ビジネス、NewSpace事情、宇宙開発史まで。著書に電子書籍『「はやぶさ」7年60億kmのミッション完全解説』、訳書に『ロケットガールの誕生 コンピューターになった女性たち』ほか。2023年4月より文部科学省 宇宙開発利用部会臨時委員。

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