連続して成果を上げる「再現性」が、地方創生には必要だ。f-Bizモデルが、山形市・関市にも。

全国に広がるf-Bizモデル(f-Bizサイトより)

地方創生というキーワードが注目されるようになって暫く経ちますね。この言葉に注目が集まったのは、第2次安倍内閣発足時以降なので、4年ほど経つでしょうか。各地で創意工夫を経て成果を上げる取組みも生まれています。一方で、掛け声だけに終わり、大半の取組は失敗だったのではないか、という指摘も散見されます。実際に、目にしたニュースなどを振り返ってみても、「○○○○という事業を始める」「△△△△センターを新たに立ち上げます」「××××と連携協定を結びました」といったものは多いが、肝心の成果を報じられることはあまり目にしないと思いませんか。

そんな中で、連続的かつ具体的な成果を生み出し続けているのが、「○○ビズ」と言われる、中小企業支援の取組みです。およそ10年前に開設された富士市産業支援センター・f-Biz(静岡県富士市・小出宗昭センター長)をモデルにし、(1)利用は完全無料で、(2)何度でも相談でき、(3)売上アップの結果にコミットする…そんな相談窓口だ。実際には、中小企業といっても、製造業や小売店などだけでなく、農業者や福祉事業者、さらに子育てママのプチ起業やNPOなどの相談も対応しています。f-Bizでは、実際に相談に来訪し、具体的な提案を通じて、実に7割近い相談者が売上アップを実感しているという驚異的な取組みなんです。

ともすると、地方創生の成功事例は「天才的なキーマン」によるものも多いように感じられます。「あの人がいたからできたけれど、結局形だけ真似ても上手くいかなかった…」これまでもこうした結果は繰り返されているように感じます。属人的なスキルや人間力に依拠したものでは再現性がないわけです。

▼f-Bizモデルは、連続して成果を上げる「再現性」

前述のf-Bizには、年間数十件という行政・議会視察が毎年のように訪れています。(累積すれば相当数…注目の高さが伺えます)そして、2015年以降、全国各地にf-Bizをモデルとした中小企業相談所が続々と生まれ、この4年間で約20ヶ所(今夏開設予定の、釧路市・大垣市・人吉市含む)にまで取組が広がっています。

しかし、小出センター長によると「○○ビズ」の展開を、積極的に各自治体に「営業」したことは一度もないというのです。視察を経て、各自治体や議会関係者あるいは地域財界から「うちの街でも、○○ビズを始めたいので手伝って欲しい」との依頼を受けて広がってきたというのは、特筆すべきポイントでしょう。

全国各地に広がっている○○ビズ
全国各地に広がっている○○ビズ

広島県福山市は、2016年12月にf-Bizをモデルにした福山ビジネスサポートセンター(Fuku-Biz)を開設。開設から1年間で、1760件を越える相談を寄せられ、相談者の売上向上率は約60%にもなるという。例えば、創業約60年の食品加工メーカーの販路拡大の相談には、独自システムや地域発となる商品の打ち出しなど、強みを明確化し情報発信支援を進めたところ、新規取引オファーが殺到し3ヶ月で売上が倍増したといいます。

フクビズのスタッフ
フクビズのスタッフ

※Fuku-Bizのスタッフ(中央が高村亨氏、左から2番目が池内精彦氏)

また、長崎県壱岐市でも、2017年8月に壱岐しごとサポ―トセンター(Iki-Biz)を開設。人口2万7千人の離島で、開設して1年に満たない現状でも1ヶ月ちかい相談待ち状態となっている。漁業関係者からサービス業まで来訪者は幅広く、10代~70代の幅広い層に利用されているようです。

洋食店からの相談には、自慢の「壱岐牛バーガー」へ着目。空弁などでカツサンドが人気を集めるトレンドを背景に、観光客向けに美味しく食べられる「壱岐牛サンド」の商品開発をサポート。店頭だけでなく、観光売店などにも販売チャネルを拡大。自慢のハンバーグは冷凍商品としてさらに展開され、今では、福岡のデパートでも販売されるまでになったといいます。

イキビズのスタッフ
イキビズのスタッフ

※Iki-Bizのスタッフ(中央が森俊介氏)

▼成果を上げる人材の採用と育成、仕組みがポイント

こうした「○○ビズ」が再現性を持って各地で展開されている最大のポイントは、成果を上げる人材の採用と育成、そして仕組みの共有にあるのではないかと思います。センター長は、年収1200万円で全国公募し、100件を越える全国からの応募者(時には400件近く殺到したことも)の中から、選抜。そして、f-Bizで3ヶ月間の研修プログラムを経て、現地でセンターを立ち上げ。その後の、センター運営についてもサポートがあり、高い成果につながっています。一方で、単年度契約となっており、期待されるような成果がでなければ1年でもクビになる…という厳しさもポイントでしょう。

Fuku-Bizのセンター長・高村亨氏(39才)は、東京でベンチャー企業役員として活躍した経歴の持ち主。プロジェクトマネージャーの池内精彦氏(59才)は、ジョージ・ジェンセンや、バリー社長を歴任してFuku-Bizに着任という経歴。

Iki-Bizの森俊介氏(34才)も、リクルートを経て、渋谷に「森の図書室」をオープン。その後、格闘技フィットネスジム「FIGHTCLUB428」など立ち上げたベンチャー起業家。

地方創生に関わりたい…と考えている優秀な都心部のビジネスパーソンなどに効果的に情報発信をし、プロとしての処遇と育成の機会を提供することによって、連続的に高い成果を上げてるというわけなんです。

▼新たに山形県山形市も、岐阜県関市も

こうした流れを受け、新たに山形県山形市と岐阜県関市もセンター長を全国公募し、「○○ビズ」を通じた中小企業活性化に取組みを進めています。

東北地域初のf-Biz型相談所となる山形市は17年8月の視察などを経て、Y-Bizを12月を目安に開設予定。こちらはセンター長とプロジェクトマネージャーの2名募集。

刃物を中心とした製造業の街・関市は、2016年7月にSeki-Bizを開設し高い成果をあげてきたものの、ご家族の事情から退任することとなったセンター長の後任を募集するもの。

・Y-Biz公募ページ(山形県山形市)

・Seki-Biz 公募ページ(岐阜県関市)

締め切りは、週明け5月14日(月)17時必着。こうした取組が広がる背景には、自治体によるこれまでの地域活性化や中小企業支援の取組の手詰まり感があるのかもしれません。補助金や助成金の交付と言ったバラマキや、工場・産業誘致に偏った取組でなく「地域の地力」を活かし、伸ばす取組であるエフビズモデルがいま注目されているのは、そうした背景があるからではないでしょうか。

ご関心ある方は、チャレンジしてみてもよいかもしれません。