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現役記者が伝授します!!社会課題を解決するための「メディア有効活用方法」

明智カイト『NPO法人 市民アドボカシー連盟』代表理事
松村 愛氏(提供:NPO法人 市民アドボカシー連盟)

今回は、朝日新聞コンテンツ編成本部 次長(前政治部次長)、記者の松村 愛さんより、社会課題を解決するための「メディア有効活用方法」についてお話を伺いました。

明智 では、まず自己紹介をお願いします。

松村 松村 愛と申します。1996年に朝日新聞社へ入社してから一貫して新聞記者をしています。はじめは佐賀と福岡で警察取材をしていましたが、2003年に東京の政治部に異動してからは政治記者をずっと勤めてきました。

小泉純一郎首相の時代に「総理番」を1年間やりました。そこから自民党や、民主党政権の立ち上げの頃も含めて政党取材を長く担当し、省庁の取材や国政選挙の当打ちも。10年ぐらい政治記者をした後に、野党の取材キャップ、与党の取材キャップを朝日新聞社政治部では女性として初めて勤めました。2014年から、さいたま総局デスクをした後に政治部デスクを3年間。2019年9月からは朝日新聞デジタルを運用する部署のデスクになり、政治と動画を担当しています。というような、なかなか一本道ではない新聞記者人生を送ってきております。

明智 ありがとうございます。それではまず始めに、メディア関係者と繋がるためにはどうしたら良いでしょうか?

松村 プレスリリースをNPOの方たちにファーストタッチでいただくことが多いです。それがどういうふうに記者たちに届いているかというと、郵便やFAX、メールでいただいたり、あとは各省庁ですとか各県庁、市役所にある記者クラブへ配布してもらったりしています。新聞社に郵便やメールをいただくこともあります。

特にNPOの方たちからいただくのは、省庁の記者クラブや都道府県庁の記者クラブであることが多いのですが、そういったところに今度こんな取り組みがあります、こんな新しいことをやりますっていうプレスリリースをいただくことが結構あります。宛て名があれば、もちろん記者に届くんですけれども、なければ共有のレターボックスに入ります。そこで、その共有のレターボックスの中から記者たちが自分の関心のあるものを探していくという流れになっています。

その時に、そのプレスリリースが共有ボックスの中だけではなくてNPOやその分野に関心のある記者や、担当の部局にちゃんと届かないと意味がありません。届かないと埋もれてしまうこともあるので、まずそういったプレスリリースのつくり方にひと工夫する必要があるのかなと。どんな分野を担当する記者や、どんな分野の担当の部局、あとはどんな関心を持つ人、どんなテーマが関係するのか。そういった内容をはっきりと書いていただくと届きやすいです。

私もNPOの新しいネタを探す時に、こういったプレスリリースをいただいて初めてアクセスするということが結構あります。こういったネタを探している記者に気付いてもらえるかどうかというのが本当に鍵だなと思います。

草の根ロビイング勉強会での資料(提供:松村 愛氏)
草の根ロビイング勉強会での資料(提供:松村 愛氏)

明智 どのような内容だとメディアは取り上げやすいですか?

松村 みなさんの伝えたいNPOの課題、伝えたいことというのを記者に取り上げてもらう時にとても大事なのは、記者が求めているのが新しい社会課題の「芽」。また、それにつながる視点やストーリーなんだと思うんです。

そんなの自分で考えろよって言われてしまえば、もうそれまでなんですけれども、新聞記者は世の中や社会の障害を取り除き、良い方向に変えたいと思っています。同じ方向を向いているNPOの皆さんと知り合うことによって、それまで自分がカバーしている取材範囲の中で考えていたこととは全く違う新しい視点をもらった時に記事が書きたいなって思うだろうし、あとはそれを具体化するようなストーリーを伝えていくことです。記者に、そういった具体性を持って訴えかけられるかどうかというのがとても大事です。

明智 NPOとメディアが連帯する上で大切なことはなんでしょうか?

松村 新聞報道とNPOの活動を、なるべく同じ方向を向いてWin-Winの関係にすることが、やはり記者とNPOの繋がりの中では大事なのかなと思います。私たち新聞記者の記事とNPOの活動っていうのは本当に目指すところは同じで、社会課題の解決に資する行動活動や、NPO活動なんです。そこの一番原点の部分を真摯にお伝えいただければ、向き合う方法っていうのは一致できると思うんです。

なので、NPOの活動を理解する記者を見つけて、その相手にちゃんと伝わるようにプレスリリースを作ったり、寄り添える報道を一緒に目指したりしていただければいいんじゃないのかなと。私も、もしそのようなご紹介ができれば喜んでさせていただきますし、そういった社会課題の「芽」を一緒に広めていければうれしいです。

例えば食品ロス削減の議員立法もそうでしたし、選択的夫婦別姓の議連の活動もそうです。その議員立法の法案や、政府提出法案なんかも1年前、2年前、3年前からNPOが訴えかけていたものが、ようやく今、形になってきたというものが本当に多くて、本当だったらもっと早く新聞記者が気付いて、もっと早い段階から記事にしていくべきだったんじゃないのかなというところが多いです。

よく新聞社にいただくお客さまからの批判として「なんで今まで伝えなかったの?」、「なんでこの国会に出て採決される直前になって突然報道を始めるの?」というのが多いです。本当に耳の痛いことで、国会で法案が審議にかかって、いよいよ採決するよっていう目に見えるところに来て、ようやく報道が始まるところまでわれわれは伝えられなかったということです。私たちの視点がとても狭い、取材の範囲がとても狭い。それはお付き合いする取材対象というのが、政治家だとか一部官僚だとか、かなり限定されているところにあるんだと思います。

私たちメディアが未来の社会活動、国会にかかるような法案の「芽」の部分にちゃんと目を向けていくっていうのはすごく大事なことで、政治や社会経済の報道の一番原点であって、それはやっぱりNPOの方たちの活動を幅広く知るということが入り口なんじゃないのかなと、本当に思っています。なので、皆さんの活動と目指すところは同じなので、ぜひ皆さんの活動をどんどんどんどん新聞記者に伝えていただければ、とてもうれしいです。

『NPO法人 市民アドボカシー連盟』代表理事

定期的な勉強会の開催などを通して市民セクターのロビイングへの参加促進、ロビイストの認知拡大と地位向上、アドボカシーの体系化を目指して活動している。「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」を立ち上げて、「いじめ対策」「自殺対策」などのロビー活動を行ってきた。著書に『誰でもできるロビイング入門 社会を変える技術』(光文社新書)。日本政策学校の講師、NPO法人「ストップいじめ!ナビ」メンバー、などを務めている。

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