もうすぐ都議選!といってもやっぱり選挙に立候補するのが難しい3つの理由

(写真:ロイター/アフロ)

いよいよ東京都議選(6月23日告示、7月2日投開票)です。各選挙区の候補者も出揃ってきました。昨今では18歳選挙権によって「被選挙権年齢」の引き下げも検討されているようです。

しかし、選挙へ立候補するには年齢以外の壁も大きく立ちはだかってきます。ここでは、選挙に立候補するのが難しい3つの理由について考察していきます。

1.いろいろ不安定

そもそも選挙に立候補すること自体ハードルが高いと言えます。地盤も組織も持たない人間が選挙に立候補して当選するためには、最低でも半年くらい前から活動を始める必要があります。朝晩は駅前などに立ち、日中は各戸や団体・組織を訪問してまわるのです。となると仕事との両立はとても難しいわけです。ですから会社勤めの方が立候補を決意した場合、1年~半年前には会社を辞めなくてはなりません。

また、多額の資金が必要です。国政選挙では最低1000万円、平均して2000万程度は必要だと聞いていますし、地方議員選挙でも200万円以上はかかります。このように、選挙に出るためには、仕事は辞めなければならない上に多額の資金が必要で、もし落選すれば借金を抱えた無職となってしまいます。政治家を目指すことが非常にハイリスクなのです。

そこまでのリスクを負って議員になったとしても、議員生活には将来の不安が付きまといます。会社員であれば当たり前にある失業保険などのセーフティネットは議員にはありません。地方議員の場合、年金は数年前に廃止されていますし、退職金もありません。

それから一度、選挙に立候補してしまうと「もうあの人は別世界の人」というふうに社会の中で見られてしまいます。このように不安定な職種なため政治家を目指したくても家族の反対で選挙に立候補することを断念した人もたくさんいるようです。

2.わかりづらい選挙制度

現在の公職選挙法は、何がよくて、何がダメなのか本当にわかりづらい内容となっています。たとえば、選挙期間中は自分の名前どころか名前を類推できるような、のぼり旗などを立てるだけで違反ですし、国政選挙ではビラを配れますが地方選挙でビラを配っていけない(※)など候補者から見ても複雑でとても難解です。

(※)改正公職選挙法の成立によって再来年3月1日より地方の議員選挙でもビラ配布が解禁となりました。

そして一番の問題点は選挙期間中に候補者が有権者に対して自分の考えや政策を伝える手段が非常に限定されていることです。候補者が政策を伝えることが可能なのは「街頭演説」「個人演説会」「選挙広報」くらいです。しかし、街頭演説や選挙公報では伝えられる情報量は非常に少ないですし、個人演説会も場所や回数が制限されている上、とても一般の人が気軽に行けるような雰囲気ではありません。

今はネット選挙が解禁され、ネット上で政策を訴えることが可能になりましたが、有権者に広く政策を伝える手段としては、現段階では「将来有効かもしれない」という程度の位置づけです。今の選挙のやり方では結局、有権者はどの候補者の掲げる政策が良いのかわからない、つまり人物や政策本位で投票の判断ができていないのです。

3.やっぱり『ドブ板選挙』

かつての選挙活動では、候補者や運動員が有権者に会うために民家を一軒ずつ回りました。その際、各家の前の側溝(ドブ)を塞ぐ板を渡り、家人に会って支持を訴えたことが『ドブ板選挙』の由来です。現在の公職選挙法では戸別訪問を禁止しているため、小規模施設での集会や、徒歩で街頭を回り通行人に握手を求める等、選挙区の人に広く支持を訴える方法が行われています。

普段から候補者や議員は地元のお祭りや葬式などへ足繁く出席して、顔と名前を売っていくのです。しかし、そのことは政策の良し悪しとは全然関係のないことです。結局はしがらみや地元の人間関係が大きく影響してしまうのです。なので政治家のほとんどは元秘書、議員二世、地主、特定組織の代表者ばかりというわけです。

おわりに

このように選挙に立候補することが難しい、政治家になることはリスクが高いとなるとますます政治家の道を目指すのは一握りの人たちばかりになってしまいます。選挙制度の在り方もそうですが、誰でも政治家にチャレンジできる環境整備をしていく必要がありそうです。また、政策が有権者へ伝わることによって投票率が上がるかもしれないし、市民によるロビイング(政策提言)も活発化するかもしれません。

私は政治の世界こそ多様な人材を揃えていく必要があると考えています。「投票率あげよう!」「選挙に立候補できる年齢の引き下げを!」などといろいろ賑わっていますが、そもそも立候補者の質が良くなっているのか、多様な人材が立候補できているのかといった質と量の両面もしっかりと把握していく必要がありそうです。