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一緒に当事者として社会の変革にチャレンジ!社会起業家との「投資協働」があなたにもたらす共成長とは!?

明智カイト『NPO法人 市民アドボカシー連盟』代表理事
ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京(SVP東京)パートナーのみなさん

社会貢献や社会的問題の解決を主な目的とし、ビジネスを通じて解決を図るために起業することをソーシャルベンチャー(社会的起業)と呼びます。

ソーシャルベンチャー(社会的起業)は、事業活動を成立させるための収益性を確保しつつ、同じ活動を通じて社会貢献が可能となるビジネスモデルの創案が求められます。そして、社会起業家には高い志と、イノベーションを生み出す高い知識やスキルが必要とされています。

今回はソーシャルベンチャー(社会的起業)を支援しているソーシャルベンチャー・パートナーズ東京(以下、SVP東京)代表理事の岡本拓也さんにお話を伺いました。

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以下、岡本拓也さんの発言をお伝えします。

一緒に当事者として社会の変革にチャレンジ

SVP東京のモデル図
SVP東京のモデル図

SVP東京は、社会的な課題の解決に取り組む革新的な事業に対して資金の提供と、パートナーによる経営支援を行っている団体です。

もともとはアメリカのシアトルで立ち上がった団体です。マイクロソフト社においてビジネスで成功した個人が、自らのスキルと経験は非営利セクターでも役に立つと考え、ベンチャーキャピタル(*1)のモデルを応用して自分たちのスキルと時間と資金を用いてソーシャルベンチャーへの支援を開始したのがきっかけです。

(*1)ベンチャーキャピタルとは、ハイリターンを狙ったアグレッシブな投資を行う投資会社(投資ファンド)のこと。主に高い成長率を有する未上場企業に対して投資を行い、資金を投下するのと同時に経営コンサルティングを行い、投資先企業の価値向上を図る。担当者が取締役会等にも参加し、経営陣に対して多岐にわたる指導を行う。

そこから現在では世界40都市10ケ国まで広がるまでに成長しています。日本では2003年にSVP東京を立ち上げましたが、SVPのネットワークには2006年に加盟しました。日本はアジアで初めてSVPに加盟したことになります。

SVP東京ではデュアルミッションとして2つのミッションがあります。一つは投資・協働先であるソーシャルベンチャーのミッション達成に貢献すると同時に、二つ目の当会社の社員たるパートナー自身が、投資・協働先への支援に参画し、地域や社会への関与を通じて、イノベーションに貢献することをその使命としています。

このことを私たちは『共成長モデル』と呼んでいますが、共に当事者として社会の変革にチャレンジしていくことを目標にしています。

投資・協働先に対して時間と専門性を提供しながら、自らも学び成長していく

投資スキーム
投資スキーム

SVP東京では、会員はSVP東京における共同事業主であるという意味をこめて、パートナーと呼んでいます。パートナーが払う会費(年間10万円)は投資・協働先への出資とSVP東京の運営費にあてられます。お金の出資以外に、投資・協働先を検討したり、決まった投資・協働先に対して時間と専門性を提供しながら、自らも学び、成長していきます。

活動は自分が共感し、希望する投資・協働先が中心となります。投資・協働先が決定すると、先方とともに課題の発見・目標の設定を行い、それに合わせてチーム内で分担しながら共に活動を行います。具体的には、会計士など財務や会計が強い者は予算計画策定や財務会計のコンサルティング、新聞社やPR会社勤務者は広報戦略やプレスリリースなどの実務支援、コンサルタントは中期戦略の策定やマーケティング支援などです。支援は1年以上になりますので関係性を深めながら必要な随時必要な活動を行っていきます。

またSVP東京の運営もパートナー全員の参加を基本に行っています。イベント開催や投資・協働先の募集、選考、支援体制マネジメント、各種ノウハウや情報の共有、広報、経理、財務などを分担して取り組んでいます。

SVP東京のパートナーは、社会起業に強い関心を持ち、自分のスキルと時間を提供する意思のある20代から60代の社会人で構成されています。

所属は民間企業(コンサルティング会社、証券、銀行、投資、商社、製薬、メーカー、マスコミ等)、官公庁(国家公務員、自治体、国際協力関係)、NPOや財団職員など多岐にわたります。

また学生時代から発展途上国での支援、国際交流活動、地震などの災害支援、障害者福祉、環境保護など、国内外問わずボランティア経験を持っている人が多くなっています。

仕事や家庭で忙しい中、平日夜や土日を中心に活動を行っています。活動時間は少ない人は年数日〜多い人は月60時間程度と様々ですが、月1〜3回程度のミーティング出席とメールなどでの連絡・個人作業時間があると充実した活動ができています。

日本の社会をリードできる存在に

SVP東京はパートナーが出資金として拠出した資金をもとに、革新的なモデルをもつ将来性の高いソーシャルベンチャーを投資・協働先とし、年間100万円を限度にした資金を提供します。同時に、投資先のニーズに合わせ、SVP東京のパートナーが各自の専門性を活かした経営サポートを行います。投資・協働先からリターンが得られた場合には、全て再投資し、社会的投資の環を広げていきます。投資・協働先に対する支援として、SVPでは資金提供とキャパシティ・ビルディング(*2)を行います。

(*2)「キャパシティ・ビルディング」 とは、ソーシャルベンチャーのミッションをより効果的・効率的に達成できるように組織的な能力・基礎体力(キャパシティ)を強化し、運営上の課題を解決することを指します。

今、世の中に足りないのは当事者だと思っています。自分自身が当事者として世の中に挑戦していく人が少ない。やはり、SVP東京を通じてたくさんの人たちが当事者になって欲しいと考えています。自分自身の人生を自分らしく生きていって欲しい。そのためには協働先になるケース、支援者になるケースなどいろいろあるかと思いますが、そのような多様な形が一つの仕組みになっていけば良いと思っています。

まだまだ社会起業家はマイノリティだと思います。もっともっと社会起業のことを知って欲しい。私たちはより多くの社会起業家を支援していきたいし、その基盤を作っていきたい。また、社会的投資という面でも日本社会をリードしていきたいと考えています。

現在、協働先を募集しています。一次選考(書類選考)の応募書類は、4月8日(金)正午〆切(必着)です。

http://www.svptokyo.org/about/news/20160301.html

よろしければぜひご応募ください。

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ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京(SVP東京)

代表理事 岡本拓也

1977年大阪府生まれ。大学時代に1年間休学し、世界30ヶ国を旅する途上で訪れたバングラデシュにてマイクロファイナンスと出会ったことが原点。大学卒業後、公認会計士に合格し大手監査法人にて監査や上場を支援。その後、外資系コンサルティング会社にて企業再生業務に従事し企業再生に携わる。同社に在職中に出会ったSVP東京を通じてソーシャルビジネスの世界に魅了され独立後、2011年4月にSVP東京 代表理事に就任。同年5月より理事を務めていた認定NPOカタリバの常務理事 兼 事務局長に就任。2015年10月からは、ソーシャルベンチャー・パートナーズの世界8ヶ国40都市に広がるグローバルネットワークの本部であるSVP International のBoard of Director(理事)に就任し、現在に至る。

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『NPO法人 市民アドボカシー連盟』代表理事

定期的な勉強会の開催などを通して市民セクターのロビイングへの参加促進、ロビイストの認知拡大と地位向上、アドボカシーの体系化を目指して活動している。「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」を立ち上げて、「いじめ対策」「自殺対策」などのロビー活動を行ってきた。著書に『誰でもできるロビイング入門 社会を変える技術』(光文社新書)。日本政策学校の講師、NPO法人「ストップいじめ!ナビ」メンバー、などを務めている。

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