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ライバルと目される選手を破り、ベスト4の大坂なおみ。前哨戦から連なる躍進へのシナリオ

内田暁フリーランスライター
(写真:Shutterstock/アフロ)

■全豪オープン準々決勝 大坂 6-4, 6-1 E・スビトリーナ■

 過去の対戦成績は2勝3敗。しかし直近の2試合に限れば、ストレート負けを喫しています。大坂はスビトリーナを、「とても安定感があり、崩すのが難しい選手」と評します。さらには「彼女は去年のWTAファイナルで優勝するなど好調なのに、今大会ではあまり注目されていない。だから彼女が、ベスト8まで勝ち上がってきたことはうれしい」と言いました。

 年齢は21歳と24歳。ランキングは4位と7位。周囲はこの両者を、今後長く続いていくだろう、ライバルと目するようになり始めています。

 そのような側面でも注目を集めた一戦は、第1セットは一進一退の攻防を見せました。フォアの強打なら大坂に分があるも、バックの安定感とバリエーションでは、スビトリーナが勝ります。その競り合いの中で、差を生む鍵となったのが、リターン。時速120キロ台にまで落ちる相手のセカンドサービスを激しく叩く大坂が、リターンゲームで主導権を握る場面が増えていきます。ミスショットの数は相手より5本多いものの、ウイナーでは14本上回った大坂が第1セットを奪いました。

 第2セットに入ると、スビトリーナの異変はサービスに顕著に現れます。ダブルフォールトを2本犯してブレークを許した後に、メディカルタイムアウトを取る第7シード。大会前から肩と首に痛みを抱えていた彼女には、世界4位相手に、劣勢から巻き返す心身のスタミナは残っていなかったようです。試合時間は1時間12分。期待を集めたライバル対決は、終わってみれば大坂の圧勝でした。

 今大会の大坂の勝ち上がりを見た時に、2週間前のブリスベン国際から続く、一つの流れを感じないわけにはいけません。今大会の4回戦で大坂が破ったセバストワは、ブリスベンの準々決勝でも勝った相手。そのセバストワは、ブリスベンに続き接戦の末に大坂に敗れた後に、「できれば今回は、ナオミには次の試合でも良いプレーをしてほしい。ブリスベンでは、次の試合で彼女があっさり負けてがっかりしたから」と苦笑いしました。

 実は大坂本人も、ブリスベンではあまりに優勝を欲したために、準決勝の時点で気持ちは決勝へとはやり、心ここにあらず状態だったと認めます。だからこそ今大会での彼女は、「目の前の試合のみに集中」しつつ、同時に「勝ち上がっていけば、準決勝、そして優勝を考える」と言いました。準々決勝のスビトリーナ戦で手にした快勝は、まさに、その教訓と誓いの実践だと言えるでしょう。

 全豪オープンでは初となる、ベスト4進出。それでも彼女は「うれしいけれど、満足はしていない」と凛とした表情で言いました。

「今大会の私は、ドローに恵まれたと思う。ミスの少ない、安定感のある選手とずっと戦ってきたから、次の試合にも良い状態で入れると思う」

 物事をどの角度で見て、どう捉えるかはその人次第。今の大坂は、自分に追い風が吹いていると信じ、今大会ここまで抜群の安定感を見せている、プリスコワとの一戦に挑みます。

※テニス専門誌『スマッシュ』のFacebookより転載

フリーランスライター

編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーランスのライターに。ロサンゼルス在住時代に、テニスや総合格闘技、アメリカンフットボール等の取材を開始。2008年に帰国後はテニスを中心に取材し、テニス専門誌『スマッシュ』や、『スポーツナビ』『スポルティーバ』等のネット媒体に寄稿。その他、科学情報の取材/執筆も行う。近著に、錦織圭の幼少期から2015年全米OPまでの足跡をつづった『錦織圭 リターンゲーム:世界に挑む9387日の軌跡』(学研プラス)や、アスリートのパフォーマンスを神経科学(脳科学)の見地から分析する『勝てる脳、負ける脳 一流アスリートの脳内で起きていること』(集英社)がある。

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